工業用ブラシはどこで活躍するの?
工業用のブラシと言われてもピンと来ない方が大半だと思います。そこで、今回はどういう所で使用されているのかをご紹介します。
基本的にブラシは機械内部に付くため、目立ちません。日常生活の中で目にすることもあるのに、気が付ないぐらい影が薄いです(笑)
工業用ブラシは、大きく分けると清掃目的と製造目的での使用に分けられます。主に掃く、削る、磨く、ふさぐの4つの役割を担っています。
掃く
一番イメージしやすい場面かも知れません。
汚れを落とす(清掃)
ベルトコンベアなどで商品を作っていると、ベルトコンベアのベルト部分に製造過程で出る残りカスなどが残ります。
そのままでは支障をきたすので、掃除する必要があります。自動でずっと回っている機械の内部で黙々と仕事をしています。
埃を付着させにくくする(製造)
クリーンルームで扱うような精密機械は埃が大敵です。
埃は静電気によって、製品に付着します。そのため静電気を抑える毛材を使用した除電ブラシが、生産のお手伝いをしています。
削る
バリを取る(製造)
金属加工品を作る際にバリが出ます。プラモデルのパーツを取った時に付いてくる部分と言えば分かりやすいかも知れません。
硬いものを加工する際にバリはよく発生します。そのままでは品質が低下してしまいますが、取るのは結構な手間です。バリ自体も硬く、道具が無いと取れません。大量生産する場合は、このバリが大きな問題になることが間々あります。
ブラシでバリを自動で取れるようにしたり、工具に付けて手間なく取れるようにするお手伝いをしています。
錆びを取る(清掃)
鉄の宿命かも知れませんが、経年劣化で錆びてくることが多いです。錆びはどんどん浸食するために酷くなっていきます。そのため初期の段階ではシンナーなどでふき取って落とすことも出来ますが、ふき取って落とせない錆びは、削る必要があります。
錆びを落とすには表面を何回も浅く削ることが大切です。ブラシの毛は高密度に並んでいるため、これを実現しやすいです。
ネジの錆びをイメージしてもらえると一番わかりやすいかも知れません。錆びたままだと、ネジを締める時に非常に苦労します。錆びを落とすことで新品同様の使い心地を再現できます。
メッキや塗装の下処理のために削って下地を出す(製造)
古い塗装やメッキを剥がす作業に使われることが多いです。
しっかり落とすことで、再塗装や再メッキがキレイに仕上がります。
固まって取れない汚れを削り落とす(清掃)
汚れにも色々あります。その中でも厄介なのが固まってしまって取りにくい汚れです。
この汚れもブラシで削ることで楽に時短で落とすことが出来ます。
接着しやすくするため(製造)
工程上の下処理としてわざと傷をつけるときに使用します。
磨く
金属の光沢を出す(製造)
金属製品の仕上げに使われることが多いです。
ブラシを高速で回転させて磨きます。
バリ取りを兼ねた磨き
バリ取りしながら同時に磨くカタチです。
ふさぐ
なぜブラシでと思われる人も多いと思いますが、意外と需要があります。基本的には侵入や飛散を防ぐために使われることが多いです。
それ以外では、侵入を防ぎたいけど、出し入れもしたいという要望に応える選択肢としてブラシが選ばれています。
硬い材質では出来ないことがブラシなら可能になる場合があります。ブラシは密集することでコシを出して硬くなりますが、1本ずつだと柔らかいため変形して元通りになります。そのため、相手を傷めることなく出し入れが可能になります。
隙間は作りたくないけれど、コードは出したい
主にデータセンターのサーバーで使用されています。
隙間はふさぎたいけど、コードは出したいときにブラシの可変性が有効に機能します。
モノを傷つかず出し入れしたい
駅のホームに設置されている可動式ホーム柵に使用されています。
電車が来るまでは柵が中に入って、電車来ると、柵が飛び出して乗り降りに支障がない仕組みになっています。
この出し入れするときの機能としてブラシが活用されています。
精密な自動加工機械の内部の機構を支える
マシニングセンターやNC旋盤に採用されています。
箱に覆われた機械なのですが、その内部の扉の隙間や装置の隙間ふさぎに使用されています。
加工する際に発生する切りくずの飛散防止
ブラシで囲うことで、周りに飛び散らないようにすることができます。
いかがでしょうか。普段はまったく目立ちませんが、縁の下の力持ちとして日本のモノづくりを下支えしているのが工業用ブラシになります。
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