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「夫人は漱石の孫」これ少しおかしい

半藤末利子さんの「硝子戸のうちそと」を読む。21年4月26日第1刷発行、講談社。漱石と漱石夫人にまつわるエッセイ集は楽しいが、今回は亡き夫がところどころに顔を出している。

夫とは「日本のいちばん長い日」などの著作で知られる作家の半藤一利さんだ。2021年1月12日午後、自宅で倒れているのが見つかり、死亡が確認された。90歳。昭和史に光をあてる。

硝子戸のうちそとの「日本人は悪くないんだよ。墨子を読みなさい」「あとがき」に、半藤一利さんの最期の日々が綴られている。娘さんが「あら、息をしてないみたい!」と気付く。

半藤一利さんは戦争の恐ろしさを語り続けた。半藤末利子さんは「訃報を伝える全部の新聞が『夫人は漱石の孫』と記していた。夫の業績とはなんの関係もないのに」と疑問を呈する。

確かに「夫人は漱石の孫」が見受けられ、半藤末利子さんが「これは少しおかいのではないか、と私は思う」という通り、おかしい。夫の業績をもっともっと、という心境だったのかな。

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