Wi-Fi接続奮闘③
前回の記事の続きです。
今度こそ繋がると本気で信じていたWi-Fiが、また繋がらなかった。
夫婦揃って”orz"状態となった。
既にプロバイダーの方との電話は、ぬか喜び中に切ってしまっていたため、原因を聞くことができなかった。
再びあの「ただいま電話が大変混み合っています。」というアナウンスを聞きづつけるのかと思うと、もう一度電話をかけようという気にはなれない。
ストーリーに嘆くと、それに強い友だちから
「回線の差し込み口はどこなのか、管理会社に電話して聞いてみるといいよ。」
とDMが届いたので、その手があったか!とすぐに管理会社に電話して聞いてみたところ、管理会社も分からないと言う。
この奮闘に関わる全ての人が、もうなにも分からなかった。
しばらくの休憩の後、夫がモデム会社の担当の人に電話をかけた。
プロバイダーとの仲介的な立ち位置の人。
これまでの経緯をもう1度説明すると、モデム会社の担当の人もやっぱり原因が全く分からない様子で、プロバイダー側の回線工事が出来ていない可能性しかもう残っていないと言う。
夫はプロバイダーに電話をし、これまでの経緯を説明すると
無料のポケットWi-Fiを郵送していただけることになった。
そして、回線工事の確認にも来てくれることになった。
その頃になると、もう私の禁断症状も無くなっていた。
無料のポケットWi-Fiがくるし、工事の人も来る。
別に今すぐにWi-Fiなんて繋がらなくても、必ずいつか繋がる日はくる。
いいじゃない。別に。
Wi-Fiのないこの2日間も、何不自由なく幸せに暮らせていた。
家に屋根はあるし、水道も出る、ご飯は美味しいし、犬も可愛い。
多くを望み、焦るから辛かっただけ。
私は、このたびのWi-Fi接続奮闘を経て、悟りを開いていた。
そして翌日、ポケットWi-Fiが届いたが、悟り真っ只中の私は
『目の前にあるけど、、別にWi-Fi要らないな。』
という気持ちになっていたので、机の上に置いたまま手をつけなかった。
夫も1回も触ろうとしなかった。
これはWi-Fi中毒を克服できたということなのか、
それとも箱を開けてまた色々と設定する行為から逃げていたのか、
正解は後者だと思う。
夫が仕事に向かいしばらくすると、インターホンが鳴った。
プロバイダーの工事の方だった。
ドアを開けると、小柄で小顔で目がクリッとしててショートカットがよく似合う、誰がどう見ても美女が作業服姿で立っていた。
有名人で例えるなら、湊莉久。小さすぎる顔、大きな目、ショートカット、本当によく似ていた。
こういう作業員の人って全員おじさんだと思っていたので、私は少し動揺してしまった。
今まであらゆる美女と仕事を共にしてきた私で動揺するのだから、美女に耐性の全くない人が家主だった場合、家の中に通したり、説明したり質問したり、ちゃんとできるのだろうか?と心配になった。
私は作業員の湊をリビングに通した。
クローゼットの1番高いところにモデムとルーターが接続されているので
クローゼットの前に椅子を置き、登ってもらい、作業が始まった。
美女に耐性のない人が家主だった場合、家の中のどこに身を置いて、どこを見ながらこの状況を耐えるのか、心配になった。
美女のことが心配になった。
愛犬ぷんたを抱えながらそんなことを考えているとき、作業員湊が言った。
「すみません。モデムとルーターを繋いでいるケーブルがあるじゃないですか、LANケーブルっていうもので繋ぐんですけど、これ、電話線ですね。」
「え?ってことは、ずっと電話線で繋いでたから、Wi-Fiに接続できなかったってことですか!?」
「はい。そうですね。」
今までの奮闘が、走馬灯のように頭を走り抜けた。
作業員の湊は、持参していたLANケーブルでモデムとルーターをチャチャッと繋ぎ直すと、
設定もこちらで行いましょうか?と言ってくれた。
半ば放心状態で「お願いします」と言い、あれほどこだわっていた設定の作業も、作業員の湊にお願いした。
すると、ものの30秒ぐらいで私のiPhoneにWi-Fiのマークが現れた。
湊がウチに居た時間は15分も無かったと思う。
あんなに奮闘した2日間。私、夫、ルーター会社、プロバイダー、担当の人、それに強い友だち、管理会社、みーんなが頭を抱えたこのWi-Fi問題の原因は
モデムとルーターを電話線で繋いでいたことだった。
奮闘に関わった全ての人がこれを聞いたら、なんて言うだろう。
後ろめたさを感じた。
次の日、郵便局でポケットWi-Fiを返送した。
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