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映画「ハンターキラー 潜行せよ」ネタバレなし感想:潜水艦バトルを100%楽しむ!

潜水艦映画といえば、「レッドオクトーバーを追え!」や「U-571」を思い出す。

海底という逃げ道のない緊迫した状況、潜水艦という特殊な場所で繰り広げられる人間模様、普段見ることのできない艦内を疑似体験できる楽しさ、潜水艦というだけで惹かれるものがある。
一時期、潜水艦映画が大量に制作されていたのに、最近は見ていないなあというところで久々の登場!
これを見に行かない手はない。
なぜなら、潜水艦は漢のロマンだから…。

……と書いてみたけど、単に限られたシチュエーションで起こる事件や、それをどうやって解決していくのかを見るのが好きなだけです。
あと、オジサン同士の熱い友情は何度見ても飽きない。

物語はロシア近海でアメリカ海軍の原子力潜水艦の通信が途絶える。二国の緊迫した状況の中、状況を探るべく、ジェラルド・バトラー扮するジョー・グラスが艦長を務める攻撃型原潜『ハンター キラー』が捜索に向かい、魚雷によって沈められた潜水艦を発見することで事故ではないことが発覚する。

この作品で新しいなと思ったのは、潜水艦の話と同時進行で少数精鋭の地上部隊がロシアへ調査に赴く2つの視点で物語が進行するところ。
これにより、音だけが頼りで緊迫した状況が続く潜水艦パートと、物語の真相を探ることができる地上パートを別けることができ、見る側は知りたい情報を適宜得られるのでダレることがなく面白さが続く。

本作では、最新鋭の潜水艦を体験できることを意識して制作されているらしく、艦内のディテールだけでなく、指示の仕方や乗組員のスラングなど細部までこだわって作られている。
米国防総省と米海軍が全面協力しており、実際にパール・ハーバーに着岸している原子力潜水艦で撮影されたシーンもあり必見。

メインの潜水艦バトルは最高の緊張感を味わえて見応え抜群。
ソナー音を頼りに、それが艦隊なのか魚雷なのかを見極め、瞬時に戦闘態勢へ移行する。
グラスの機転を利かせた指示で艦ギリギリを通過する魚雷や、海域の特徴を活かした回避方法など、潜水艦ならではの戦闘はまさに手に汗握る展開の連続。
先の読めない展開で、ずっとドキドキしっぱなしだった。
カメラワークも良く、上空のアングルから分厚い氷ごと吹き飛ぶ潜水艦をダイナミックに見せたり、急速潜航するシーンで乗組員たちの立ち姿を横から撮影することで表現したりと色んな場面が工夫がされている。

気になる点としては、人物設定が雑と感じる部分があること…。
アメリカにとって超超超重要な捜索で、学歴もなく軍人エリートコースから外れた現場叩き上げの人間をいきなり艦長に抜擢するだろうか?
しかも特に理由づけがないので、「物語としては面白いけど、艦長に抜擢されることがありえるの?」という疑問が首をもたげる。
同様に、地上で動く少数精鋭の特殊部隊4人のうち一人が新人ということ。
任務に赴く前に、個人を特定できるものを全て外すシーンがあることで、かなり危険な任務であることが分かる。
そんな状況の中、新人を入れるのだろうか…?
バトルシーンはリアリティを追求した満足度の高い出来だけに、人物設定に物語上のご都合主義な部分を感じてしまうのが残念。

クライマックスの展開は、やや夢見がちな展開で若干しらけるが、圧巻のバトルシーンを見れた満足感でいっぱいになれるので良しとしよう。
個人的に、ラストシーンでグラスがとある人物と会話をするシーンが印象に残っている。
セリフとしては普通だが、そこに込められた意味の重さを考えると泣かずにはいられない。

久々に潜水艦映画を見ることができ、しかもその出来栄えも最高。
満足度の高い1本だった。

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