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名古屋市内で生息範囲を広げるキツネ

(この記事は2022年3月に書いたこちらの記事を再編集して書いています。)

以前自分が住んでる街(小牧市桃花台)にキツネが生息していることを書きましたが、定期的にキツネの目撃情報が入るので、定期的にキツネに関して調べています。

そして今回名古屋市内でのキツネに関する情報を調べたところ、名古屋市内でキツネの生息範囲が広がってる事が分かりました。

まず参照したのは「なごや生物多様性センター」の機関誌『なごやの生物多様性』です。

名古屋市守山区を含む尾張東部丘陵地域とその周辺ではアカギツネ Vulpes vulpes の生息が確認されている。これらのアカギツネは継続的に分布が確認されている東谷山方面の緑地から、庄内川河川敷や尾張東部地域に断続的に広がる緑地を経由して市街地に近接した地域にまで分布を拡大しつつあるものと思われる。

名古屋市東部丘陵地域におけるアカギツネ Vulpes vulpes の分布拡大と東名高速道路を横切る人工構造物の利用(※PDF)』から引用。

また「名古屋市版レッドリスト2015」には、さらに詳細な情報が記載されていました。

アカギツネ Vulpes vulpes (Linnaeus)

【選定理由】
市内ではこれまで市北東部が分布の中心であったが、最近、東部地域の孤立した緑地や市西部でも確認されるようになった。ただし、進出した地域での繁殖、定着が進んでいるかは不明で、未だ予断を許さない状況である。

・・・(中略)・・・

【分布の概要】
【市内の分布】
守山区(東谷山、上志段味、中志段味、吉根、小幡緑地本園、川東山、大森、川西など)、名東区(猪高緑地)、天白区(野並など)、緑区(鳴海町大清水)、北区(成願寺町北野など)、中川区(富田町万場など)。

【県内の分布】
東三河北部から南部にかけては全域で確認されている。尾張地域では北部から東部にかけて確認されているが、西部においては未確認の地域もある。

【レッドデータブックなごや2015 動物編】名古屋市の野生生物の現状 哺乳類(※.PDF)』より引用。
上記の PDF ファイルに掲載されていたキツネの生息が確認された名古屋市内の区

あと以下は東山動植物園に展示されていた、名古屋市内に生息している生き物に関するパネルの写真です。以前撮影してたのを思い出して改めて見てみてところ、北区で見つかったキツネが載っていました。

名古屋市内に生息している生き物(東山動植物園で撮影)
北区で見つかったキツネ(東山動植物園で展示されてたパネルを撮影)

このような生息範囲の広がりから考えるに、名古屋市内のキツネの数が増えてるのではと思われます。

あと上記の「レッドデータブックなごや2015」ではキツネの都市動物化について触れられてますが、実際私が住んでる街(小牧市桃花台)の中でキツネが生息してることを考えると、名古屋市内の都市部にもキツネが生息範囲を広げる可能性は高いのではないかと。

ちなみに上記では「アカギツネ」と「ホンドギツネ」の2つの名前が使われてますが、「アカギツネ(学名「Vulpes vulpes」)」はユーラシア大陸からアメリカ大陸北部にまで生息してるキツネの一種で、「ホンドギツネ(学名「Vulpes vulpes japonica)」は日本の本州や四国・九州に生息しているアカギツネの亜種です。

最後に

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追記(2022年3月8日)

名古屋市内のキツネの生息範囲について、新たな情報をゲットしました。東山動植物園の公式ブログによると、2000年頃まではキツネの生息範囲は守山区周辺の一部だったそうです。つまりキツネが生息範囲を広げたのは、2000年以降のようです。

ホンドギツネは北半球全域に分布するアカギツネの亜種で、我が国では北海道と沖縄を除く、本州全域に生息しています。名古屋市内でも見られますが、全16区に広がっているホンドタヌキと違い、2000年頃までは守山区周辺の一部エリアに限られていました。

ところが、2017年に報告されました専門機関と大学との共同チームが行った赤外線センサー付きの自動撮影カメラによる野生動物の生息調査の結果によれば、名古屋市内のホンドギツネの生息域は、これまで北東部のみでしたが、西部では中川区、東南部では名東区、緑区へと行動域を広げている実態が判明しました。

東山動植物園オフィシャルブログの「こん!!長寿表彰おめでとう」より引用

その一方でタヌキが全区に渡って生息してると言うのは以外でした。😅

東山動植物園で飼育されてるホンドタヌキ

あと都市動物化についても追加情報。こちらは昨年(2021年)のニュースですが、唐津市内や佐賀市内の住宅地で、キツネが目撃されたそうです。

そしてこちらは 2019年の豊川市のニュース。豊川市の住宅街で犬を飼ってる方のお宅に、キツネがやってきたそうです。その時犬は吠えるどころか、むしろ遊んでもらおうとしたようです。😊

