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”カイブツ”はどこから来るのか?

”平成の怪物”こと松坂大輔・・・
”昭和の怪物”とも呼ぶべき江川卓・・・

新時代の幕開けはいつだってその時代を彩る”カイブツ”候補の登場がある。

今、野球界にはスターが必要だ、それも圧倒的な。
”カイブツ”的な存在が今の野球人気低迷の起爆剤になりうる。
彼らの存在が野球人気を下支えしてきたとも言えるし「野球人気再興」のキーマンである。

その新時代の”カイブツ”になりそうなのは間違いなく佐々木朗希(大船渡高→千葉ロッテマリーンズ)だろう。

”カイブツ登場”で隆盛期を経験した野球界

ところでまずはその”カイブツ”の歴史を簡単に振り返る。
”元祖怪物”と言われる江川卓の登場は衝撃的で当時で160キロは出ていたと証言があるほどの豪速球を武器に活躍。その圧倒的な存在感にまつわるもはや”日本神話的”なエピソードは枚挙にいとまなく、今なお語り草。

5番打者の有田二三男(のちに近鉄に入団)が初めてファウルチップでバットに当てると、5万人の大観衆から拍手が巻き起こったほど、江川の投球は凄まじかった。
”高校時代の県予選では、バントされたボールがレフト前まで転がった。”

その後、平成の時代を迎え新たなスターが登場。
それが”平成の怪物”こと松坂大輔だ。

明徳義塾戦での途中登板や決勝戦ノーヒットノーランなど”絵になるドラマ”を夏の甲子園という舞台で一挙生放送し、日本全国の野球ファンのみならず感動の渦に巻き込んだ。

栃木や神奈川で生まれたこれら”カイブツ”の登場により大いに野球は盛り上がりを見せ、その人気にも拍車がかかっていった。次第にその影響力はプロ野球にまで伝搬し野球人気の下支えに大きな影響を与えたのだ。

”カイブツくん”はどこから来るのか?

それ以降も怪物と呼ばれる存在が出てきている。
しかしながら、その”出どころ”については少し懸念すべき傾向もあると感じる。

大谷翔平(花巻東)といい、佐々木朗希(大船渡高)といい球界の至宝・怪物という称号を与えられる人材の共通点はお分かりでしょうか。

それは【東北地方出身者】ということ。

これは東北が良い悪いではなく、”東北以外の場所からカイブツが生まれにくくなっているのではないか?”という懸念だ。

野球というスポーツをやるにはまず「広いスペース」が必要だ。
当たり前だが、都心部においてこの広いスペースを確保するのは、遊ぶこともままならないのであれば、経済的な観点から考えても”野球のために”そのようなスペースを確保するのは至難の技である。

やはり地方都市は首都圏・都市圏に比べて野球というスポーツをやる環境に比較的恵まれてれいる。これは大きなアドバンテージになる。

大学野球においても地方大学の成績が明治神宮大会においても優秀な戦績が目立つようになってきたのも同じような理由もあるだろう。

”カイブツ”たちにはもう首都圏のコンクリートジャングルでは「すみか」になりづらくなっているのではないか?と。

野球ができる場所はどこへいった?

自分たちの子供の頃を振り返ると、必ずといっていいほど近くに程よい広さが確保された公園があり、自宅に帰るなり玄関先にランドセルを放り投げ、我先と野球をするために(場所取りもあるし)急いだもんだがそんなのは今は昔・・・といったところか。

もしかしたら野球をやれば物凄い選手にかる可能性を秘める”ピッチャー”や”バッター”が今の時代、ラグビーに流れたりするのかもしれない。

今回のW杯ラグビー日本代表で活躍した稲垣選手も元球児でしたね、確か。
(プロ野球中継のゲスト解説で滑らかかつ的確な解説は非常に驚いた)

これは相対的に日本の野球力の衰退に繋がる。

そして、”カイブツ”くんたちには住みづらい世の中なのだ。

”令和の怪物”佐々木朗希の登場

佐々木朗希には、ぜひプロで活躍してもらって「野球人気再興」に一肌脱いで欲しい。それくらい貴重な存在だし、それくらいのことができるスター性やストーリーを持っている。

少年時代に立った千葉マリンスタジアムの地に”舞い戻った”佐々木朗希。

また、その佐々木朗希を迎える河合オーナー代行の大局観も素晴らしい。

――佐々木朗の育成方針は。
球界の至宝であって、彼には20年間、球界のトップスターでいてほしい。そのためにできることをする。(将来の舞台は)メジャーであってもいい。どこでもバリバリやって、ロッテからこういうすごい選手が育って、世界を制しているんだとなったら、こんな夢のある話はない。今はそういう時代。その決意(海外挑戦の意思)のない人だったらだめでしょう。志の高い、能力の高い選手をどんどん育てていくのが理想だ。これはきれいごとではなく、最終的にはうちの球団のプレステージの向上につながることなので」

豊かな土地で伸びやかに育った”カイブツ”に懐深く大きく育てようとする球団の姿勢。

縁のある千葉ロッテマリーンズで躍動するところが見たいし、それをみてまた千葉の野球少年から”首都圏産のカイブツ”が生まれることに期待したい。

野球界の”カイブツ”がもっと育みやすい環境になることを切に願う今日この頃。

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