Element Lesson 5 ~Nobody's Perfect~

Scene 1

2010年6月2日、デトロイト・タイガースのホームスタジアムであるコメリア・パークにいる野球ファンは異常な盛り上がりを見せていた。
彼らは歓声を上げ、手を振り、そして飛び跳ねていた。
彼らはメジャーリーグでの歴史的な瞬間を見ていたのだ。
デトロイト・タイガースの投手、アルマンド・ガララーガはクリーブランド・インディアンスに対して「完全試合」まであとワンアウトというところまできていた。
完全試合を投げることー1つの試合で投手がヒットを打たせず、ランナーを出さず、そして1人も一塁に到達する打者を出さないことーは全ての投手が夢見ることだ。
メジャーリーグの134年の歴史の中でたった20人しか公式な完全試合を投げていない。
この試合はガララーガが投げてきた中で一番良い試合だったが彼の仕事はまだ終わっていなかった。
彼には対峙しなければいけないクリーブランドの打者がもう1人いた。

Scene 2

ガララーガがボールを投げた、そしてそれは打者が予測していたボールだった。
打者は右方向へ強いゴロを打ち、一塁へと急いだ。
しかし、ボールは止まり一塁へと投げられた。
「よしっ！完全試合だ！」とガララーガは思った。
それはほんの一瞬のことだったが、彼は心のなかで祝福していた。
（喜んでいた）
ガララーガはチームメイトが飛び跳ね、祝い始める様子を見た。
彼らの興奮した顔を見た。
しかし次の瞬間、全てが止まった。
投手は一塁塁審のジム・ジョイスが「セーフ！」と言ったのを聞いた。
彼はジョイスの腕がサインをつくるために大きく広がるのを見た。
「そんな…」ガララーガは心のなかで言った。
彼は微笑むことしかできなかった。

Scene 3

その後、タイガースはそのまま勝利した。
ジョイスが審判のロッカールームに戻ったとき、彼はモニターを見つけ、リプレイを見た。
彼は自分が見ていることが信じられなかった。
打者は完璧にアウトだったのだ。
ジョイスは大きなショックを受けた。
彼は椅子にドサッと座り込み、頭を抱えた。
彼は、「こんなことをしてしまったなんて信じられない。ただこんなことをしてしまったなんて信じられない。」と繰り返し言うことを止められなかった。

Scene 4

大勢の記者がジョイスの話を聞くためにロッカールームのドアの向こうで待っていた。
彼はこの状況と向き合うことを決心し、記者全員をロッカールームに入らせた。
そして、彼は大勢の記者の前で自分のミスを認め、謝罪した。

Scene 5

その後、ジョイスのことを心配する多くの人がジョイスに会いに来た。
その内の1人がタイガースのマネージャーだった。
「大丈夫ですか？」彼はジョイスに言った。
「何か私にできることがあったら教えて下さい。」
ジョイスは彼を見上げて言った、
「1つだけ…ガララーガと話すことはできますか？」

Scene 6

ガララーガがロッカールームに入ったとき、ジョイスは隅に1人で座っていた。
彼は相当ショックを受けているように見えた。
彼がガララーガに気づくとベテラン審判は目に涙を浮かべて言った、
「あぁ…」
そして彼は頭を横に振り、言った
「本当にごめんなさい。他に何と言ったら良いかわかりません。」

Scene 7

ガララーガはジョイスが座っている椅子の所まで行き、彼を抱きしめた。
「大丈夫ですよ。」とガララーガは言った。
「ジョイスさん、こういうことが起きることもあります。」
「いやいやいや、こういうことが起きることはないですよ。いや…。」
ジョイスは言った。
そして、ガララーガは穏やかに言った、
「完璧な人なんていませんよ。」

Scene 8

次の日、ジョイスは主審としてボール・パークにいた。
彼が野球場に入ったとき、中は騒がしくなった。
試合が始まる直前、チームのマネージャーに代わってガララーガがホームベースへと歩いてきて、ラインナップカードを交換した。
彼らが握手を交わしたとき、ジョイスの顔を涙が伝った。
群衆からの騒がしい声は歓声に変わり、いつまでも止むことはなかった。