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金を買い増しする

金需要の拡大と米ドルの膨張

 1945年のブレトン・ウッズ協定で「金1オンスを35米ドルで決められた。金1gに換算すると1.23米ドル、それが今は金1gは74.5米ドルです。

金価格と米国のマネーサプライ

 図は対数表示の金の価格ローソク足と米ドルのマネーサプライを橙折れ線を示しています。USドルの量が増加することにより、USドルの価値が減り、金価格が上昇しています。金の採掘量は年間3,000トン超、いままで掘ってきた金の総量は18万トンだそう、増加率は年間1.6%で米ドルの増加量の前では微々たるものに見えます。
 実需の方を見れば、米政府の米ドルを使ったロシア制裁の反動として、ロシア、中国などの金買いが昨今の金高騰の背景だと聞きます。インドはもともと金文化の国なので急速な経済発展で金需要は高まると想定されます。
 逆に、米ドルが基軸通貨になっている現在、世界経済の発展で必要とされる米ドルが増加するのは当たり前の感じがします。米政府の都合で不必要に刷られている気がしますが・・・。
 このような需要と供給の関係から今後も上下動はあるものの、金価格は上がっていくと思います。 

米ドル基軸通貨転落と日本円

 米ドルの過剰流通、ペトロダラーとしての紐づけが怪しくなっている関係で米ドルの基軸通貨は危うい状態で、「新たなデジタル通貨を作って金と紐づける」のが最近話題の金融リセットかと疑ってます。これだと確かに基軸通貨と金の関係がリセットと言っても過言ではありません。
 英ボンドが基軸通貨の座を滑り落ちた時も金は安全資産だったので、米ドルが基軸通貨でなくなるくらいでは金は大丈夫という可能性が高いです。ただ、米ドルが緩やかに下落するのに対し、日本円は米ドルと良くも悪くも連動しているので、日本円はもっと悲惨な運命を辿りそう。
 金を資産の一つとして持つということは、インフレヘッジになるとともに通貨混乱の保険にもなりそうなので、金の買い増し(積み立て)をすることにしました。

金の購入手段

 金の種類は大きく分けて現物とETFを含む投資信託の2種類に分けられると思います。買い方として、積み立てか一括の2種類、あとは米ドル建てETFという手もあります。米ドル建てETFも買って検証してみたが、購入手数料が高く、管理面もめんどくさく(特定口座で購入したのが一般口座に)、リスクも増えただけでした。評価額は日本のETFと同じだった。
 今回は、金の現物、日本円の金投資信託について調査しました。

純金積み立て(現物)

 純金積み立ての実態はどうなっているのか気になっていたので、最初に調査してみました。

$$
\begin{array}{|c|c|c|} \hline
項目 & 楽天証券 & 三菱マテリアル \\ \hline
名称 & 金・プラチナ取引 & マイ・ゴールドパートナー \\ \hline
年会費 & 無料 & 880円 ※1 \\ \hline
web価格 & 11,755円/g & 12,919円/g ※2 \\ \hline
スプレッド ※3 & 78円 & 87円 \\ \hline
買付手数料 & 1.65% & 2.6% \\ \hline
積み立て ※4 & 定額1,000円以上 & 定額3,000以上 \\ \hline
引出 & 100g,500g,1kg & 5g以上5g単位 \\ \hline
引出手数料 & 5,500円/100gバー & 8,250円/100gバー \\ \hline
消費税相当額 & 引出金額の10% & なし \\ \hline
送料 & 2,200円/100gバー & 1,650円/100gバー \\ \hline
\end{array}
$$

2024.6.24調べ
※1 残高報告書等郵送物の送付停止手続きで年会費無料
※2 消費税込み、楽天証券の場合ロンドン保管のため消費税はかからない
 ただし、引出のときに課税される
 楽天証券価格11,755円 + 消費税10% 1,175円=12,930円
※3 webでの購入価格ー売却価格
※4 毎営業日積み立てする、楽天証券は定量もサポート
※5 金の現物を売却した場合の所得は譲渡所得、総合課税の対象として確定申告が必要
保有期間が5年以内の場合 短期譲渡所得
保有期間が5年超の場合   長期譲渡所得
短期譲渡所得 = 売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円
長期譲渡所得 = <売却価額-(取得価額+譲渡費用)-特別控除50万円>×1/2

