シャッフル
NSCと言う、芸人の養成学校に通っていた。
大半は1人で入学し、相方を探して、コントや漫才をする。
僕は大学時代からコンビだった相方と共にNSCに入学したため、相方を探すことはなかったし、これからもずっと2人でやっていくものだと思っていた。
1年間学校に通うと、ひたすらネタを考えそれを披露する。そんな時間があっという間に過ぎる。
あっという間に過ぎたと今では言える。
しかし、ネタを考えるために多くの時間を過ごす相方とは、家族より友達より親密になりそれに反してなんとも言えない関係になる。
安直な言葉にするとギスギス…
悩んで悩んでネタをして、ウケれば全て丸く収まるのだが、そうでない時はもちろんさらに関係は悪くなるしそれまで考えていたことも練習も全て無意味になる。
あれだけネタ合わせの時には、笑い合いながらファミレスで書いた文章は儚く…逆に怒りの原因にすらなるのだ。
面白いことをしたくて、客を楽しませたいと言うことはどこか彼方に消え、相方は敵
例にもなく僕もそうだってし、多くの同期は思っていたとおもう
そんなNSCを卒業間近、1人の講師から
次の授業では、
今のコンビ以外で誰と組んでもいい。仲がいい人でもいいし、自分が面白いと思う人とコンビを組んでネタをやってみなさい。
その日のみのシャッフルコンビ
小さい世界ではあるが年末にあるTBSであるドリームマッチのような企画であった。
ワクワクした。
自分が誰と組んでやるかどうはもちろんのこと他の人は誰と組んでどんなことをするのかなぁと…
次の授業は、すごいことになるなぁ
と思いつつも、まずは誰かに声をかけなければ…
1年間ネタ見せの授業を受けて来て多くの同期のこ面白さはわかっていたしスタイルもわかっていた。しかし誰かと組むなんて一度も考えてなかった。
僕は大学時代から組んでいた相方と入学したため自分から誰かに声をかけてコンビを組むことなく過ごしてきた。どうしよう。
と考えていたが、すぐに
一平ちゃんだ。
と思いついた。
一平ちゃんは普段ツッコミをしていて僕もツッコミをやっていたのでネタ的には渋滞するとは思っていたがそんな2人が逆にボケるのもありか!と思った。
一平ちゃんとは気が合う同期だったしそんなことよりも友達だった。
8クラスあるNSCの中で同じクラスではなかったのだが隣のクラスということで、話すことが多かった。それでわかったことがある。
こいつはバカだ
一平ちゃんもぼくに対してそう思ってた思う。
何がきっかけで仲良くなったとかは覚えていないが、なにかのタイミングで2人で過ごすことになった。NSC時代なんて本当に金がなかったから公園で、コンビニで買った缶チューハイ150円で朝まで話した。
ある時は、2人はバカなのに女の子は好きだからナンパをしようと言って結局24時間声をかけ続けていた日もあった。16時間が過ぎたあたりは、ナンパなんて忘れて声をかけることが目的で、朝になり、朝出勤のOLの方にアドリブの漫才を披露をしたりもした。
24時間が経過し、少しの連絡先を得て、財布にすっからかんになった気力も体力もゼロの僕は地面に背中をつけて大の字になった。それを大笑いして写真を撮った一平ちゃん。
そんな2人が組んだシャッフルコンビ、
その名も、
ソウルブラザーズ
今思うとめちゃくちゃダサい、でも当時は本当にかっこいいと思っていた。
一平ちゃんの家に行きネタ合わせをした。
久しぶりに相方意外とやるネタはそれはそれは楽しかったし、笑いが絶えない。
明日みんな驚かしてやろう。
それは誰もが何かを始める時の初期衝動。一番を取ろうと恥ずかしげもなく言える感覚だった。
朝までネタ合わせした。
しかし2人とも途中で興奮し過ぎて、ネタ合わせも完璧になり、酒を飲むことにした。
途中で近くの公園に行こうとなり、無駄話をしつつも自然とネタを組み込んで合わせならすごしているといつのまにか朝になった
そうなると寝ずに授業に行くことに。
NSCの授業は先着順にネタにできる制度でぼくらはもちろん一番先に並びトップでネタをやった。
ネタはややウケ
勢いが大事なネタなのにネタを合わせし過ぎて予定調和になりうまくいかなかった
しかもリズムネタ
楽しそうにはやっていたけど、ルールがないんだよなぁ
と言う講師の、コメントは全てとらえていた。
でも、これが本当にやりたかったことなのだと思った。
2人でめちゃくちゃ笑いながら時間も忘れて一つのことを完成させる。
お互いのことをわかってきてこんなものかと、できることをただやることは当時コンビでやっていた僕らが最初に目指していたこととは違っていた。忘れていた、まずは自分たちが楽しむことを。
トップでネタを終えた僕らはあとは、あとは見ることだけだった。トリオでコントをやっていた同期がコンビで漫才をやったり、ツッコミ一つとってもボケが変わるとこんなことになるんだなぁと思っていつもの授業よりあっという間に過ぎていった。
普段やっているコンビ、相方以外とやってみて新鮮な気持ち、笑いを楽しむ事を取り戻して欲しかった。
授業の最後に講師がそう言った
。思い通りになってしまい、ど真ん中でストレートで三振を取られたような気持ちになりそんな自分に辟易した。
でもそんなことより授業を通してそう思わせてくれた講師に感謝が溢れた。
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