アジア諸国の対策の収斂

新型コロナウイルス感染症COVID-19についての情報をお求めの方は、厚生労働省の情報ページか専門家の情報をフォローしてください。私は専門家を紹介する立場にはありませんが、例えば以下の方などが穏当かと思います。
・新型コロナクラスター対策専門家(@ClusterJapan
・押谷 仁(東北大学
・高山義浩(huffpost記事一覧
・今村顕史(@imamura_kansen
・岸田直樹(@kiccy7777
・坂本史衣(@SakamotoFumie
筆者は医療や行政法の専門家ではありません。単なる素人の感想なので医療情報としての信頼は置かないでください。基本的に自分が納得するためだけに書いたものであり、他者を納得させるために書いたものではありません。


筆者は以前からアジア諸国の対策についてトラックしているが、この一か月で行われた対策のアップデートは、それぞれ自国の問題に独自に対処した結果

1) 集会・イベントの制限
2) 夜の街の封鎖
3) 濃厚接触者・帰国入国者の未検査からの一括隔離

を行う政策に収斂しつつある。各国独自政策が収斂したというのは注目すべきことで、現在日本が行っている対策もウイルスの性質に則った必然である可能性が高い、ということである。

日本はまだ要警戒で、「夜の街クラスター」は本当にあるのかといった議論は絶えないが、実のところタイ、ベトナム、香港、台湾、シンガポールなどでそれぞれ夜の街での感染が報告され各々の国ですでに封鎖に踏み切っている。

今の日本の政策で上記のリストに足りていないのは濃厚接触者・帰国入国者の未検査からの一括隔離の強制くらいであろう。ただこの政策は以前にも書いた通り日本では個人情報保護とプライバシー権の問題から難しく、実施にはまだ調整が必要か、別の形での実施となると思われる。

またアジアでは台湾がほぼ封じ込めに成功しつつあるが、感染源不明の感染者が出ており潜在的な感染は続いていると見ていることから、イベントの制限や夜の街の封鎖は当面続くと見られ、「ウイルスフリーで元の生活に戻ることが出来た」というわけではないのには注意が必要である。シンガポール以外は4月頭ピークで抑え込みに成功しているが、これらの国でもまだ抑制政策は続くだろう。


タイ

3月17日、タイ政府は新型コロナウイルス対策として、バンコク首都圏のバーやマッサージ店、映画館など娯楽関連施設を3月18日から31日まで閉鎖することを決めた[注:この措置は4月も延長されている]。多くの外国人観光客をひきつけてきた、アジア最大級といわれる歓楽街はにぎわいを失い、GDP(国内総生産)の2割近くを占めるタイの観光関連産業は危機にひんしている。
「なぜ我々が狙い撃ちされなければならないのか。我々が新型コロナ感染の元凶のような扱われ方をしている。本当に感染を封じ込めたいなら、国境も、あらゆる店も閉じればいい」。あるバーのタイ人マネジャーはこう不満を漏らす。
――バンコク、明かりの消えた歓楽街、追い詰められる零細業者 日経ビジネス 2020/3/19
タイ最大の観光県プーケット。ここで陸海空全ての交通路が遮断されたのは3月29日。翌月4日からは飲食店や娯楽施設に加え島内にある全てのホテルも閉鎖――最大の感染源は、島内最大の繁華街がある西海岸パトン地区のバングラ通り。
――緊急事態宣言下の日本人が知るべき、タイの非常事態宣言で起きたこと ダイヤモンドオンライン 2020.4.10
2.3タイに到着後は14日間,以下のとおり地域での検疫(隔離)(local quarantine)又は自宅での検疫(隔離)(home quarantine)となる。
新型コロナウイルスに関するお知らせ(タイ保健省による検疫強化の発表)


