「私が考えた最強のコロナ対策」聞かせてください

新型コロナウイルス感染症COVID-19についての情報をお求めの方は、厚生労働省の情報ページか専門家の情報をフォローしてください。私は専門家を紹介する立場にはありませんが、例えば以下の方などが穏当かと思います。
・新型コロナクラスター対策専門家(@ClusterJapan
・押谷 仁(東北大学
・高山義浩(huffpost記事一覧
・今村顕史(@imamura_kansen
・岸田直樹(@kiccy7777
・坂本史衣(@SakamotoFumie
筆者は医療や行政法の専門家ではありません。単なる素人の感想なので医療情報としての信頼は置かないでください。基本的に自分が納得するためだけに書いたものであり、他者を納得させるために書いたものではありません。

先日、感染研から国内のSARS-CoV-2ウイルスのゲノム分子疫学調査から、中国直輸入の第一波は封じ込めたものの、欧米からの帰国者・入国者によってもたらされた第二波を封じ込めることが出来なかったとする調査結果が発表された。

アジア・オセアニア各国でも同様に欧米帰国者からの第二波に襲われたが、これらの国々では帰国者への2週間の罰則付き自己隔離を義務付けたことでそこからの感染拡大を最低限に防ぐことが出来ていたのはすでに書いた通りである。

必然的に、日本も3月の入国者対策をしっかりしていれば防げたことになるが、専門家の再三の警告にもかかわらず政治が動くのが遅れ自衛隊による輸送や検疫を投入したのは4月に入ってからであった。現在までの段階で、日本のコロナ対策で最も大きな穴となったのはこの帰国者の隔離問題である。


これ自体は分かっているのだが、しかし後知恵で「先手を取って対策していたら?」というシミュレーションをしてみるとこれがなかなか難しい。

1) 数の多さ

日本への入国者は、日本人・外国人合わせて例年1日10~15万人程度に及ぶ。3月初頭時点でのスカイライナー利用者は例年の半分程度まで落ち込んでいたとはいえ、概算で1日1~3万程度の帰国・入国があり、3月中の入国外国人・出国日本人(旅行なので当然帰国する)の合計は約47万人であった。

例えば入国者全員検査のようなことは考えうるわけだが、1日1~3万というのは大量検査をやっている国のキャパシティに近く、韓国でもピーク時1日1万前後が多く2万に達した日はない。日本でも、検査精度を気にせずなりふり構わない検査能力の投入で理論上可能になる値という程度で、それに全てを割り振れば当然ながら国内の各保健所での検査は不可能な数字である。

また、元々偽陰性が多かったり潜伏期間が長かったりするため、全員検査したところで半分程度は取り逃がしていたと考えられる。ピックアップして検査してもやはり取り逃していただろう。

ホテル隔離する場合、普通のビジネスホテルは多くて200室程度、品川プリンス級のメガホテルでやっと3000室程度であり、日本の宿泊施設の総部屋数ですら162.5万室に過ぎない、そしてそれらの大半は大都市の都心部に集中しているということも留意すべきである。空港に近いという条件に限定すると、全ホテルを徴用してもまず足りないと思われる。

2) ホテル隔離の従業員の問題

ホテルが閑古鳥が鳴いているということでホテルを隔離場所に使えばよかったのではないかという声はよく出るところである。しかし、現実にはホテルの従業員の安全が確保できないということで、労組が原則反対清掃業者が感染疑いのある人を受け入れたホテルから撤退元からの従業員を全入替で受け入れということになっている。

武漢からの帰国者についてはホテル三日月など立候補したホテルで対応できたが、50万人(その中に本当の感染者は推計1000人以上いた)の自己隔離をするうえで、従業員の教育をしたホテルがいくつ確保できただろうか?というと厳しい。2月にダイヤモンド・プリンセス号の問題があったので準備はできたはずだが、それでも50万人受け入れ態勢は後知恵でも作れたかというと厳しいものがある。

3) 自宅隔離の法律上の問題

このあたりの「帰国者全員を捌けない」問題はアジア諸国でも共通であり(ベトナムのように帰国しないことを求めた国すらある)、それらの国では帰国者に自宅隔離を求めていたが、日本の場合は帰国者に発症の有無を問わず隔離を強制する方法がなく、お願いだけであった。帰国者の外出で明示的に二次感染が確認されたのが京産大クラスタであったり、断片的に確認されたのが夜の街クラスタ(スポーツ新聞で報じられていたように欧州旅行から帰国したキャバ嬢から芸能界への感染ルート)である。

別項で書いた通り、日本の感染症対策はハンセン病隔離違憲判決で「膾を吹く」状態になっており、感染症法から実質的に「隔離」という言葉が消されるほど隔離に否定的である。この法学的コンフリクトを1か月以内に解消できただろうか?というと、少なくとも法学の素人である私から見ると難しいように見える。


この帰国者問題は今後の「ニューノーマル」の体制下でも問題になっていくと思われるので、何かいい案がある方はご意見を発表してほしいと思っている次第である。




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