【今更聞けない用語解説】マイクロファイナンス
1.マイクロファイナンスとは?
マイクロファイナンスとは、貧困層や低所得者層の人々に対して提供される、小規模な金融サービスのことです。
例えば、小額の貸し付け(マイクロクレジット)、貯蓄、保険、送金などが含まれます。
貧しい人々にとって、銀行からの融資はハードルが高く、特に担保がない場合は融資が難しいことが多いです。
しかし、マイクロファイナンスは、そのような人たちが自分のビジネスを始めたり、生活を改善したりするための小さなステップを提供するものです。
例えば、果物を売るために小さな屋台を開きたい女性がいるとします。
銀行での融資は難しいかもしれませんが、マイクロファイナンスを利用すれば、屋台を開くための資金を手に入れることができます。
このような形で、多くの人が「自立」への一歩を踏み出すことができるのです。
また、マイクロファイナンスはただの貸し付けに留まらず、貯蓄や保険の提供も行います。
貯蓄のサービスによって、収入が増えた分をしっかり蓄えることができ、将来の不測の事態に備えることが可能です。
こうした金融サービスを通じて、利用者の収入を向上させ、最終的には脱貧困を支援することがマイクロファイナンスの目的です。
2.マイクロファイナンスの始まりと進化
① バングラデシュからの始まり
マイクロファイナンスの始まりは、1970年代のバングラデシュに遡ります。
この頃、貧困対策の一つとして「マイクロクレジット」と呼ばれる無担保の小規模融資が始まりました。
特に有名なのが、グラミン銀行による取り組みです。
グラミン銀行は、担保なしでも信用貸しを行い、貧困層の人々が少しずつ定期的に返済する仕組みを作り出しました。
この仕組みは、当初多くの人が「返済できないのではないか」と心配していましたが、実際には高い返済率を達成し、多くの注目を集めました。
これにより、貧困層を支援するための新しい方法としてマイクロクレジットが普及していきました。
② グラミン銀行の成功と普及
1980年代に入ると、グラミン銀行の成功がさらに広がり、世界中でマイクロファイナンスの取り組みが始まりました。
多くのNGOや専門機関が、この高い返済率と実績に基づき、マイクロクレジットを提供するようになりました。
この時期には、ただの融資だけでなく、利用者のニーズに応じた貯蓄や保険といった金融サービスも提供されるようになり、マイクロファイナンスの範囲が広がっていきました。
③ 商業銀行の参入
2000年代には、商業銀行もマイクロファイナンスに参加するようになり、さらに多くの人々に金融サービスが提供されるようになり、世界中に広がっていきました。
例えば、バングラデシュでの成功を受けて、日本にも「グラミン日本」が設立されました。
グラミン日本は、シングルマザーなど社会的に弱い立場にある女性たちが自立し、夢に向かって前進するためのサポートを行っています。
このように、マイクロファイナンスは国を超えて広がり、多くの人々に「チャンス」を提供する手段となっています。
3.マイクロファイナンスの効果
① 脱貧困のためのステップ
マイクロファイナンスの大きな効果の一つは、貧困から抜け出すための「最初の一歩」を提供することです。
小さな屋台を開く、畑を耕すための道具を買うなど、これまで資金がないためにできなかったことが、マイクロファイナンスを通じて可能になります。
一つの小さなビジネスが成功することで、その家庭だけでなく地域全体にも良い影響を与えることがあります。
また、マイクロファイナンスは融資だけでなく、貯蓄の重要性等の教育もします。
収入が増えたときに、その一部を貯金し、不測の事態に備えることができるようになるのです。
このように、利用者が「計画的に」生活を改善していけるようサポートしているのが特徴です。
② 女性の自立支援
特に注目すべきなのは、マイクロファイナンスが女性の自立を支援する役割を果たしていることです。
例えば、シングルマザーが小さな事業を始めることで、自分自身と子どもたちの生活を支えることができるようになります。
「自分の力で生活を支える」という自信が、さらに新しい挑戦を後押しし、地域社会の活性化にもつながっていきます。
マイクロファイナンスは、多くの人にとって「小さな希望の光」となり、そこから新しい未来が開かれる可能性を持っています。
その効果を最大限に引き出すためには、私たち一人ひとりがこの仕組みを理解し、支援することが大切です。
小さな一歩が、大きな変化を生む。
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