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2023.05.28 ニシイケバレイ

2023.05.28_池袋

ニシイケバレイ/須藤剛+高岩愛実/2020

幹線道路から1つ裏へ入る。
異なる形式の建物が一部をまちへと明け渡して集合している。

塀の撤去、舗装の連続、植栽による緩衝帯、滞留を促す屋外の家具、内部が見通せる透明性。

線引きを消失させる手つきが、幹線道路の裏側に下町的な生活環境が同居する池袋の都市性と結びつく。

都市の線引きを超えてまちを使い倒している風景が印象的だった。

池袋から徒歩10分、ビルやマンションが林立する幹線道路から1つ裏へ入り小路を進む。

平屋からアパートの一室、マンションの地上階まで、異なる形式の建物がその一部をまちへと開け渡して集合している、奇妙な場所が現れる。

塀を取り払い、舗装を連続させ、緑のレイヤーを設定し、屋外に留まれる居場所を用意し、内部を見通せるようにする。

道と敷地、内と外、私有と共有、その線引きを消失させる様々な手つきが、建築・外構・家具・植栽・生活の中に積み重なっている。

池袋はあまり馴染みがなかったが、しばらく周辺も歩いてみると、この性質はニシイケバレイ固有の状況ではないことが分かる。

池袋駅との距離はあまり関係なく、大通りの1つ裏手には公園や低層アパート、住宅、町工場などが残り、繁華街と生活環境が併存している。

この面的な開発が困難な故の2面性は、東京の下町的な空気を感じるとともに、地方都市の構造とも類似しており、日本特有の心象風景のひとつとも言える。

歪な都市の成長によって形成された池袋の構造を読み取り、それを池袋の「バレイ」として見立てて醸成し空間化してきた過程が、
道も建物も境なく活動が展開されている今の光景へと結びついていて良かった。

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