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(鬼滅の刃の経済学②)うまい!うまい! 煉獄さんの食べていた牛鍋弁当を「値段史年表」を用いて考察する。

この記事では下記3点に関して考察します:

①煉獄さんの食べていた牛鍋弁当はいくらなのか?
②お弁当屋さんは独占企業?
③牛鍋弁当は適正価格なのか?

こんにちは、大学教員のきゅうさんです。
 鬼滅の刃に名言は数多くありますが、煉獄さんが無限列車内で牛鍋弁当を食べるシーン「うまい!」「うまい!」もその一つではないでしょうか?

鬼滅の刃公式twitterより引用:https://twitter.com/kimetsu_off/status/1450827896931557382

 我が家の子供たちが食卓に着くたびに煉獄さんの真似をして、「うまい!」「うまい!」を大合唱するのですが、職業病的な疑問がまたもや出てきました。「こんなに日本中を熱狂させるくらいうまい牛鍋弁当っていくらなんだろう?」。値段はあっさりわかりました。アニメ版無限列車編第一話(7:50頃)を見返してみますと、「36銭」と書いています。

高くない。。。??

   早速、明治、大正、昭和の色々なモノ・サービスの値段がのっている本「値段史年表(以下、年表)」で現実の値段を確認してみました。値段史年表16Pによると、明治45年(大正元年)の駅弁(普通弁当)の値段は12銭とのこと。鬼滅の牛鍋弁当、普通弁当(握り飯2個+たくあんなど)の3倍!また、アニメ版無限列車編第一話の冒頭で煉獄さんがそばを食べていますが、年表によると3銭(大正2年)。そばの12倍です。冒頭に出ていた頑固おやじ風蕎麦屋涙目。。。

値段史年表16Pより引用

 当時、ハイカラな牛鍋が高いことは感覚的にわかりますが、本当にこんなにも高いものなのでしょうか?残念ながら、年表には牛鍋弁当の値段は書いていませんでした。手がかりを求めてもう一度アニメ版を見返してみると、22分~くらいに、あの丸眼鏡のかわいい女の子とおばあちゃんの弁当屋(豊下軒)以外は無限列車の一連の騒動で休業していることが確認できます。
 この駅での弁当市場は、豊下軒の「独占」にあたるので、現代の観光地の高いレストランや自動販売機のように弁当の値段を釣り上げているのでしょうか?女の子のお母さんは妊娠しており、お父さんの食堂が上手くいっていないこともあるので、ありえない話ではなさそうです。
 ただ、全編を通して「誠実な商売」をしている印象が強いですし、何より弁当の包み紙に値段が書いて(印刷して)おり、後から値段のみを張りなおした形跡も見られないので元々「36銭」であった可能性が高そうです。

 もう一度、手がかりを求めて値段史年表を見返してみると、「牛肉」の項目がありました。年表(45P)によると大正2年の牛肉100gはなんと9銭そばの3倍です。この数字を基に検証していったら正確な数値がでるかもしれません。具体的には、先ほどの普通弁当は握り飯2個(つまりごはん)+たくあんなどの香の物)ですので、少し荒っぽいですが、これにすき焼きをかければ、牛鍋弁当になります。

 まず、牛丼大手チェーン数社の牛丼弁当に使われている牛肉の量を確認すると、並盛は90グラム弱。つまり牛鍋弁当に使われている牛肉の原価は約8銭(9銭×0.9)。次に、Google先生によると、弁当の原価率は大体35-45%くらいとのこと。豊下軒の経営状況がかなりひっ迫していることを踏まえ、原価率35-40%を採用して、すき焼きのみの値段を考えると20-28銭。上記、12銭の普通弁当(おにぎり2個(つまりごはん)+漬物など)にすき焼きをのっけて20-28銭を加えると。。。。32-40銭!間を取ったら36銭


おお。ほぼ近似している!


 それどころか、豊下軒はその気になれば独占販売をできるポジションにあるにも関わらず、値段を変えないで牛鍋弁当を売り続ける人情弁当屋の可能性まで出てきました。

豊下軒さん、銭ゲバ疑惑をかけてすいませんでした。。。

また、作者のワニ先生とジャンプ編集のガチ有能さに脱帽です。。。


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