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[ROUAGE]――『私が愛したヴィジュアル系』

〈2350文字〉

次はどのバンドにしようかとさんざん悩んだのですが、最初に買ったインディーズCDが、このバンドのファーストアルバムだったということで、[ROUAGE]を紹介します。

若干短めになると、前もってお伝えしておきます。
なぜかというと、私がこのバンドを好きだったのが、全活動期間における半分くらいまでだったからです。

実は、雑誌の広告を見て、初めてインディーズCDとして、アルバム『ROUAGE』の初回盤をタワーレコードで購入して以降、思い乱れたものでした。
「このCDはやたら暗いが、本当にかっこいいのだろうか?」と。

率直に自分が求めている楽曲ではなかったことを記憶しています。
だって、[DIE IN CRIES]とか[LUNA SEA]とか、万人受けするものを求めていたのに、ぜんぜん万人受けするものではなかったのですから(笑)。
歌モノもあるにはありますが、当時の私にはアングラ要素が強すぎたのです。『Creation-審判-』の曲終わりなんて怖すぎます。ヘッドホンで聴かせたら子ども泣きますよ。

でも、スルメ的に聴くごとに好きになり(ミーハーな私には人気がすごかったというのもあったでしょう)、『理想郷』が発売されたときには、いろいろ手を広げた中でも、もっとも好きなバンドになっていました。
とにかく当時は、名古屋系が好き、というか名古屋系がムーブメントでしたね([FANATIC◇CRISIS]とか[雫...Shizuku]とか)。よく雑誌で宣伝していましたから(もちろん[Laputa]もいましたが、こちらはマネジメントが違ったのかな。それほど多く広告紙を見た覚えはなかったです。そんなのいらないくらい爆発的な人気でしたけど)。

『理想郷』――名曲中の名曲です。
こんな壮大さを兼ね備えた楽曲は、インディーズ界ではそれまで聴いたことがありませんでした。
カップリングの『発情期』も好きです。交互に繰り返すフレーズがあるのですが、それが均一でないのがいいですね。
曲以外で言わせてもらうと、ブックレットのデザインされた集合アーティスト写真が、またとんでもなくいい! ベロア調や黒プラスチックにせず、なぜこれをジャケットにしなかったのだろうかと思うほどの出来です。

それに『under the rose』『erasure』『LEAVE』『So White(ライブ演奏のみ)』など、メジャーデビューする直前の楽曲は、本当に珠玉ぞろいです。
メンバー脱退の事情があったにせよ、今現在においてもこれらの音源が一部の人しか聴けないというのは、ファンにとって(おそらくメンバーにとっても)残念なことと言えるでしょう(『erasure』だけはのちに収録されました)。

そして、メジャーデビューシングル『Queen』――1度聴いたら耳から離れないヴィジュアル系界のマスターピースというべきこの楽曲は、最後まで彼らの代表曲でした。
メジャーファーストアルバム『BIBLE』はジャケットの仕様同様、ちょっと物足りなさを感じました。それでも彼らの中で二番目に好きなアルバムです。
セカンドシングル『insomnia』は、彼らには珍しいくらいのケレン味あるキラーチューン、続く『白い闇』は彼らの中でもっとも売れたシングルでした。

それを経て、リリースされたセカンドアルバム『MIND』(私が発売日として最後に購入した彼らのアルバム)でしたが、その楽曲は、私がそれまで思い描いてきた[ROUAGE]の雰囲気とは違うものになっていました……。
もちろん、『MIND』やそれ以降の『CHILDREN』や『SOUP』、『Lab』が好きな方を否定するわけではありません。
その頃の[ROUAGE]が一番好きという方もいらっしゃるでしょう。
芸術が心の琴線に触れるかなんて、その人次第です。
もっと言えば、その人のその瞬間の五感次第といえます。
決して理屈で測れるものではありません、絵画も、音楽も、立体アートも、小説も。
だから、自分の苦手だったアルバムに点数を付けるとか、星いくつ付けるとか、私はしません。
『私には響かなかった』とだけ伝えます。
このようなことは今後も起こりうると思いますが、『自分は好きなのに』と思った方も、どうかお気を悪くなさりませぬようお願いいたします。

私の小説を数行読んであざ笑いゴミ箱に捨てる人がいれば、日にちが経って読み返してくれる人もいるのです。
それが世の中というもので、私は後者に感謝しますが、前者に腹を立てることはしません。出会い方がちょっと悪かったのです。彼が見ているテレビの前でも横切ったのでしょう(笑)。

でも、何はともあれ、[ROUAGE]好きならみんな大好き『蜃気楼』は、私も文句なしに大好きです。これもまた手に入れにくいですけどね。

なんだかんだで、それなりに長くなってしまいましたね。
個人的に[ROUAGE]には愛着があり、発売されたシングルは8cm・マキシともどもすべて持っています。カップリングでしか聴けない曲・リテイクされた曲がありますから。
やたら入手しにくい良曲があるのと、中途半端なベストアルバムで定評の彼らですが(笑)、事実、彼らほど正式に、ファンに望まれる形で、華々しいメジャーデビューを飾ったバンドをほかに知りません。

あと最後に、今は[ROUAGE]のインディーズアルバムの初回盤は持っていません。もしかしたら、新品で買ったもので今も持っているものは、一つもないかもしれません。実は一度、CD集めからすっかり手を引いたことがあったのです。
燃え尽き症候群というのとはちょっと違う、突き詰めて断捨離をしていったら、本当に何もなくなったのでした。その数年後『やっぱめっちゃいい!』と死灰復然します(笑)。

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