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[ACiD]――『私が愛したヴィジュアル系』

〈1910文字〉

“I”の字が小文字の[ACiD]を紹介します。

2000.01.21 Al『OXIDIZE PHENOMINA』
2000.08.21 Al『囚。―ト・ラ・ワ・レ―』
2001.02.20 VA『LOOP OF LIFE』

CDリリースの前、デモテープ4本出したときから、『いいバンドらしい』との風の便りは聞いていましたが、2曲入り1000円のデモテープは手が出ませんでした……。

いま思えば、買っておくべきだったと思います。
名古屋発でそのような噂のあるバンドは、もう間違いないですからね(笑)。

1stCD『OXIDIZE PHENOMINA』は、[kein]の『朦朧の実』とともに、ライカエジソンさんで予約購入(通販)させていただいたことを覚えています。

CDの音源しか知らない私にとって、音源を持ち続けるか否か、長く悩ましい存在でした。楽曲と魅せ方は、好きなバンドであるのは間違いないのですが、いかんせん、曲数が少なすぎます。SEを除けば、CD化された楽曲は10曲ですからね。

当時デモテープを聴いていれば、きっとこの印象は違ったはずです。
悩む必要もなく『手放さず、音源を持ち続けるべきバンド』と確信できたでしょう。たとえのちにデモテープを手放したとしても、その確信は維持し続けたはずです。デモテープ音源は持っていないながら、今もそういうバンドは多々ありますから。
このバンドのは、まだ聴いてないのですけどね(笑)。でも、きっといい音源のはずです。

あらためて、軟派な(慰撫する)バンドより硬派な(鼓舞する)バンドが、私は好きなんだと思いますね。
不思議とこのバンドは、私自身にそう知らしめてくれるバンドでもあります。きっと、長年『手放す?』『手放さない!』で揺れる秤の針がきわどい位置にあったから、そう感じられたのでしょう(失礼な話で申し訳ありませんが(苦笑))。

デモテープ時代のジャケットからはちょっと想像しづらいですが、実はバリバリ硬派なバンドなのです(楽曲もですが、特にvo.Akitoさんの声が)。

私が考える、古き良きヴィジュアル系バンドの一角であることは間違いないです(やや名古屋に偏りがちですが(笑))。

ちょっと戻って、私が言う『軟派』か『硬派』かは、見た目や楽曲以上に、バンドとして一本筋を通しているかに因ります。
なよついた曲調でも、筋が通っていれば(それが真剣であれば)かまいません。
それなりの曲さえ書けていればいいのだろうとファンを見くびっているバンド、耳触りがよいだけで歌詞に主張が感じられないバンド、ホストのようにふるまうバンド、あからさまにエンタメ系に走ったバンドは嫌いですね。
あと、この場を借りて申し上げますと、暴力的な行為や残虐な文言を歌詞に入れるバンドも嫌いです。
イメージとして演出する分には、まだかまいません。
でも、それを言葉にするのは、表現の自由でも許されないことです(メジャーで許されないことは、インディーズだから許されているというわけではありません)。
なにより自分たちを応援してくれている若い子たちの情操に悪影響を与えます。
それは、バンドマンとしてではなく、人(年上の人間)としての前提条件なのですから。
たとえ一曲であれ、その音源を残したことで、バンド自体に悪い印象を一生刻み付けることになると、私は思います。
たった一曲(もっと言えば、そのワンフレーズ)のために、昔は好きでも、今は嫌いになったバンドもいくつかありますから。
それと最後に、昔は許されたかもしれませんが、ヘッドバンキングを奨励するバンドも苦手です(前列にいるそれをしたい子のために、少しやって見せるのは仕方のないことかもしれませんが……)。

話を男塾に、いえ、硬派な[ACiD]に戻しましょう(笑)。

1997年、メンバーが現体制となり、デモテープ発売などにより地元では人気・実力は知れ渡っていて、2000年『OXIDIZE PHENOMINA』発売で、いよいよ全国規模での本格活動開始のような受けとめだっただけに、その後、約一年で解散してしまったのは残念でなりません。
デモテープのリテイク(ないしはデモテープ音源そのもの)でもかまいません。最後にあともう一つ、このバンドの記念碑的なアイテムが欲しかったですね。
そんなわけで、入手困難な音源2曲を収録した『LOOP OF LIFE』を企画してくれた方には感謝しかないです(笑)。

そんな[ACiD]のおすすめの曲は、代表曲『Silhouette』と思いきや、一分近くある雄壮なイントロと初めて聴いたAkitoさんの声に射抜かれた『Mission Control』です。

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