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【PMP×野球】#4:コストマネジメント
「プロジェクトマネジメント」×「野球」
世の中には様々な”やるべき事”が溢れている。そのやるべき事を然るべき準備や手順(プロセス)で進めていく手法に”プロジェクトマネジメント”という概念がある。
あらゆる仕事に転用できるベースとなる概念・考え方だが、なんせとっつきにくくて分かりにくい。参考書を読んでもイメージもつきにくいし、頭に入ってこない。
そこでこのプロジェクトマネジメントを自分の大好きな”野球”というフィルターを通し、野球とのアナロジーを見い出しながら”プロジェクトマネジメント”を分解していく。野球というスポーツも、各自がそれぞれの準備や役割を正しく行う事で”試合に勝つ”というプロジェクトを遂行していると捉え置き換えれば少しは頭に入りやすいし、知識として定着するはずである。
苦手な食べ物を好きな食べ物と一緒に食べるように…
難解な用語を身近なものに置き換えることで覚えるように…
#4.コスト・マネジメント
<計画プロセス群>
4.1:コスト・マネジメントの計画
4.2:コストの見積もり
4.3:予算の設定
<監視・コントロールプロセス群>
4.4:コストのコントロール
コストマネジメント領域は”スコープ・ベースライン/スケジュール・ベースライン”に続く3つの主要なベースラインの最後【コスト・ベースライン】を設定する重要な領域プロセス。
野球はお互いが攻撃と防御を繰り返し、得点を奪い合うゲーム。そして、最終的に得点が多い方が”勝利”を掴み取りプロジェクトが成功となる。
この為にこのキャッチャーが試合全体での決まりごとの範囲(スコープ)を定め、ファーストが塁上の走者を監視・コントロールする事で具体的な守備計画(スケジュール)を立てる。
そして、その後に続く重要なポジションを担うのが実際の試合展開においてのコスト算出(失点リスクや失点見込み)をはじき出すのがフィールド上の頭脳の一人であるセカンド(二塁手)である。定量的な視点でチームの試合展開を冷静に監視・コントロールしていくセカンドの役割はコストコントロール領域のプロセスに類似している。
4.1:コスト・マネジメントの計画
プロジェクトに関連するコストを見積もり、予算化してコスト消化状況を監視・コントロールする方法を定義するプロセスが”コスト・マネジメントの計画”プロセス。
<4.1:コスト・マネジメントの計画(主なアウトプット)>
◎コスト・マネジメント計画書
コストマネジメント計画書ではコストの様式を定め、計画、構造化、見積もり、予算化、コントロールのための基準を設定するもの。以下が計画書における記載項目。
【コスト・マネジメント計画書の記載項目】
測定単位:資源ごとに測定する単位を定義(労働時間→日数など)
緻密さのレベル:コスト見積もりの四捨五入範囲
正確さのレベル:見積もり許容範囲(例±10%など)
組織の手順とのリンク:WBSとプロジェクト経理に使用する「コントロール・アカウント」との連携。母体番号の経理システムと直接紐づけられた独自コードやアカウント番号で管理。
コントロールのしきい値:監視のための変動しきい値を定義。
パフォーマンス測定の規則:アーンド・バリュー・マネジメント(EVM)の規則を設定。
報告書の書式:各種コスト報告書の書式と報告頻度を定義。
その他の詳細情報:戦略的な資金調達方法、為替相場変動への対処、プロジェクトコストの記録手続きなど
4.2:コストの見積もり
その名の通りプロジェクト作業を完了するために必要な資源の概算金額を算出するプロセス。見積もりの精度はプロジェクトの進行状況によって精度が向上していく特性があるのでその辺りもポイントの一つ。
セカンドはグラウンドの中心で試合に加わっている。そのため視野は広く、かつセカンドベースという”相手の得点圏”にから試合に参加しているために”失点可能性リスクというコスト的な観点”から試合を見据えている存在と捉えることもできる。
コスト見積もりの精度
⒈超概算見積もり(Rough Order of Magnitude):-25%から+70%
⒉概算見積もり:-20%から+30%
⒊確定見積もり:-5%から+10%
<4.2:コストの見積もり(主なツールと技法)>
見積もり精度はプロジェクト進行によって向上していくものの見積もりを作成するアプローチはいくつか種類が存在する。それらのアプローチにも特色があるため抑えておく必要がある。
これらコスト見積もりの方法には沢山の手法や用語が存在する。
