見出し画像

可愛い魔女になりたくて

その年、娘は魔女に憧れていた。「魔女の宅急便」を見たからだ。ハロウィンで、キキの仮装をする、同じ年くらいの子をみたせいか、その憧れはますます強くなった。

「母ちゃん、写真撮って。魔女の写真。」


丸めた新聞を握って娘はそう言った。お気に入りの上下赤い服も着ている。表情は真剣そのものだ。聞くと、下のような写真を撮りたいらしい。


娘憧れの魔女ふうポーズ


娘の願いを叶えるべく、憧れの魔女ポーズについて尋ねてみた。


ポイントは3点。
・宙に浮いていること
・箒にまたがっていること
・可愛い魔女であること(笑顔)



なるほど、理解した。

「一度飛んでごらん、笑顔を忘れずに」

私の指示のもと、娘は飛んだ。








笑顔を意識した1度目のジャンプ



これが、なかなか難しい。



新聞を足で挟むのに意識が向いて、大きく飛ぶことができない。それでも笑顔は◎。


次は箒を持つことを意識してジャンプしてみようとアドバイスする。

そして2度目







可愛いを意識した2度目のジャンプ


おしい!!実におしい!!


手は箒を握り、笑顔も良い。可愛い角度もおさえているし、あとはジャンプだけ。


足にしっかり力を入れて、高く飛んでみようと伝えた。


次こそはの3回目






とにかく足に力を入れた結果

ここで痺れを切らした私。
「母ちゃんがやるから、よく見ておきな」と、娘にスマホを渡す。







娘が撮った中年の魔女




娘よ。
確かに飛んでいるが、宙に浮いていれば良いということではない。キレイな顔が映ってないではないか。



と、イケていない部屋着の母は思った。


が、しかし、娘は高く飛べば良いということをしっかり学習したようだ。



そして、ついに!!







もはや顔のモザイクもいらない躍動感




空中!!!


よくぞやった娘!!



しかし、ほうきは投げ捨てられ、当初の“可愛い魔女”という目標は忘れ去られていた。


この記事が参加している募集

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

いただいたサポートは、種と珈琲豆を買うのに使わせていただきます。