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[D≒SIRE]――『私が愛したヴィジュアル系』

〈2907文字〉

今回の紹介は、[D≒SIRE]です。

持っている音源を紹介します。

1995.08.05 Al『終末の情景 ―La Scene Du Finale―』
1998.11.11 Al『異窓からの風景 ―失われた終末の情景―』
       ※メジャーデビューアルバム
1998.12.16 Sg『STAY』
1998.12.21 Al『転生前夜 -Re-BIRTHDAY"EVE"-』

他のメンバーさん、ごめんなさい。
幸也さんについて語ることになると思います。

※『幸也』という名前でどんな有名人が現れようと、仮にイーロン・マスクが『今後おれのことを幸也と呼んでくれ』と言ったとしても、私の中での『幸也』は、藤田幸也である『幸也さん』ただ一人です。

まずはじめに、なぜ抜きん出たセールスを誇り、V系ファンなら知らぬもののないこのバンドの紹介を、こんなにも遅らせたかといえば、理由はただ一つ、とにかく幸也さんに嫌われたくないからです。

あの方、怖いんだもん(笑)。

あなたが、ライブ終わり、土砂降りのなか待つこと三時間、専用通用口から出てきたところで、『今日のライブ感動しました。できたら握手してもらえませんか?』と手を差し伸べたとしましょう。
相手は『さわんな!』と言って立ち去る――、いいえ、そんなことは幸也さんは絶対に、絶対になさいませんが、それくらいしそうだというくらいの認識で、私にとっては怖い存在なのです。

あの方に対し、私がそういう受けとめ方を勝手にしているというだけですので、現実として、絶対に上記のようなことは起こりません。
安心してファンの方は出待ちなさってください(もちろん『出待ち』は前提としてアーティスト側が許した場合に限られますが)。

本当はあの方は、雪の降る日、野外で何時間も自分を待っていたファンだった若者を、『ローディに来ないか?』と、誘ってあげたような方なのです。

とはいえ、どうして幸也さんをこんなにも、入場中ながらリングに全然向かわぬブルーザー・ブロディばりに恐れるかと言えば、大好きなため、頻繁に見ているSNSがそうさせるのでしょうね。

幸也さんのやり方に進言しようものなら、たちまち血祭りに上げられますから。

たとえば『もし幸也さんが個別のメールマガジンじゃなく、もっと公に活動報告を発表し、音源を市場に一般流通させたら、Twitterのフォロワー数なんて軽く1万5千はいくはずですよ。あなたがアドレスを知らないあなたのファンは、あなたが思っている以上に、桁違いにいるのですから』と言ってみたとしましょう。
『これがおれのやり方なんだよ。きみの知らない事情が様々あるのさ』と、冷たくあしらわれるくらいがオチな気がします。
実際怖くてそんなメール送れませんが。

いい加減、私は何を言っているのでしょう(笑)。

おそらく、コレを読むみなさんに馬鹿にされても、幸也さんは笑ってくれる気がします。

幸也さんを笑わせるためにコレを書いたのですから。

「おいおい、あの幸也さんが、わざわざこんなもの見てると思うのか!」というご指摘、承知しています。
そう、絶対見ないとは思うのですが、あの方、結構目を光らせていますから。

そんな[D≒SIRE]のおすすめ曲は全部、一曲目に聴いてほしいのは『追憶』です。


後日、この記事を読まれた方よりお便りが届きました。

「あなたは初期のシングル三部作『静夢』『楽園』『追憶』をお持ちでないという。それとも曲名の“存在(哀・声・徨・輪!)”は知っていても、そっちの存在を知らないのかな? とても幸也ファンとは呼べないねww」

お答えします。
フム。では、あなたは私が所持している音源を挙げ、故意に初期三部作への言及を控えたことに気づかなかったのですね。
触れないという表現方法を用いて、あえてそこに理由があることを察していただきたかったです。
本当のファンなら、そこにいくばくかの理解を示し、黙認してくれたはずですから。
三部作の音源そのものは言うまでもなく素晴らしいです。
技術にまさる初期衝動の勢いがそこには込められていますから。
それに、クリアな幸也さんの声の『人工楽園』は、今のところそこでしか聴けませんしね。
もし、今、30年近い時を越え、あの12曲を(素直に聴ける形で)リマスタリングしていただけたものが世に出たなら、この上ない幸せでしょうね。
V系ファンの多く人が『終末の情景』のリマスタリングを望まれるでしょうが、私はこちらを強く望みます。
それよりも、すでにリマスタリング済みであるデモテープ五本と『独白』のリリースを先に期待したいところですが(幸也さんの性格からして、言うほど実現不可能になるような……ファンのお叱りが聞こえます。ええ、わかっています。できるだけ触れないようにしたかったのですけどね。思い起こすと、聴きたい気持ちが湧き起ってしまいました。特に『TEAR』と『UNDER』を……)。

そういえば、[WITH SEXY]の五枚連続シングルも、真ん中の『孤独の中で愛した君』の音だけが、やけに小さ……ゴホゴホ。

またもお便りが届きましたよ。以前は男性でしたが、今回は女性の方です。色んなバンドがあるのに、なぜこうも[D≒SIRE]ばかりなんでしょう(苦笑)。

「小説家志望なら、エッセイなんて書かず、小説でバンドのことを扱えばいいのに。あと、『異窓からの風景』には『想刻』と『断章』が、やっぱり“存在”しますから、省かないでください」

スタン・ハンセンの入場曲(サンライズ)が聞こえてきそうなお便りですが、私はこの方のご指摘には満腔の謝意を表させていただきます。
※そのような女性には、私のほうから『...I say ...「Calling」』と直電を求めてしまいます。

[D≒SIRE]の項ですから、先に後段からお答えします。
私も当時は『異窓からの風景 想刻』と『異窓からの風景 断章』を発売日に買い、(いわゆる完全盤の)『異窓からの風景 ―失われた終末の情景―』を買って以降は、そちらだけを持ち続けていましたが、今回を機に、『想刻』と『断章』を買い直したところ、曲によってはちょっとした違いが
あることに気づかされました。
それまで私は、冒頭の幸也さんの語りと『MOON』の違いだけと思っていましたが、それに加え、『想刻』では『静夢』『C.U.R.S.E』が、『断章』では表題曲でもある『断章』が、完全盤とは少し異なっていますね。確かに、このことを知っていれば、『異窓からの風景』は大好きな音源だけに省かなかったでしょう。ご指摘に感謝いたします。
ただし、書き直すと齟齬が生じますので、このお便り箇所を残すことで、訂正代わりとさせていただきます。

あと、『小説でバンドのことを書け』とのご意見ですが、思い付いたもので書いたものならあります。
『結成秘話』というタイトルの2万7千字ほどの短編で、実在の人物や団体とはいっさい関係のないフィクションです。
もしこのエッセイの有料記事が一つでも売れたら、(やはり有料になりますが)公開することを予定しています(何をしてほしいかは、おわかりですよね(笑))。

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