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4月4日たけのこ庵洞窟探検の日曜日

ここ数日の自分の葛藤が、既知の概念構造で言えば「(自分の中の)アナライザーとプロモーターが拮抗している!」ということだったのだ、と朝の起きしなに降りてくる。なるほど、とトイレに行きながら思う。AタイプとPタイプ、対局的なタイプは個人間でだけではなくて、人の内面でも闘い合うのか。面白い。また、自分の内側のAタイプ、すなわち正しさや整合性を大切にするタイプの存在をあらためて認知するだけで、だいぶん楽になった気がした。自分がすでに知っている現象に置き換えられると安心できるものだし、だからこそ人は知識を蓄えていくのか、とか思った。そういうゆったりした日曜日の朝で、桂思郎と時間を過ごすことしか決まっていなかった。自分の中にある、「今日が終わったらまた桂思郎とゆっくり過ごせるのがいつになるのかよくわからない」という不安や悲しみを感じつつ、おっと、「いま・ここ」に戻って幸せ感じようぜという自分の意志を選択しながら、朝ごはんを食べながら今日やりたいことをお互いに話す。朝ごはんは、最近流行りのスムージーだ。流行りというのは、もちろん、わたしの中で。鎌倉、たけのこ庵に来てから、台所があまりに充実していて、スムージーなんぞ余裕で作れることがわかってしまって、毎日楽しく作ってしまっている。初日の朝はさておき、その次の日から毎朝スムージー。今朝はマンゴーパインスムージー。あと、焼きそばパンを作る。それで、ふたりで今日やりたいことを出すと、お散歩したり、庭の洞窟を見に行ったり、パートナー会議を催したりするということに。まずは早速、庭の洞窟散策だ。元防空壕だったり、お墓だといわれていたり、結局のところよくわからない洞窟である。わたしはジャージに着替えてカッパ着て、大事な首元までカバー。桂思郎は気乗りせずダラダラ。ともあれ歩き出した。洞窟は、正直なんてことなかった。ふたつあって、奥の方は井戸だった。手前の方は、短い洞窟。雨宿りできそうな。しかし、この庭にはぬかるみというか、川がある。多くの生き物、虫がこんなに家のすぐ近くで暮らしているのかと再確認して、恐れを越えて無感情。受容。それでも、虫のあんなに苦手だった自分がこんな場所に住んでいるというのは褒めてあげたくなって、洞窟から見る家を写真に収める。桂思郎は、よくわからないポーズ、天にナンバーワン!の指をぶっ指している。桂思郎の世界観は清々しい。庭で作業してくれているがんちゃんに挨拶して、もう一周、庭をくまなく散策。ぬかるみにハマる。お決まり。あと、少しだけ出ているたけのこを見つけた。また明日にでも掘ろう。さっき朝ごはん食べたのに、もうおなかが減ったそうで、帰ってすぐパスタ作りに取り掛かる桂思郎。洗濯物干し担当はわたし。ごはんを食べてお昼寝。起きたら夕方になっていて、2階のワーキングスペースで作業している桂思郎のところにやっとこさ行き、よいしょ、これからはお散歩がてら買い物に行って、夜はパートナー会議をするのだということになった。行き道、お互いのシェアハウス生活1週間に対する所感を共有。愚痴だって大事だし、なんでも話せる相手が近くにいるのは本当に幸福なことだから、その関係性を大切にしようと思う。わたしの話の途中で桂思郎がトイレに行く。ちょっと怒る。帰り道雨宿りがてら帰り道のアパートの階段で話す。帰ってカレーとスープとサラダを作る。食べながら、パートナー会議を始める。チェックイン大好きなふたりだ、チェックインに30分かけた。話したいことをまとめる。ⅰ感謝の会 ⅱお互いのGood & Keep & More ⅲ1週間の行事・時間設定 ⅳお悩み相談室 ⅴお金の清算。ふたりでも、恋人という単位でも、立派な組織なのだと思わされるコンテンツだ。それぞれ白熱する。いや、ⅱお互いのGood & Keep & Moreは全然盛り上がらなかった。さすがにこれはなんだと思う。そしてGoodとKeepは同じなのではないかという疑問も浮かぶ。なんとか次へ。わたしのグラレコが足を引っ張り、桂思郎曰く、なかなか話が前に進まない。ⅲ1週間の行事・時間設定で決まった重要なこととしては、朝をクリエイティブに過ごすために、7時に起きる。そのために、10時には電子機器を切って、11時には完全に就寝だ、ということになった。ちなみにわたしは電磁波をカットしてくれる置物の購入を検討中だが、桂思郎はそれはどうでもいいらしい。なんだ。そして、曜日ごとにそれぞれお楽しみコンテンツを決めた。金曜日は飲み会。土曜日はパートナー会議。マッサージ、ヨガ、なんやらかんやら毎日決めてみる。トライアンドエラーを積み重ねていこう。というところで、続きはお風呂でやろう。2大ゴキ出没スポットを巡る瞬間がやってきたぞ。まずは歯ブラシを取りに洗面所に。おっと。やはりここは近頃子どもが夜にうろつくスポットになってる。ちいちゃい子にちょっとお兄ちゃんかな、おねえちゃんかが3人。と思ったところで、左斜め前の視界に大きなクモが目に入る。これは・・・・「アシダカ先生!」桂思郎叫ぶ。なんと、ゴキを捕獲してくれる先生といたいけな子どもたちの構図。こんな夜遅くに子どもだけで出歩かせるなんて、親は何してんだ!内見時に聞いていた「家の中で生態系が観察できる」という言葉がようやく現実となった。気付けば彼らにいろんな意味で釘付けになってたので、ともあれお風呂に入ろう。そのあとみんながどうなったかは知る由もない。きのう脱衣所に置いていた服の中からあいつらの子どもたちが出てきたのがショックで、今日は万全の対策で臨む。入浴。前半は飲酒のノリかよくわからない歌をずっと歌っていた。題名は「Too Early to Judge」。ミュージカル調だったが、最終的には弾き語り風になった。毎日こんなことやってたい。その後、先ほどのパートナー会議で飛ばしてたⅰ感謝の会をする。実にさまざまなものに感謝をして気持ち良くなる。お風呂を上がり、髪を乾かしながら太宰治の『人間失格』を読む。文章が美しすぎて、興奮する。部屋に戻り、枕もとに小さなライトだけをつけて、しばしの間本を読んだり日記を書いたりする。ライトに群がる虫を見ながら桂思郎は「光に踊る虫と書いて、光踊虫と呼ぼうか」と言った。

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