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天皇杯に向けて(2024)


今年の天皇杯1回戦の対戦相手はヴァンラーレ八戸FC。試合会場の八戸に向かって新幹線に乗っている。以前にも書いたかもしれないが、自分は福島県出身。幼稚園まで福島県。小学校は京都府や埼玉県で過ごしたが、また中学と高校時代は福島県で過ごした。東北新幹線でウトウトしていたらトンネルが続いた。福島県に入るサインだ。郡山から本宮、二本松にかけて安達太良山系がよく見える。中学時代はその安達太良山を正面に見て田圃道を通学した。冬の安達太良山は勇壮で美しかった。
仙台を通過してそろそろ岩手県に入る。

雪の安達太良山




天皇杯への思い

クラブも天皇杯には強い思い入れがある。よく監督が言う。「浦安とスポンサーの皆様の名前を背負って天皇杯に出ることは皆様にとても価値のあることだ。そして勝利することで恩返しをする。」
今年の出場で3年連続7回目となる。
千葉県から天皇杯に出場することは簡単ではない。今年も辛勝だった。参加チーム数は全国で6−7番目だと思う。(一番の激戦区は東京都)
2012年に関東リーグに昇格をしてから12年間で天皇杯に出場できたのは先にも書いたが7回。県内ベスト8で敗退したこともある。以前は高校世代も出場可能だったため、柏レイソルU18と決勝を戦ったこともある。こちらは1勝1敗だった。
日本サッカー協会主催の試合ではあるが「天皇」の冠がつくオフィシャルな試合は国家の試合だ。優勝チームは天皇杯が授与される。普段戦えないJリーグのチームと公式戦で戦えることが励みになる。もちろん勝利を狙う。放送の権利はNHKが持ち場合によっては放映される。とても栄誉なことだ。

過去の対戦


天皇杯には数々の思い出がある。2013年は1回戦で筑波大学に敗退。初めての天皇杯出場で少し浮き足だっていた。
2014年は1回戦にJ3のグルージャ盛岡に勝利。キャプテンだった清水がゴールを決めた際にGKのスパイクで足を削られスポーツ新聞に「流血ゴール」と書かれた。

清水康也のゴール

そして迎えた浦和レッズ戦で2−8の大差。しかし公式戦5試合連続無失点の浦和から2得点を奪った。(その後浦和はJリーグ連続7試合無失点を記録となった)
ブラジルW杯の中断明けの試合で、浦和は調整も兼ねてトップ選手で戦ってくれた。素晴らしい試合だった。

日本代表多数の浦和と対決



2017年の1回戦は韮崎アストロスと対戦。初めての山梨遠征だった。そして2回戦は柏レイソル。天皇杯の決勝以外では開催県のサッカー協会が試合の運営を行うが、千葉県サッカー協会念願の千葉対決だ。こちらは0−1での惜敗。JFLに昇格をしており、高いレベルで試合をこなせたと思う。もちろん勝てる可能性は大いにあったと感じた。そして多くの育成の子供達が観戦。印象的だったのは試合終了後に育成のお母さんたちが涙を流しながら拍手をしてくれたこと。天皇杯ではチーム全体が一つになれることを実感した。

育成保護者の皆様


2019年には1回戦は千葉県で行われ、フクアリで法政大学と対戦。現在は日本代表に定着をしている上田綺世選手をトップにおいた法政大学に0−1で破れる。
2022年には1回戦が筑波大学。PK戦で敗れた。
そして2023年、その筑波大学に千葉県開催の優位性を活かせたのか3−2で勝利。U23日本代表の内野選手、角選手に得点を許すも3得点を得た。
そしてついに2回戦に横浜Fマリノスと対戦を果たした。この試合では多くのスポンサーの皆様や育成の選手たちが応援に駆けつけてくれた。0−2で惜敗したもののシュート数もコーナーキックの数も上回り善戦したといえよう。

三ツ沢競技場でマリノスと


全ての天皇杯の試合の一つ一つが心に残っている。そして入場の際に流れる「日本サッカーの歌」は坂本龍一が作曲。これをピッチで聴くと鳥肌が立つのです!感動で涙が出そうになる。
天皇杯、つまり日本国の正式な大会だと思うと背筋が伸びる。

ボール

天皇杯のボールをご存じだろうか?このボールは天皇杯でのみ使用される。今年のボールはモルテン製。天皇杯開催の前週はこのボールで練習をする。

天皇杯専用のボール

購入すると高価なものだ。(2万円近くする)
以前はデザインの違う一般的なボールを探して練習をしていたが、ある年から千葉県サッカー協会が千葉県出場決定戦で使ったボールを借りて練習ができるようになった。ありがたい。
私なんぞがこのボールを「蹴る」のはちょっとだけ勇気が必要だが。

