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今から44年前の『教員養成セミナー』創刊号を見ていたら面白くて止まらなくなった件

こんにちは。月刊『教員養成セミナー』編集部のOです。
本日22日は、本誌の最新10月号の発売日です。本号より、本誌はリニューアルし、23年夏受験者用の情報をお届けしていきます。最新号は、表紙のような特集を組んで、リアルな先生像を探っていますので、ぜひご覧ください。

最新10月号は本日発売。読んでね!

さて、今号で本誌は通巻596号を迎えました。何と、あと4号で記念すべき600号の節目を迎えるのです(拍手!)。

600号って、なかなかすごいですよね。創刊は44年間前。この頃大学3年生の21歳だった読者の方は現在65歳で、定年後の再任用の上限を迎える年齢です。本誌を読んで教師になった方が、管理職などを経て、後進の指導に当たる年齢になっていることを考えると、なかなかの歴史の重みを感じます。
ここまで長く続いてきたのも、すべては読者の皆様と全国の書店員さん、取次関係者さんのお陰です。この場を借りて御礼申し上げます。

そんなことを考えているうちに、本誌の創刊号って、どんなだったのかなと気になり、見てみることにしました(ですから、この記事は試験対策情報などはあんまり出てこないので、真面目な内容を期待していた方は、読み飛ばしてくださいね)。

表紙は、こんな感でした!当時は季刊だったのですね。受験最盛期の夏の刊行だったので、直前期の情報を特集しているようです。写真のコラージュが、何とも味があって、イイ感じのデザインです。

記念すべき創刊号。1978年の刊行!子供たちも、昭和という感じで、いいですね。
今も本誌にある巻頭インタビュー。首から笛を下げている先生、最近はあまり見ない気がします。校長先生のコメントが辛口(笑)

1978年に何があったか調べてみました。
成田空港の開港、東芝が世界初の日本語ワープロ発売、池袋のサンシャイン60開業、サザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』でデビュー、「赤いきつね」発売、ヤクルトスワローズが初優勝、などなど。

空港や高層ビルの開業、ワープロの発売など、何だか勢いを感じます。本誌も、いけいけどんどんな雰囲気の中で、創刊したのかもしれません。それは、出稿されている広告からも感じます。

表2(表紙をめくった位置)にはNECさんの「ファックス」の広告!(NECさん、また久々に広告出稿しませんか。お待ちしております)。
表4(裏表紙)はなぜか電通さんの広告!広告会社が広告を出すというのが興味深い
です(電通さん、また広告ください!)

目次は、こんな感じでした。

目次を見る限り、基本的な試験内容は、あまり今と変わらないようです。

ここで注目したいのは、156ページの学習指導要領の解説ですね。当時は1977・78年版の学習指導要領が出たばかり。1970年後半から80年代半ばは「校内暴力」が問題になった時期でした。これは、いわゆる「詰め込み教育」が原因ではないかという指摘があり、「ゆとり」をキーワードにした以下のような改訂が行われたのでした(これは教採に出るので、チェック!)。

『教セミ』誌面より抜粋

創刊の言葉でも、教育をめぐるそんな「問題」に言及があります。また、ここでは「制度面の改革」と「教員の待遇改善が進む」という言葉が出てきます。
恐らくこれは「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法・1971年)」「学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法(人材確保法・1974年)」の2つを指しているのではないかと思われます。

巻頭の言葉。「よい教師の確保」はいつの時代でも、各自治体のミッションになってきたということでしょう。

給特法とは、教員の給与を一般の公務員よりも優遇することを定めた法律です。休日・時間外手当を支給しない代わりに月給の4%を「教職調整額」として支払うことにしました。当時の教員は時間外勤務などは少なかったため優遇策として機能すると考えられたのですが、現在は逆に教員の負担を増加させる要因になっているとも指摘されています。
また、人材確保法は1978年までに教員の給与をもろもろ25%増加するという法律です。
こうした「待遇改善」の結果、「教職課程をとる学生層が著しく増大」したそうです。
これを念頭に、「都道府県別直前情報」に目を通したのですが、各県で下のような記述がバンバン出てきて、度肝を抜かれました。

岩手県。「特殊学校」は、現在では特別支援学校に制度が改められています
宮城県。なんと、倍率100倍!
福島県。「ひのえうま」の年は子どもが少ないという記述が、おもしろい。言い伝えが、リアルな出生数に影響していたということですね

キリがないので、これくらいにしておきますが、受験者の皆さんにとっては、この時期の受験でなくてよかったと感じるのが、本音ではないでしょうか。

そして、当時採用された多くの教員たちが今、続々と定年を迎えていることから、現在の教採は採用者増の状況が続いていて、倍率は低下傾向にあります(ただし、それでも自治体や校種によっては非常に高倍率で、簡単な試験ではないことは言うまでもありません)。
教採って、一年ごとに「点」のように存在しているのではなくて、線のように繋がっているものなのだなあ、と改めて感じた次第です。

あまりにも面白いので、長々と書いてしまいました。教セミのバックナンバーをたどれば、日本の教育の近代史が見えてくるかも知れません。おもしろいので、機会があれば、また初期の教セミを紹介してみたいと思います。

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