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[GULLET]――『私が愛したヴィジュアル系』

〈1086文字〉

伝説のバンド[GULLET]を――、私なんかが紹介できればいいのですけど(苦笑)。

2002.11.27 Sg『desert』
2003.07.05 Sg『acid me』
2003.07.07 Al『Mad bless you』
2003.10.27 Sg『Hide and Sick』
2003.11.03 Sg『hidden baby』

……なにも言えねぇ。
で、終わらせてはダメですよね(笑)。

音源を発売日順に箇条書きしただけで、満ち足りた過去のひとときに思いを馳せるような、溜息をつきたくなるような感覚になります。

私は音源がすべてですので、音源だけで言わせてもらうと、たった一年で、とんでもないインパクトをヴィジュアル系界に残したのですからね。

言うなれば、『ヘイ、ユー、これがニューガンダムだぜ』と言われたような感覚でした(笑)。

音源発表時のメンバーは、vo.漾, gt.玲央, gt.覚, ba.ゆきの, dr.アキ(敬称略)です。

このバンドを『みなさん、聴いてみて!』と勧めるには、ためらいが生じます。一つは好きになるには曲数が少なすぎること、二つ目は音源がどれも入手しにくい価格帯であること、三つ目は曲そのものがメチャクチャかっこよくも、王道とは呼びにくいものだからです。

言いましょう、このバンドは、小説でいうところの『ドグラ・マグラ』なのです。

私は『ドグラ・マグラ』が大好きです。
福岡市民でよかったと思えるほど(地名から方言の細かなニュアンスまでわかりますからね)。

そういえば、『Mad bless you』の1曲目である『アリス』の歌詞だったと思いますが、漾さんは京極夏彦さんの『魍魎の匣』から着想を得たとおっしゃってましたっけ。

やった!
つながった!
京極夏彦御大は、夢野久作さんを敬愛してらしたはずです。

だってまったくそんな気なく、『ドグラ・マグラ』を引いたのですよ!

どうです、伊達に小説家志望じゃないでしょう(笑)。

そんな[GULLET]のおすすめの一曲は(忖度あり? いやなく!)『アリス』です。


追記――。
これは文学にも同様のことが言えると思うのですが、このバンドに限らず、いつか、碩学たる音楽家が研究がてら様々な分野に手を伸ばし、この分野のこの時代のバンドに行き当たり、驚天動地し、再評価される時代が来るのではないか、などと思ったりもしています。腕力がなく、誰もその音に気づかないでしょうが、この随想録がその鏑矢かぶらやの一矢となることを願っています。兵士みなに届けとは言わない。せめてちゃんと鏑矢を放てる人に届くことを願って(笑)。

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