ダイエットに関する私的メモ書き:コンセプト

トータルでのコンセプト

◆ 件の書籍は食事間隔調整ダイエットを主題にしているが、基本的に特定の「○○ダイエット」を一本足打法で行うことに批判的で、オーソドックスなカロリー制限から、低GIなど様々な方法をミックスして総合的に行うべきという立場である(何かの一本やりでは限界があるという立場)。そこは好感した。
◆ そもそも太っている理由は人それぞれであり、単一の方法でやろうとしても同じようにはいかない。また、肥満の人と標準上限の人でもメソッドは当然異なるだろう。検査等がない状態での万人向けアドバイスとしては「全部やれ、どれかは効く、あとで効かない要素はやめていけばいい」となるだろう。
◆ 代表的なダイエット方法は、エネルギー出納仮説(カロリーバランス仮説)に基づくものと、インスリン仮説に基づくものに分類できる。

エネルギー出納仮説

◆ 皆さんよくご存じの通りの、「摂取カロリーが消費カロリーに比べて多ければ太り、少なければ痩せる」というコンセプトに基づくダイエット。
◆ 食事カロリー制限は最もオーソドックスなダイエット法である。
◆ 運動してカロリーを消費する、筋トレして普段から消費カロリーを増やす、というのも代表的である。
◆ ただし、現在は少し様相が違う。厚労省の公式資料である日本人の食事摂取基準(2020年版)では、「無限に太り続ける人も痩せ続ける人もいない、太れば消費を増やし、痩せればその逆で、体重増減はやがて落ち着き、一定のところで収束する」という観察事実を元に、食事も含めた生活スタイルごとに{続ければその体重に漸近する"収束値"}が存在し、ゆえに生活スタイルを元に戻せば元の"収束値"までリバウンドする、リバウンドしない減量とは半恒久的な食生活・生活スタイルの変更であるというのが近年の標準的見解になっている。私がダイエットするきっかけになった書籍もその見解である。

コメント 2020-07-21 032852

エネルギー出納のアンバランスは、長期的にはエネルギー摂取量、エネルギー消費量、体重が互いに連動して変化することで調整される。例えば、長期にわたってエネルギー制限を続けると、体重減少に伴いエネルギー消費量やエネルギー摂取量が変化し、体重減少は一定量で頭打ちとなり、エネルギー出納バランスがゼロになる新たな状態に移行する……健康の保持・増進、生活習慣病予防の観点からは……望ましいBMIを維持するエネルギー摂取量(=エネルギー消費量)であることが重要である。
――厚生労働省 日本人の食事摂取基準(2020年版)

◆ この見解があるため、それこそ一生にわたって長続きすることがダイエットの条件になってくる。

インスリン仮説

◆ インスリンは体脂肪を貯めるか放出するか支配しているホルモンの一つである。
◆ (多くがインスリンに関係する)糖尿病を治療する過程で、インスリンを投与・増加させると太り、減少すると痩せる(最悪死に至る)ということが自然実験的に分かっており、インスリンを制御することで脂肪を減らそうという発想が出てきた(私が読んだ本も糖尿病治療の医師の手になるものである)。
◆ インスリン仮説に基づく古典的なダイエット法は低GIダイエットだろう。消化吸収が遅く血糖値を上げにくい食品を取ろうというものである。
◆ この発想をさらに進めて、炭水化物を極端に減らす低炭水化物(低糖質)ダイエットが最近有名になった。この極端な形で、カロリーのほとんどを脂肪で取るケトジェニック・ダイエットなるものもある。
◆ 今回フォーカスをあてる食事間隔調整もインスリン仮説系であり、インスリン濃度が高い時間帯を減らすことをターゲットとして調整する。その結果としてインスリン抵抗性(同じ濃度のインスリンがどれだけ効くかという指標)を下げて2型糖尿病を防ぐ、となっている。
◆ 食事間隔調整のコンセプトを噛み砕くと「間食するな」と言い換えられ、オーソドックスな減量アドバイスと親和性がある。大まかに言えば、「間食の多い者が、空腹に慣れることで、間食をしたいと思わない体質になる」「間食を止めるとしばらくイライラや空腹感があるが、最長1か月で慣れて苦痛でもなくなるからその期間だけ我慢しろ」というのが大筋である。
◆ 空腹に慣れることは半恒久的な体質変化、生活習慣の変化であって、ダイエット期間終了後も間食しないことは変えない。

万人向けのダイエット法ミックス

◆ 半恒久的な生活スタイルの変更ならば、それは長続きできるものでなければならない。すなわち「いろいろなダイエット法のミックス」と言っても、一生それを続けられるような健康的な生活スタイルを確立する、ということである。
◆ 食事間隔調整は食事時間を多少ずらすだけなので生活習慣も食事内容もほとんど変えなくて済み、安全性が高く続けやすい。低GIも選ぶ食材が多少変わるが大幅に変わるわけではなく、健康リスクが下がるエビデンスも豊富で、安全性は高い。
◆ 総カロリー制限は、食事バランスが変わりがちになったり、最悪摂食障害などに至ることもあるが、オーソドックスな方法であり、極端にならないようにして取り入れるべきだろう。
◆ 筋トレ愛好家の間では「栄養を取って筋肉をつけることと、栄養を減らして痩せることは両立しない」というのが基本常識となっている。運動が好きな人は運動を増やすと良いが、カロリー制限とは両立しにくく(怪我をするリスクが増す)、強いカロリー制限を選ぶ人は運動はほどほどにしておいたほうが無難である。
◆ 低糖質やケトジェニックは食事バランスが変わりすぎ、食べ物の好き嫌いがあると続けにくい場合があったり、バランスを大きく崩して想定外の問題(例:排便関係の障害)が起きたりする実践例もあるので、万人向けとは言い難い。成功する人はするかもしれないが、誰でも勧められるかというと私は反対である。
◆ これらを総合すると、食事間隔調整と低GIを軸にして、ほどほどのカロリー制限とほどほどの運動、炭水化物を全く避けるわけではないがカロリーを減らすなら炭水化物から削る、このあたりが万人向けのダイエット法のミックスではないかと思う。

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自分はいいペースで痩せましたが、その際の注意点などを、食事、運動、心がけや健康チェックなどを箇条書きでまとめたものです。体脂肪率が過体重や肥満となっている人向けです。体脂肪率が標準の人がもっと痩せたいというのには向きませんし、そういう人は筋トレしましょう。

あくまで筆者自身がうまく行った例、というだけなので悪しからず。

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