見知らぬ隣の人

僕は今現在、初老を終える年齢で、離婚経験があり…まぁ寂しい人生を一人送ってる者です。
それはそれとして、
若い頃には彼女がほしい、誰かとお話したいと恋い焦がれているよくいる人間でした。
今現在はおかげさまで、それを過ぎて悟りの極地を迎えさせていただいてます、
いや、そうじゃなくて、若い頃熱くパートナーを求めていた頃のお話。

ある週末の午後、僕は例によって映画を一人で観に行ってました。週末の混雑した映画館、そこそこの話題作なので席は8割埋まってました。
僕の隣には面識もない、僕と同年代のカップルが座りました。僕の隣が女性、その隣が彼氏という形です。
映画は何か忘れましたが、ガイ・リッチーとかダニー・ボイルとかタランティーノ、まぁそんな感じのいたずらっ子のアウトローの話だったと思います。

デートムービーとして合格の、アクションシーンもありますし、ストーリーも登場人物がたくさん現れて色々絡まるし、辛辣や下品なジョークも出てくる感じの映画です。
僕はその映画を楽しみにしてたので、冒頭から入り込んでみていました
登場人物が時々つぶやく自嘲的な一言とか、意表をついた結果に対しての一言がユーモアに満ちいて、その都度クスクスと笑っていました。
劇場中も笑い声が随所に起こってましたし、
僕はその楽しい雰囲気の中、他の人と共に声が出るほど笑ったりしていたのですが、途中であれ？と思いました
どうも隣の女の人と同じタイミングで笑ってる？と気づいたのです
笑いが耐えない映画なのですが、どのシーンも全員が笑うものではなく、それぞれの笑いのツボにあった数人だけが笑うシーンが存在します
そしてどうも僕とその隣の女の人と笑うタイミミングが同じ？と思えました。
気になって、その隣にいる彼氏の方も注意深く探ってましたが、時々笑って入るようですが、もっと直接的な、わかりやすいシーンのみ笑ってるようでした
そんな頃、チラッと有名俳優がカメオ出演してるシーンが映り、僕はおお！とか身を乗り出しそうになりましたが、隣の女の人は隣の彼氏の腕を引っ張ってその事実を耳打ちしてました。
彼氏は「そうなんだ」て反応です。

だから僕は思いました「彼女と友達になれたら楽しいだろうな」と。
笑いのツボと映画の知識も合うところありますし、この映画の感想言い合うの楽しいだろう、とかを

………はい、気持ち悪いですね。友達になるにはそれ以上の信頼感やなんかが必要です。
もしその事を完璧に説明できて、その女の人に話したところで、ダッシュで逃げられるか、大きなトラブルになったでしょう。
だからもちろん僕は映画が終わったあと、その女性の顔すら見ずに劇場をあとにしました

でももし同じ職場で、僕がもう少し小綺麗で、コミュニケーション能力があった場合、
昼休みなんかに映画の話になって…で、その女の人と友達ぐらいにはなれたんじゃないかな？
と思いました。

これを、後悔してるのか？とか言う話ではないのですが、なんかうまく行かないもんです