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実話

昔、私がまだまだ若かった頃の話です。

職場で、一時期流行ったビデオがありました。

「ほんとにあった〇〇〇」というタイトルのビデオです。〇〇〇には、何か言葉がはいっています。

○○○には「怖い話」だったか「怖いビデオ」のような言葉が入っていたような気がするのですが、あまり興味がなかった私はハッキリとは思い出せません。

そのビデオを仕事の休憩中に観賞するのが好きな人と休憩時間が一緒になってしまった日には、そのビデオを見せられることになります。

怖いビデオにハマった職場の先輩がそのビデオをレンタルしてきてくれ、律儀にも職場の皆が見終わるまで職場に置いてくれるのです。

一巻だけにとどまらず何巻もあったものですから、何度も怖いビデオをレンタルしてくれたため、何週間にもわたって見る羽目になりました。

ビデオをいくつか見た頃に、ちょっと不思議な体験をするようになりました。

仕事中にローカを誰かが歩いてこちらにくる気配がし、ドアを開ける音(気配?)がしたのでそちらを見ても誰もいないのです……(・・?

また、別の日には、二人で勤務中の仮眠時間にふと目が覚めて、職員であろう誰かが一人で働いているのが目に入ったのですが、意識がボーッとしていた私はそれが誰なのか確認出来ずにまた眠りについてしまいました。

仮眠時間が終わり目が覚めた時にもう一人の同僚が、
「さっきはすまないね。自分が寝ている間に色々と仕事をしてくれて。」
と私に言ったのです。

私は、
「一人では仕事をしていないよ。だって〇〇さんと一緒に寝てしまっていたんだから。」
と返しました。

このときはゾッとし、背筋が凍りました。

なぜなら、鍵のしまっている二人きりしかいないはずの空間に、他の第三者がいるはずがないからです。

また別の日には違う同僚と一緒に、扉の向こうにある非常階段からトライアングルのような高い音(仏壇のおりんの音のような)が真夜中に聴こえてきたのです。

『ち〜〜ん・・・・・、ち〜〜ん・・・・、ち〜〜ん・・・・。』

絶対に誰もいない所から音がなっているのです。

ある時は、職場に向かって道を歩いていると、もう到着するという時に溝の中に引きずり込まれるような感覚で片足から落ちたのです。

溝の上にあったはずの蓋と蓋との間に細い隙間が空いた所に、ちょうどはまり込んだようでした。

恥ずかしくてすぐに溝から出てズキズキと痛む足に目をやると、オソロシイ光景がありました。

掴まれたような跡があったのです。

脚の肉が何箇所か凹んでしまっており、そこに手をあわせてみるとピッタリと合うのです。

私より大きな手でグッと掴まれたような。

 オカシイダロウ。


これはもう、あのビデオを見たからに違いない。

それ以降、もう誰も怖いビデオを借りてくる人はいなくなりました。

因みにですが、その後何年も掴まれたような跡が消えませんでした。

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