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[Kill=slayd]――『私が愛したヴィジュアル系』

〈1987文字〉

お鍋がぐらぐら煮えたぎるような『Death 13』のイントロを流しつつ、今回は[Kill=slayd]を紹介します。

1993.10   Al『Death 13』
1995.03.06 Al『-Perpheral-』
1996.11.12 Al『Krank』
1997.06.25 Al『HEAT』※メジャーデビューアルバム
1997.07.24 Sg『激しく強く壊れるほどに』
1997.08.21 Al『undertaker』
1998.01.21 Sg『Krank~JET the PHANTOM MIX~ / believing』
1998.03.25 Sg『Masquerade』
1998.07.23 Al『Higher』
2015.08.31 Al『COSA NOSTRA』※リテイクアルバム

前もって断っておきます。他のメンバーさん、ごめんなさい。
今回は、TOKIさんの話だけになると思います。
多少は『そうなるだろうな……』と感じていらっしゃったのではないかと、勝手に想像したりもしております(拝)。

さて、これから変な話を始めますよ(笑)。

まず、みなさんは私が小説家志望であることを覚えてらっしゃるでしょうか?

そんな私が、奇跡的にも、栄誉ある新人賞を受賞し、東京でその授賞式がおこなわれるとします。
いやいや、待ってください。どこに行くのです?
あくまで仮定の話なんだから、もうちょっと聞いてください。
アッ、ほら、そこの自販機の缶コーヒーおごりますから。

で、私は、ぼさぼさの頭、安物のシャツ、文字通りに擦りきれたジーンズの自分の姿を鏡で見て、ため息をつき、『困ったことになった……』と思うのです。

私は部屋の中をぐるぐる歩き回ることになるでしょう。
そのとき、ふと頭の上に電球が瞬きます。
いえいえ、電気を止められたわけでも、ロマサガで技を覚えたわけでもありません。

『そうだ、TOKIさんを頼ろう!』となったわけです。

そして、長ったらしい文章を相手に送ります。
恥知らずにも『至急』なんて言葉も添えて。

数日後、TOKIさんから返信が来ます。
たぶん、ご自身で調べて、私の言うことが本当らしいことは気づいてくれているようです。
『で、おまえさんの小説のタイトルはわかったが、どんな話を書いてるんだい? おれは趣味嗜好で人を殺すやつは読まんぜ』

取り急ぎ、私は受賞した小説を添付したメールをTOKIさんに送ります。
たぶん本当はいけないことでしょうが、私は送ります。あの方には全幅の信頼がありますから。一応、電話番号も書き添えておきます。

すると、半日後、電話が入ります。TOKIさんからのホットラインです。
私は新しい内閣総理大臣さながら、その見たことない電話番号の電話に声を震わせながら出ます。『ハロー……』

『いいか、頭はぼさぼさだって言ったよな。それだけは切ってくるな。あとはそう、ユニクロだろうがワークマンだろうがどんな格好でもいいいから、式の一日前には、おれんちに来い!』
『あ、あのですね、TOKIさん。実は、ぼく、手持ちのお金が全然――』
『おい、いいか。そういうことをきみが言い出すのであれば、きみの思う桁違いの額を払わなきゃならなくなるぜ。そんなの考えないでいいから、とにかくできるだけ早く来い。どんな男か、顔を見せてくれよ』

で、授賞式では、ロングコート姿で指先の空いた手袋をし斜に構えた立ち姿で、京極夏彦御大には『なんだおまえ?』という目をされながら、舞台の上のマイクの前に立つのです。

え~と、そう、私は異常者です(笑)。

いえ、私のことじゃなく、TOKIさんのことでしたね(いや元は[Kill=slayd]の話ですけど)。

こんなことを言うのは、あの方ほど、自分の魅せ方をご存じの方は、他にいないからです。
このことはヴィジュアル系であるかぎりメンバーには必須の条件なのですが、あの方以上にそれがお上手な方を、私は知りません。
※だってほら、今じゃなかなか手に入らない『Krank / believing』や『Masqurade』のアー写だって、メチャクチャかっこいいじゃないですか! もちろん今現在の[C4]でも。

だからこそ、弁が(それに筆も)立つことが、かえってイメージを損なってしまっているようにも見えてしまうのですけど。
お茶目が過ぎるのです(笑)。

黙っていれば、よわいに関係なく、貴公子然としていらっしゃるのに、なぜか自分から、見た目を殺し屋スタイルに寄せていってるんですもの。
まぁ、これは、サービス精神から、お茶目さが見た目にまで影響されたのでしょうけど。それにこれは、ちょっと昔の話ですしね。
今は、やっぱり、どのお写真もかっこよくていらっしゃいます。

そんなTOKIさん、否、[Kill=slayd]の中から私が特におすすめする一曲は、『Autumn Wind』です。

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