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(鬼滅の刃の経済学①) 炭治郎たちの給料は適切なのか?旧日本軍との比較を通して考察する。

この記事では下記3点に関して考察します:

①炭治郎が鬼殺隊に入ったばかりの時(癸)の給料はいくらなのか?
②柱の給料はいくらくらいなのか?
③癸と柱の給料格差は当時の社会背景的に受け入れられるのか?

こんにちは、大学教員のきゅうちゃんです。
鬼滅の刃、未だにハマっています(岩柱押し)。

 私は世の中多くのお父さんたちと同じく、まず、子供が鬼滅の刃にハマって、子供が買った漫画を読むうちに自分が鬼滅沼にハマっている状態です。

 そんな私が何度もコミックスを読み返していくうちに、職業病的な疑問が何個も出てきました。そのうちの一つが、
「こんなに危険で殉職率が高い仕事をこなしている炭治郎たちの給料っていくらなんだろう?」。色々調べてみると、鬼滅の刃公式ファンブック85p「鬼殺隊見聞録」のQ&Aに書いていました;「Q. (炭治郎達が)癸だったころの給料はいくらだったのか?A.現在の20万円くらいです」

む、報われねえ。


 中学生くらいから天狗のお面を被ったおじいさんとマンツーマンの超スパルタ教育を受け、その後7日間のサバイバル訓練を生き残り、刀で鬼と切りあって命を晒した初任給が20万円か。刀や隊服は支給されて、けがをしたら無料で病院に入れる等の福利厚生はあるとしても、これは納得がいかない。ボーナスもなさそうだし。ただ、回答には続きが。「Q. 癸だったころの給料はいくらだったのか?A.現在の20万円くらいです。柱は無限に欲しいだけ貰えます。

無限に欲しいだけ?ジェフベソスより貰えるの?


 まあ、岩柱のヒメジマさんが、「上限の鬼を倒したので、ボーナスに1000億円下さい。鬼殺隊のストックオプションもつけてね。給料無限っていったよね?」と御屋形様に迫る構図は想像できないので、無限=信じられないいくらい高い給料もらえる、というイメージでしょうか?

 しかし、若い隊士が月給20万円ぽっち(年収240万円)で頑張っているのに、柱は信じられないくらい給料をもらえる、このとんでもない格差では、若い隊士のやる気がなくなり、鬼殺隊の士気が下がりそうな気がします。それでは、柱がどれくらいの給料(給料格差)だったら、当時の社会背景的には一応受け入れられるものなのでしょうか?

 色々と当時の職業を調べてみましたが、鬼殺隊の性格に最も類似する組織として考えられるのが旧日本軍(①階級制、②戦闘が主な生業、③殉職率が高い)ですので、国立公文書館アジア歴史資料センター様が出している旧日本軍(陸軍)の俸給表を参考にしてみました(明治37年の俸給表なので、鬼滅の刃の時代より10年ほど前です)。


 日本陸軍で柱に相当する大将の月給が250.0円。癸に相当する新兵は1.2円。単純計算では衝撃の208.33倍

おお、とんでもない格差だ。

これを基に無限に貰える柱(=大将)が、当時の社会背景から受け取れるMAXの月給を出してみると、月給は4166.6万円年収に直すと約5億(4億9999.2万円)となります。

す、すげえ。超一流企業のCEO並だ。


2021年度の日本だと、役員報酬総額28位前後です(東洋経済より引用)。
https://toyokeizai.net/articles/-/453483?page=2

 考察の結論として、癸の給料は年収240万円位。柱はいくらでも給料が貰える。当時の社会背景を踏まえると、柱の給料は5億円くらいまでであれば、たぶん多少の不満はあれど一応他の隊士も納得する常識的なレンジ内ということになります。

 ただ、ここで読者の皆様に間違えてほしくないのは、現代の金額に換算すると5億円という数字は、あくまで当時の社会背景(日本陸軍の大将は二等兵の給与の208.33倍)を踏まえた上限値です。柱の皆さんが散財している様子は全く見られず、金に拘りそうな輩もいないことから、相当に常識的な金額を貰っているのではないでしょうか?

ちなみに、先の資料では参考として、自衛隊(2003年)の給料も載せていまが、

 こちらは、新人隊員と陸将の給与差は4倍弱、大体1000万円前後でしょうか。私の好きな柱たちは御屋形様を気遣って、これくらいの給与であると信じたいです。

                          ‥‥(考察続く)






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