主にはアーンド・バリューマネジメント関連用語の「PV(計画価値)」「EV(達成価値)」「AC(実コスト)」やこれらを使ってコストの差異(EV-AC)やコストパフォーマンス指数(EV/AC)、スケジュール差異を算出する(EV-PV)やスケジュール効率指数(EV/PV)などがある。
これらの”用語”や”手法”を守備陣系によるサインプレーと捉えれば、セカンドというポジションがコストマネジメントを担うイメージが湧きやすい。
コスト見積もりの手法
⒈類推見積もり
”自組織の過去の類似PJT”を参考に見積もる手法。PJTの類似性が高いほど見積もりの精度は向上。
⒉パラメトリック見積もり
過去の情報をもとに変数を用いて試算する手法。定量化した変数での説明が容易なPJに適する。
⒊ボトムアップ見積もり
アクティビティ単位での見積もり積み上げ。精度が一番高いが、算出までの時間・労力も一番要する。
※PMIイズム的にはPMが”自ら積極的”にプロジェクトを管理する事が推奨されるのでボトムアップ見積もりがPMとしては一番好ましいあるべき姿とされている。
⒋三点見積もり
最頻値/楽観値/悲観値の3つの見積もり値を使用して、確率分布にて期待コスト(期待値)を算出する手法。
最頻値:最も現実性が高いと考えられるシナリオに基づくコスト
楽観値:最良のシナリオに基づくコスト
悲観値:最悪のシナリオに基づくコスト
上記の値を使用してコスト算出していくが【ベータ分布】と【三角分布】の2種類が存在する。
ベータ分布 = (悲観値+4×最頻値+楽観値)/6
→ 最頻値のウェイトを高めるために4倍与える。それにより見積もり箇所が「3点から6点」となるために6で割る。
三角分布 = (悲観値+最頻値+楽観値)/3
→ 最頻値、楽観値、悲観値の3つの値を使うことから最後に3で割る。
<4.2:コストの見積もり(主なアウトプット)>
◎コスト見積り
プロジェクト作業を完了するのに必要なコストの量的評価に加え、特定されたリスクを見込むコンティンジェンシー予備、及び計画外の作業をカバーするマネジメント予備が含まれる。
4.3:予算の設定
コストベースラインを作成し、認可を得るために、個々のアクティビティやワーク・パッケージのコスト見積りを集約するプロセス。
コスト・ベースラインはコンティンジェンシー予備を含む時間軸ベースのプロジェクト予算の承認版ではあるが、マネジメント予備は含まないことに注意。
<4.3:予算の設定(主なアウトプット)>
◎コスト・ベースライン
期別プロジェクト予算の承認版であり”マネジメント予備”は含まない。公式の変更管理手順を経た場合にのみ変更されるもので、実績との比較の基礎として活用される。
(マネジメント予備を活用する場合は変更管理プロセスで承認された上でコストベースラインに組み込む必要がある)
4.4:コストのコントロール
プロジェクト予算を更新するためにプロジェクトの状況を監視し、コスト・ベースラインへの変更をマネジメントするプロセス。
コストのコントロールは”統合変更管理プロセス”の一部であり、個別プロセスが切り分けられてプロジェクトが進行しているわけではない。
<4.4:コストのコントロール(主なアウトプット)>
◎作業パフォーマンス情報
実行した作業及び作業コストについて、コスト・ベースラインと比較し、ワーク・パッケージ・レベル及びコントロール・アカウントレベルで評価した結果が記載される。
◎コスト予測
EAC:完成時総見積もり(PJ開始時〜PJ完了時までの総見積もり)の値を文書化し、ステークホルダーへ通知する。
”コストマネジメント的”プレイヤー
コストマネジメントは相手の攻撃に対して”どのくらいの失点や失点機会”が発生しうるか?を予測することに似ている。そして、それをグラウンドの中心で”頭脳”として担うのがセカンド(二塁手)だ。
これらの”現実的な危機管理能力と堅実性”を兼ね備えたプレーヤーがコストマネジメント的なプレーヤーと言えそうだが、個人的には2人名前が思い浮かぶ。それは荒木雅博(元中日ドラゴンズ)と中村将吾(千葉ロッテマリーンズ)である。
荒木雅博(元中日ドラゴンズ)
”アライバコンビ”で一時代を築いたレジェンドセカンドプレーヤー。一見華やかに見えるこれらの守備も入念な準備や危機管理能力が礎にあることを忘れては「本当の荒木の凄さ」を見誤る。
中村将吾(千葉ロッテマリーンズ)
走者を残すことは失点につながる=つまりは走者を出さなことが勝利というプロジェクト成功に近づく。そして中村のこのプレーはまさに”頭脳”と呼ぶべきプレー。まず【進塁義務が残っている】ファースト走者にタッチしてアウト、その後に打者走者をベースを踏んででダブルプレーの完成、となる。
次回は「#5:品質マネジメント」
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