【往復書簡】12通目(シモダヨウヘイ様)

拝啓 シモダヨウヘイ様

書簡の返事は少々お待ちくださいと申し出てから早十日経ちました。ここまで来ますと弁明のしようもありません。こちらの勝手な都合により遅くなりました。大変申し訳ございません。
今後このようなことがないよう努めてまいります。

さっそく、以前からの話題である「最短」について書き進めていこうと思います。
「最短」とは。カーナビを例に出していただいたので、私もまたカーナビを例に書いてみます。
「最短を導き出すためには、出発地点(現在地)、目標地点(ゴール)、ルート(道のり)の三つが重要」という文を読ませていただいてから自分なりに考えてみたのですが、「最短」が曖昧に感じるのは「出発地点(現在地)」がその時々で異なるからではないでしょうか。
たとえば、「自宅」から「ブックバーひつじが」への最短ルートを調べたら、それは地図に大幅な変化がない限りはいつも同じ道です。でも「自宅近くのカレー屋さん」から「ブックバーひつじが」への最短ルートを調べたとしたら、いつもとは違う道を行ったほうが早く到着するかもしれない。さらに言うなら、「自宅近くのカレー屋さん」から「コンビニ」を経由して「ブックバーひつじが」へ行きたいなら、また違う道が最短ルートになるでしょう。
おそらく、出発地点、目標地点、ゴールの三つに「経由地点」もプラスしてよいのではないでしょうか。よくなかったら、すみません。

>選んだルートが選ばれなかったそれと比較して早いかどうかで最短かどうかを判断できそうです。
こちら、そのとおりですね。複数のものを比較しなければ短い長いの区別もできませんので、おっしゃるとおり、何かを選ぶときには手段の数を考えることが最短なのかもしれません。
……などと偉そうに言っておいて恐縮ですが、お返事の意図についてシモダさんへ電話して確認するという選択肢はまったく思い浮かびませんでした。とはいえ、電話したらしたで、次はまた違う難しい話題を投げかけられて再度悩まされる展開になっていた気もしますので、ネット検索したことはこれはこれでよかったと思っておくことにします。最近、現状に納得することも大切だなと気づき始めました。もちろん、悩むことも必要なのですが。
とにかく、納得しなさすぎないよう、また一本道を猪突猛進しすぎないよう、ほどほどに進んでいきたいと思います。
猪といえば来年はねずみ年ですね。ひつじ年が来るのは八年後でしょうか。八年後、ブックバーひつじが近辺がどのように変化しているのかが非常に楽しみです。

そして八年後と言った矢先に明日の話になり恐縮なのですが、そのまえに、質問へご回答いただいたことにお礼を述べたいと思います。ありがとうございます。
明日(お店に)誰もこなくなる可能性への恐怖心、忘れてはならないものだと思います。八年後だとか悠長なことを言っている場合ではありませんね。
なんだか、あれですね。こういう言い方をしていいのかわからないのですが、お客様もお店側も「生もの」ですね。いただいたご返答に対して、そういう感想を持ちました。そんなの人間なんだから当たり前だろうとお考えかもしれませんが、自分がいかに日ごろから他人の存在を「当たり前」と感じているのかを思い知らされました。そこに居て当たり前のものではないし、相手はいつだって新鮮なのに、そのことを忘れてついうっかり雑に扱ってしまう日々を反省しております。遅刻して本当にすみませんでした。

「真」、ギリギリ「羊」に見えないこともないので欲張って大丈夫だと思います。上下逆さまにすると特に。
私が特別好きな文字についてお答えしますね。本名に含まれる漢字が私は一番好きだなあと思ったのですが、ここで本名を明かすのも急行2号としてのイメージを崩してしまうので別の文字をお答えします。「おいしい」です。文字であれば漢字でなくともよいと勝手ながら判断させていただきました。
せっかくですので、好きな理由を述べさせていただきます。「おいしい」って、ひらがなの組み合わせで最も柔和な印象があるからです。かつ、人間であればだいたい共通して持ち合わせる感情だろうと思うからです。「ふわふわ」でもよかったのですが、人によっては綿毛であったり基盤が固まっていない状態であったり、その文字で想像するものが微妙に異なってくる気がしたのでこのような回答とさせていただきました。
自分が好きな文字について考えたことはなかったため、こうして改めて探してみると楽しかったです。文字の好みにも性格が出るような気がいたしました。心理テストみたいですね。

最後になってしまいましたが、トレザイールさんでのグループ展、お疲れさまでした。こそっと拝見させていただきました。近ごろ、布(衣)のある展示にお邪魔しながら「無難」と「個性的」の境目について考えるのが楽しいです。

夜は上着が必要になってくる季節となりましたが、どうぞ風邪など引かれませんようお気をつけください。

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