見出し画像

[ヴィドール]――『私が愛したヴィジュアル系』

〈1456文字〉

歌詞最強つながりで、[ヴィドール]を紹介します。

このバンドも結構な数の音源があるので、持っているオリジナルのフルアルバムだけ列記します。

2006.11.22 『V.I.D~Very Important Doll~』
2007.11.21 『Bastard』
2009.03.25 『Esoteric Romance』※メジャーアルバム
2010.01.20 『Monad』
2011.04.20 『XI』※vo.樹威さんのソロメジャーデビューアルバム

思いのほか、オリジナルのフルアルバムがこれだけだったことに驚かされます。活動期間中、休むことなく音源を出し続けていたバンドだった記憶があるので。

今でこそ、インディーズでもフルアルバムは当たり前になりましたが、当時はよほどの実力派バンドか、フルに執着するバンドでないと出せませんでした。

ずるい考え方ですが、ミニアルバム2枚出したほうが儲かりますからね。
そして、この初フルアルバム『V.I.D~Very Important Doll~』も、当時の私の印象としては、まぁまぁな割高価格で売られました。

今更触れることでもないかもしれませんが、このバンドは所属事務所の意向もあり、ミニアルバムが多く、フルにせよミニにせよ、ベストアルバムが多いバンドでした。実際ここまで、その方針に振り切ったバンドも少なかったように思います。ひるがえって言えば、それでも売れると確信できるほどの人気(事務所側からすればドル箱)だったわけですが。正直、現役のファンをないがしろにしたわけではないと思いますが、結果として、まとめられた音源を容易に入手できた後追いのファンの方が、うらやましく思えましたね(苦笑)。あくまで音源好きのたわごとですが――閑話休題。

このバンドも、vo.樹威さんの卓越した歌唱力と類を見ない歌詞センスに尽きると、個人的には思います。

[ヴィドール]は前期と後期で、バンドコンセプトがまったく異なります。

初期の『とりかぶと』や『平和ノ謡』、それに『僕、僕。』や『新聞マスコミ関係者の方へ…』などは、一体どういう生き方をしてきたら、こんな歌詞が書けるのだろうと、異常な世界観でありながら感心しきりでした(おとぎ話を現代風にアレンジした『人魚』もまた出色の出来です)。

後期の『Bastard』や『Merry X'mas 2 u』や『PUZZLE RING』、それに『Cryptic Tokyo』や『PROMISE』や『Memories』や『Dear close friend』(ちょっと後期が多いな(笑))などは、聴くたび、ふとした瞬間、目頭が熱くなります。
「文は人なり」と言いますが、本当に同じ人間の歌詞なのかと疑うほどです(笑)。
※でも実は、人の心理が持つ光と闇というべき、この歌詞の振れ幅と多彩さこそ、樹威さんらしくて、それは現在のバンド[GOTCHAROCKA]でも十二分に発揮されています。

そして、その中間(変わり目)に位置する『Sister』という名曲――樹威さんの亡くなられた妹さんを唄った曲です。

ソロでは『招待状』も好きですね。ヴィドール(樹威さん)は、どのアルバムも、一発目に未発表のキラーチューンを入れてきてくれるのがうれしいですね。

良曲は上記で触れた曲をはじめとして、シングル曲など数限りなくありますので「素敵を召しませ」という[L'Arc-en-Ciel]『heavenly』のキャッチコピーを剽窃して、今回は擱筆するとします。

//