私の住んでる街(小牧市桃花台)にも犬を飼ってる方が沢山いますが、犬とキツネの問題については考えたことがなかったです。ただこのニュースと実際私が住んでる街にキツネが生息してることを考えると、犬がいるからといってその場所をキツネが避ける訳ではなさそうです。

都市動物化について話を戻すと、このように各地の住宅街でキツネの生息が確認されてることからも、やはり名古屋市内でもキツネの都市動物化が進むのではと。

追記(2022年3月19日)

キツネの都市動物化について興味深い事例を紹介。英ロンドンには 1万匹ものキツネが生息してるそうです。しかも都市動物化に伴い、体の形が変わってるのだとか。

この事例からもキツネにとって都市は意外に住みやすいのかもしれません。

ただしロンドンは大都市ですが、緑地が多いそうです。実際地図で見てみると、確かに緑地は多そうでした。

名古屋市でもキツネが緑地を移動しながら生息地を広げてるとあるので、ある程度緑地のある都市でないと、生息しづらいのかもしれません。

ちなみにこのロンドンのキツネも名古屋市内に生息するキツネも、種類的には同じ「アカギツネ」です。

追記(2022年3月22日)

庄名川沿いに生息範囲が広がっているとのことだったので、ひょっとしたらと思い Twitter で「庄内川 キツネ」で検索してみたところ、多数の目撃情報がアップされてました。以下はそのまとめです。

驚いたことに、中には人間にかなり近づいて来る個体もいました。😳

追記(2022年3月23日)

名古屋市港区にある稲永公園にも、一昨年(2020年)キツネが現れたそうです。ちなみに上記の「レッドデータブックなごや2015」で港区は、キツネの生息が確認されていない区となっています。

また「追記 その3」で紹介した庄内川のキツネの目撃情報の Togetter まとめに追加したツイートの中に「豊公橋」付近の目撃情報を投稿されてる方がいました。

「豊公橋」は庄内川に架かる橋で、あま市と名古屋市中村区を結んでいます。上記のツイートをされた方が見せてもらった動画の撮影場所が中村区側かどうか分かりませんが、もし中村区側なら、中村区も上記の「レッドデータブックなごや2015」で、キツネの生息が確認されていない区となっています。

これらの目撃情報から考えても、キツネの生息範囲は着実に広がっているようです。😊

追記(2022年6月25日)

緑区にある大高緑地の閉鎖されたプールの敷地で、キツネが寝ていたそうです。6月18日の午前8時半頃、散歩していた近所の人が見かけたそうです。

追記(2022年7月31日)

中日新聞の読者投稿によると、7月23日午後4時頃、中川区水里町5丁目の草むらで、歩き回るキツネの姿が目撃されたそうです。おそらく場所は水里町5丁目南端の空き地(?)かと(※. 地図は下に掲載)。

庄内川からはだいぶ距離がありますが、すぐ横を福田川が流れています。川を超えると蟹江町となっており、名古屋市の西端に位置してる場所です。

追記(2022年8月18日)

CBCテレビの報道番組「チャント!」でも、名古屋のキツネの話題が取り上げられてました。

そこに出ていた日本福祉大学教授で林学・森林工学が専門の福田秀志さんによると、名古屋の南側にある知多半島では絶滅したと考えられていたキツネが1990年代から生息が確認されるようになり、2010年代には知多半島全域で生息が確認。そして名古屋方面にも生息域を広げてるそうです。

また「名古屋市の中心市街地(栄地区等々)への出没はありえるか?」と言う質問にたいして「十分ありうる」と回答していました。理由として札幌市内でもキタキツネが見られるそうなので、今後栄地区や名古屋駅周辺でも、キツネが見つかることがある…かもしれませんね。

追記(2022年8月23日)

今度は「メーテレニュース」で、名古屋市内のキツネの目撃情報が報じられてました。今回報じられてたのは庄内緑地公園と守山区の庄内川河川敷、緑区のぶどう畑でした。

ちなみに今回も 8月18日の「追記 」で紹介した福田教授が出演していて、「知多半島方面から移り住んだのでは」との見解を示していました。

また GPS 調査の結果によるとキツネは「何十キロも移動する」そうで、発情期になると「短期間の間に15キロくらい移動する」そうです。

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