他にもグッズが

他にも天皇杯グッズがある。ピンバッジは日本サッカー協会から郵送されてくる。以前は大会ごとにデザインが違っていたが、この数年は同じデザインだ。これは天皇杯出場チームの証。敗退するまではジャケットにつけて胸を張って街を歩いている。もちろん試合でも。

左が最近のデザイン

出場ADも出場チームのみに送られてくる。このADで負けるまで同じものを使い続けることができる。敗退後無効になる仕組みだ。

ADのデザインも変わった

出場の際にはいつもコーナーフラッグの写真を撮る。自分がここに来た証だ。

天皇杯のみで使うコーナーフラッグ

アマチュアチームはACLには出られない


天皇杯優勝チームはアジアチャンピオンズリーグに出場することができる。JFLも可能なのだろうか?残念ながらプロチームとの規定がある。例外はあるらしいが認められるとは思えない。

ジャイキリ

天皇杯での注目されるのはジャイキリだ。アマチュアチームがJリーグのチームに勝利することをジャイアントキリングと言って必ずニュースになる。最近ではJFLの高知ユナイテッドがガンバ大阪、横浜FCを撃破してベスト16に進出して話題になった。
自分たちは関東1部リーグながらJ3のグルージャ盛岡に勝利できた。なぜジャイキリは起こるのか?いろんな説があるが現場で試合を見ていて感じた理由は以下だ。(私見です)

  1.   Jリーグは過密な日程の中、週末を避けて水曜日に実施される試合にベストメンバーを使わないことが多い。もちろんベスト8など優勝が見えてくると主力メンバーになるのだろうが、格下のチーム相手には日頃ベンチを温めている選手も出場チャンスが来る。でもだからと言ってレベルが下がるとは思えないのだ。普段出場機会が少ない分、この試合で活躍してレギューラーポジションを獲得したいから選手は必死で頑張るのだ。だから格下チームは主力を120%で使ってなんとか試合のレベルに合わせなくてはならない。でもチーム力は別問題。格下チームはいつもの主力なのでチーム力はある。これがちょっとしたことでジャイキリを起こす。

  2.  格下チームは負けて当然。守りに徹するなんて考えない。戦術としては守ってワンチャンスをモノにする、というのは当然あるだろうが、負けて当然なので攻める時はリスクを冒して前に出る。怖いものなしで点を取りに行く。Jリーグチームは格下チームのリーグ戦の様子を分析はしているだろうが、試合が始まると「あれなんか違う」と感じるはずだ。こんな上手かったっけ?と。勝ち負けは置いておくとして、天皇杯を見た皆様が「このレベルのチームがアマチュアリーグでなんてすごい」とお感じになることがあると思うけど、普段のリーグ戦以上のパワーが出るのだ。自分たちもそれを感じた。そして自信になるのだ。

  3. 相手チームの情報が少ない。アマチュアリーグの試合の情報はJリーグのチームから見たら少ないと思われる。一方で格下チームからはJリーグの情報はかなり取れる。ただしリーグ戦メンバー以外がスタメンになることが多いのでどうかはわからないが、監督は同じなので戦い方は変わらないはずだ。かなり細かく分析をして試合に臨んでいる。

あとは自分レベルでは思いつかないが、いつもと違う空間でいつもと違う相手と戦うとちょっとしたことで思わぬ結果になることがあるのだろう。ちなみにJFLのチームが地域リーグや県リーグのチームに負けてもジャイキリとは普通言いません。

ヴァンラーレとの試合は楽しみでしかない

ヴァンラーレには浦安から昨年の夏の移籍で移ったGKの谷口選手がいる。出場するかどうかはわからないが、本当に対戦が楽しみだ。J3とJFLの格の違いを選手たちも感じる機会となるはずだ。
いつか我々がJリーグに昇格をするチャンスが巡ってくれば、こういう強いチームと対戦しなくてはならないのだ。それが励みになるのか、ちょっとナーバスになるのかは人によるだろう。しかしカテゴリーが上のチームとの対戦はプラスにしかならないはずだ。対戦相手が県や地域リーグのチーム、地域の大学のチームなどJFLより格下のチームとの対戦も可能性はあったが、我々はJ3のチームと試合が組めて本当にありがたいことだ。
さてどれぐらい戦えるのか?

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