ベースという楽器の存在感を高めたのは、間違いなくこの曲だ!

SHUTTER SPEEDSのテーマ

ジャジャーンとベースをかき鳴らしながら、ステージ前方にJIROが歩き出したら、この楽曲の始まりだ。酸欠覚悟で、とにかくJIROの名を叫び散らす。喉の奥の奥の粘膜までカラカラになるほどに。

96年11月にリリースされた『BELOVED』に収録されている楽曲。
リリース前の9月9日にGLAYが初めて武道館のステージに立った時に、初めてお披露目された、初めてのJIRO作曲の楽曲だ。
そして、ベースの存在感を一気に高めた曲であると思っている。ベースがイントロのメロディーラインをガンガン弾くような楽曲を、個人的にあまり知らないだけかもしれないが、リズム隊と称されるベースが前に出ることは、珍しいことだろう。

個人的には、GLAYを好きにならなかったら、中でもJIROの一挙手一投足が気になって仕方ない心理にならなかったら、ここまで楽曲の中でのベースに耳を傾けることはなかっただろう。その先駆けとなったのが、この楽曲だ。

この楽曲の妙は、出たしのJIROのベースだけにとどまらない。そう、彼は、ベースをかき鳴らしながらAメロを歌うのだ。
これまで、コーラスはしていたけれど、リードボーカルをとるのはもちろん初めて。ライブでは、会場を「行くぜ〜〜〜〜!」と一気にまくし立て、そのままボーカル&ベースのAメロに突入する。
TERUの艶やかで色気のある声は、GLAYの象徴であるが、JIROの元気で澄んだ声もまた、ライブには欠かせない存在だ。
ライブには、音源にはない演出が散りばめられている。
♪ヨリを戻したんだって 人騒がせな! の後に、その地域や会場名をやや早口に叫び、会場のボルテージをさらに一段あげる。
ここまで、イントロから30秒足らずだけれど、すでに酸欠気味であることを自覚し始めるほど、見所が多すぎる。

ここまで当たり前のように、ライブありきで話を進めてしまっているが、まさにベーシストJIROの楽曲はライブ映え必至。
音源だけを聴いて楽曲を判断すること勿れ!
GLAY楽曲すべてに言えるのだが、特にJIRO楽曲は、ライブまで含めて1曲が完結する。
ライブセットリストを主にJIROが担当しているから、どこにどう持って来れば盛り上がるのかを心得ているからだろうか、はたまたとにかくライブが好きでたまらないからだろうか。

間奏中のベースもメロディアスで心地よい。楽曲の礎をしっかり作ることはもちろん、彼のベースは、ボーカルに寄り添うように歌っていることが多い。

ベースをもっと知ってもらいたいとベースが目立つよう20代の時に作った楽曲だが、今でもライブ中盤から本編の最後のブロックで、さらに会場熱をガツンとあげる底力のエグい曲。全員が50代になった今でも、会場を盛り上げる熱は変わらず、色気さえもあるSHUTTERに進化している。

とにかくベースが好き、ライブが好きなJIROは、今でも自身のベーススタイルの進化に対して前向き、かつ真摯的だ。
今まで食わず嫌いだったジャンルも聴くようになれば、早速GLAYに取り入れてみる。「昔取った杵柄」という言葉が全く似合わない人だ。

最新のイヤホンがとにかくベース音を綺麗に拾ってくれることが嬉しくて、今まで以上にベースの音を探しながら今宵もJIROのベースにどっぷりと浸ろう。


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