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『眠れる海の乙女』青春恋愛小説

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全記事のまとめですm(_ _)m エブリスタ小説大賞2020 集英社 ナツイチ小説大賞 最終候補選出でした(^^) 【あらすじ】内田隼人は大学中退後、祖父母が経営する千葉県千葉市…
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記事一覧

『眠れる海の乙女』第1話

【あらすじ】 大学を中退し、祖父母が経営する千葉県の不動産会社で働き始めた成田隼人は、会…

『眠れる海の乙女』第2話

「へぇ、思った以上に綺麗だね」  室内を見渡しながら、感心している様子の架純。確かに俺が…

『眠れる海の乙女』第3話

 不思議な夢を見た。  白鯱が次々と海面から顔を覗かせ、飛び上がっていく。見上げる程の高…

『眠れる海の乙女』第4話 

 架純の部屋でカレーを食べた日の夜。疲れ切った体を布団に預けて、眠りにつこうとしていたが…

『眠れる海の乙女』第5話

『……もう一度、始めないか? 俺達』  小波と風が吹き付ける音が聞こえた後に『好きだった…

『眠れる海の乙女』第6話

「よって宇留野様の御自宅の査定価格は、こちらとなります」  説明を終えた俺は、依頼者に査…

『眠れる海の乙女』第7話

「たまたま仕事が休みだったから良いけど、もっと早く行ってくれたら……よいしょ、助かったんだけどね。ほら……もっとお腹、引っ込めて?」  母の優子は、愚痴を言いながらも着付けを手伝ってくれた。 「いいでしょ? 娘の晴れ舞台なんだから……少しは甘えたっていいじゃん?」後ろでおはしょりの長さを調整している優子に言い返すと「だからって当日に『浴衣着たいから持ってきて』『あっ、でも着方わからないから手伝って』って連絡してくる事ないでしょ?」と正論を言い返されてしまった。正論を言われ

『眠れる海の乙女』第8話

 架純と過ごしたあの夏の記憶がまだ新しい頃。突然の訃報に俺はその場を立ち尽くした。  正…

『眠れる海の乙女』第9話

 隼人は正和を見送った日からアパートに帰っていなかった。  正和の葬式の翌日から帰って来…

『眠れる海の乙女』第10話

 正和の葬式が終わった頃、俺はひどい喪失感に侵されていた。  全ての事に於いて無気力にな…

『眠れる海の乙女』第11話

「症状はかなり早く進行しています。今後は時間を空けずに架純ちゃんの目はもう……」  重苦…

『眠れる海の乙女』第12話

『架純はもう、隼人君の前には現れない』  俺の聴力に異常をきたしていなければ、目の前に立…

『眠れる海の乙女』第13話

 私は眠るように瞳を閉じて、ベッドに体を預けていた。  ヘッドフォンから流れ込んでくる…

『眠れる海の乙女』第14話

「……これが架純の現状だよ」  聡は傍らに立つ俺に、力ない言葉を投げかけた。架純がいる家を聡の合図で飛び出し、今は家から数軒離れた場所にある小さな公園のベンチに腰を下ろしている。  事実を受け入れられなかった俺は、聡と一緒に市原市内の住まいを訪れた。ベッドに横たわる架純は、俺が知る架純ではなかった。架純がいる所まで数歩歩けば届く距離にいたにも関わらず、架純は俺を認識しなかった。視界に捉えられる角度にいたにも関わらず、俺を捉える事はなかった。呼吸を抑え込み、聡と架純の会話を