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その日僕は死にました

宮城のとある田舎の話

2011年3月11日
少年は中学1年生

少年の特技は
①野球
②走る
ことで

少年の目標は、今年野球部の「レギュラー」を
勝ち取ることだ。
そのために毎日の朝練を欠かさず行う。

少年はあと僅かで2年生になる。
新学年では必ず"レギュラー"を取るのだ‼︎

と心に誓い今日も眠たい目を擦り
誰も居ない、朝のグランドへ向かうのだ。

ワクワクだ‼︎
今日も僕は成長するのだ。
いつもと変わらない日が今日もやってくる。

今日は寒い日だった。

この日の記憶は鮮明に覚えている。
今日は兄ちゃんの卒業式だ‼️

2つ上の兄ちゃんは、野球部のレギュラーで
足も速かったりする‼︎少年の憧れの存在だ。

だがいつかは超えてやるのだ。

なんて思いながら
無事卒業式が終わり、家族は兄ちゃんを連れて
卒業祝いにご飯食べに行った。

少年は、1人家でお留守番。
コタツに入り1人ぬくぬくと過ごしていた。
なにも変わらない幸せな1日だった。

だが、突然"それ"はおとずれた。

東日本大震災

一瞬なにが起こったかわからなかった。

怖くて怖くてたまらなかったし

「世界の終わり」

その時感じた気持ちは忘れることはない。
鮮明に覚えている。

近所のレンガの家は崩れ、
なにかが埋もれている。

怖くて怖くてたまらなかった。

その時ちょうど近くの小学生が下校している最中だった。

その小学生は、泣き叫びレンガの家に
体を寄せていた、、

** "危ない"**

レンガが落ちる寸前だった。
少年は必死で小学生を近くの安全な場所へと誘導した。

なにが、起こっているだ。
そこにいた誰もがそう思っていた。

あっそうだ。
お婆ちゃんとお爺ちゃんは無事なのか?

2キロくらい先に住んでいる
2人のことが頭に浮かんだ。

少年のお爺ちゃんとお婆ちゃんの家は、
木でできている。
そんなに頑丈な家ではなかったはずだ。

必死で自転車を漕ぎ、2人の元へ向かった。

"良かった"

家は崩れておらず、2人も無事であった。
なんなら、あんまり地震に気付いていなかった

はぁ、、、
マジで焦った。
でも本当に良かった。

その後、家族が無事帰宅した。

本当に涙が止まらなかった。

その日から約2〜3週間、電気がつかない日々が
続いた。

夜は電球を照らし、
電気ストーブの周りに家族で手をあてて過ごした。寝る時もみんな一緒だった。

食べ物も電気ストーブの上で調理した。
とんかつのお惣菜を買って、ストーブの上で
温めて食べたりした。

お風呂のお湯もでないので
冷たいのを我慢してシャワーを浴びたのをよく覚えている。

少年の家は田舎だったため
スーパーまで10ぷんくらいかかる。

もちろん車のガソリンもそんなになく
朝6時にお母さんとガソリンスタンドに並んだことを覚えている。今まで見たことのない行列だ。ガソリンスタンドが見えないくらい。
結局13時まで待ったけど、その日はガソリンもらえなくて、どうしようねって話したことも覚えている。
後日お母さんの友達が、少しガソリンを分けてくれて、"助け合い"って大切だと思った。

ものを買うのも一苦労だった。
お店もものがすべてぐちゃぐちゃだ。
僕たち家族は、手分けして買い物をすることにした。少年は近くのヨークで、調味料セットを勝ち取った。お母さんに自慢しよう‼︎

お母さんこれ見てよ‼︎
"調味料セット"

いや、今それいらんよ!
調味料たくさんあるし!

ちょっと凹んだ記憶である。

2〜3週間が経ち、隣の家に電気がついていることに気がつく‼️
もしかして??

お兄ちゃんが急いで、ブレーカーを上げてくれた。

"明かりだ"

電気がついた‼︎
やったぞ!!電気がついた〜!!!

この時程家族で喜んだことはない!

テレビでは、永遠と同じコマーシャルが流れていた……

数か月が過ぎ、少年は2年生になっていた。
そして、宮城の沿岸部へ来ていた。
野球部でなにか支援できることはないか
その思いで、野球部の監督がみんなを
連れてきてくれた。

"悲惨だった"

こんなものは見たことがない。
全てがなくなっていた。

家も車も、木もお店もなにもない。。

街の真ん中には巨大な船があった。

あとは、見渡す限りなにもなくなっていた。

これが本当に日本なのかと
信じられなかったことを鮮明に覚えている。

そして、また怖くなった。
少年にはなにもできないと感じた。

ぼくは野球をやっていていいのか
やめたいとまでおもった。

その日チームで話し合った
少年らは中学生、できることは少ないだろけど
できる限りのことをしようと決めた。

なにより、少年が"今"生きていることを
本当にありがたいことだとおもった。

だからこそ今日という日は忘れてはいけな


そして、その日僕は死にました。

今まで、当たり前だと思っていたことは
当たり前ではないということ。
この命は、今僕に与えられたいる宝で
全力で生きなくてはならない。

少年は、新たな気持ちで生きていく

現在、少年は22歳になっていた。
その気持ちは今も変わらない。


よし今日から
コンビニのお釣りは募金しよう。



とある田舎の少年のお話でした。

「今日も僕は成長した」
「明日も僕は成長する」

ではまた!✋

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