ベトナム

ベトナムは同日から4月15日まで、必需でないサービス業の営業を停止する。これにより、ベトナム全域でマッサージ店、観光地、映画館などが営業を停止することになる。
ホーチミン、ハノイ、カントー、ダナンなどの主要都市は、食品や薬局、医療サービス提供業を除くすべての施設営業を停止しなければならない。ベトナム当局はまた、オフィス、学校、病院の外で10人以上集まることを禁止した。20人以上が集まる宗教活動も制限される。
――ベトナムでも封鎖措置「4月15日まで必需でない業種の営業停止」 News1 3/28
ベトナムは4月1日から15日まで、「社会隔離」と名付けた期間に入っている。すべての国民は不要不急の外出や3人以上で集まることを避けて自宅で待機し、スーパーや病院など社会生活の維持に欠かせない施設以外は休業している。もちろん外国人も対象で、私も在宅勤務に切り替えた。政府がこの措置を「禁止命令ではなく要請」と説明している点は、緊急事態宣言を7日に出した日本と似ている。
……封じ込め策の中心にあるのは徹底した隔離だ。軍の施設や大学の寮に海外からの帰国者を収容しているほか、感染者との濃厚接触者だけでなく、接触者と接触した人も対象に自宅などで隔離している。4月9日現在で隔離されている人は約7万3千人に上る。
――「失う自由は小さな代償」 ベトナムでは隔離徹底に支持 朝日新聞 2020年4月12日


香港

香港政府は3日夕方から、パブやバーなど主に酒類を提供する飲食店の営業を14日間、禁止した。こうした店で新型コロナウイルスの感染が広がっており、強制的な措置に踏み切った。すでにゲームセンターやフィットネスクラブ、カラオケ店、ナイトクラブ、マージャン店などを閉鎖済み。レストランも定員の半分しか入れなくなっている。
――香港、バーやパブ14日間閉鎖 3日夕方から 日本経済新聞 2020/4/3
香港政府は3月29日、感染拡大防止のため5人以上の集まりを一律禁止した。香港紙記者は「デモは感染拡大を助長する恐れがあり、やりづらくなっている」と話す。
―― 香港抗議デモ、コロナとの闘い 感染防止…少人数やオンライン集会で継続 毎日新聞 2020/4/10


台湾

感染者や濃厚接触者、海外から戻った人に義務付ける14日間の隔離を徹底。……市中で感染した人の中に感染経路が不明のケースも複数確認されている。無症状の感染者がいると想定されるため、対策本部は9日から接客を伴うキャバレーやスナックの営業を禁止
――台湾、コロナ封じ込め成功 新規感染者ゼロも引き締め 時事通信 2020年04月16日


シンガポール

(記事執筆時点で)新型ウイルスの感染者は84人……厳しい出入国管理も維持し、ウイルスをまき散らす可能性がある人々の監視を正当化できる厳格な法律もある。……保健省当局者によると、航空会社に乗員乗客名簿の提出を求め、防犯カメラで患者の動きを追い、警察の捜査員も投入した。これまでに2593人ほどが隔離された
――焦点:シンガポールのウイルス対策、他国がまねできない徹底ぶり ロイター 2020年2月23日
シンガポール政府は20日から新型コロナウイルスの予防策を強化し、すべての国からの入国者に14日間の自主隔離を求める
――シンガポール、すべての入国者に14日間の自主隔離 日本経済新聞 2020/3/18
シンガポール政府は24日、新型コロナウイルスの感染を抑えるため、バーやディスコ、カラオケ店、映画館など娯楽施設の営業を4月末まで停止にするなどの追加対策を発表した……学校や職場以外の場所で10人を超える集まりを禁止する。会議やスポーツ大会、コンサートなどは規模に関わらず中止・延期とする。礼拝など宗教上の集まりも開くことができない。
レストランなど飲食店は営業できるが、テーブルを1メートル以上離し、1グループを10人以下に抑えなければならない。またショッピングモールやカジノ、博物館などは1人当たり16平方メートルの空間を確保し、混雑するセールやイベントを開かないことを営業の条件とする。
――シンガポール、バーや映画館の営業停止、コロナ拡大予防強化 日本経済新聞 2020/3/25



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