その他、楽天証券で取り扱っているものに、三菱UFJ信託銀行の「金の果実シリーズ」があるが、金への転換単位が最低1kgと大きいため断念

現物購入シミュレーション

 楽天証券の金・プラチナ取引と三菱マテリアルのマイ・ゴールドパートナーのマイ・ゴールドパートナーを以下の条件でシミュレーションしました。

  1.  楽天証券は毎月5万円、三菱マテリアルは消費税を加算した毎月5.5万円で5年間積み立てを実施後、200g(100gバー×2)での引き取り

  2.  楽天証券価格で11,755円から5年間で5,000円単調増加を仮定

  3.  三菱マテリアル価格は楽天証券価格×1.1-11円とする

$$
\begin{array}{|c|c|c|} \hline
項目 & 楽天証券 & 三菱マテリアル \\ \hline
投資額 & 3,000,000円 & 3,300,000円 \\ \hline
取得g数 & 212.7g & 212.8g \\ \hline
購入手数料 & 49,500円 & 81,900円 \\ \hline
引出手数料 & 11,000円 & 16,500円 \\ \hline
消費税相当額 & 326,760円 & 0円 \\ \hline
送料 & 4,400円 & 3,300円 \\ \hline
100gバー×2 取得金額 & 3,398,440円 & 3,405,600円 \\ \hline
楽天ポイント & 15,000円 & なし \\ \hline
\end{array}
$$

 シミュレーション条件では楽天証券の方が7,160円安い+カード積み立てで楽天ポイント15,000円お得だが、金の価格の上下動の具合、途中で消費税が上がるなど条件が変われば結果も変化しそう。

金のETF、投資信託の違い

 ETFは株と同様にすぐ売り買いできる、購入単位が結構大きいのに対し、投資信託は積み立てできる、購入金額が100円から買えるなど違いは結構ありそうですが、単純に楽天証券の投資信託タブから選べるのが投資信託だというのが私の理解です。

金のETF

 楽天証券で取り扱っている金ETFの一覧を下表に列記します。金のETFの税金は、株式と同じく20.315%であることが現物と大きく違います。しかも、特定講座で楽天証券が面倒見てくれて確定申告必要ないという特大のメリットがあります。
 新たに買うとしたらETFでは信託報酬が最も安く、純資産も多い「1672 ETFS 金上場投資信託」がよさげですが、出来高が少なく思ったように売り買いできないかも知れません。私は若干信託報酬が高いですが「1540 純金上場信託」にします。

$$
\begin{array}{|c|c|c|c|} \hline
ETF名 & 信託報酬 & 純資産※6 & 最低売買代金 \\ \hline
1326 SPDRゴールド・シェア& 0.4% & 62,809 & 33,840円 \\ \hline
1328 NF金価格連動 & 0.55% & 15,481 & 89,280円 \\ \hline
1540 純金上場信託 & 0.44% & 416,938 & 11,065円 \\ \hline
1672 ETFS 金上場投資信託 & 0.39% & 753,414 & 34,110円 \\ \hline
\end{array}
$$

金の投資信託

 投資信託は、現物いらないけど積み立てしたいという場合はいいと思います。この中では、信託報酬の安さでは2番目だけど、純資産の大きいゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)がお勧めかも。税金面の条件はETFと変わりません。さらに、NISAは売却に税金かからないという意味で金しかやらないという場合はNISAがお得だと思います。 

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\begin{array}{|c|c|c|c|} \hline
投資信託名 & 信託報酬 & 純資産※6 & 申込単位 \\ \hline
Smart-i ゴールド・ファンド※7 & 0.375% & 2,017 & 100円~ \\ \hline
ゴールド・ファンド※7 & 0.407% & 34,015 & 100円~ \\ \hline
iシェアーズゴールドインデックス・ファンド※7 & 0.5085% & 21,084 & 100円~ \\ \hline
\end{array}
$$

※6 単位百万円
※7 為替ヘッジなし

投資信託為替ヘッジあり/なしの謎

 投資信託に書いてある為替ヘッジあり/なしはよくわからないので、目論見書を読みました。
 為替ヘッジありは、

  1.  円高時に為替差損の回避を図れる

  2.  ヘッジ対象通貨の金利が日本の金利を上回る場合、リターンが低くなる

  3.  円安時に為替差益を得られない

と書いてある。マザーファンドが米ドルETFに投資時にヘッジコストが掛かる(ドル円の金利差が大きい)。さらに、金の価格は米ドル評価なので日本円で見ると円安になると本来上がるはずが、ヘッジが効いて日本円での海外上場投資信託証券の評価額が変わらない仕組みなのでしょうか?
 設定(2017.07.31)来の基準価格は、ヘッジあり+40.69%に対し、ヘッジなし+145.75%なので、ヘッジコスト掛かり過ぎ、あるいは、円安の為替差益の遺失利益が効き過ぎ!
 頭が混乱しそうなので、下手に為替ヘッジありを選ばない方がいい気がします。

どうするか

 チャートをみて「1540 純金上場信託」を分割購入しようと思っているのですが、他のことに気を取られて買ってないという事態もありそう。「ゴールド・ファンド(為替ヘッジなし)」も月々積み立て設定します。


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