透明になったあの子
透明になったあの子は、光に照らされるとキラキラと輝く。
そんなあの子を、僕は海に連れて行った。
「海は青色に見えるけど、本当は透明なんだよ。
一体誰が、「海は青い」なんて言ったんだろうね。」
そう言うと、あの子はポロポロ泣いた。
自分の居場所を見つけたように、わんわん泣いた。
あの子は「ありがとう」と言って、そっと僕の手を離れた。
そして、海に向かって歩いていった。
あの子の姿は見えなくなった。
この世界には、あの子と同じ思いをした子が何千万といるらしい。
でも、彼らがあの子のことを優しく出迎えてくれた。
こっちにおいで、と。
これであの子は楽になれたかな。
もう、あの子がどこに行ってしまったか分からないけれど
君が、この世界のどこかでまだ輝いていると思うと
僕もまだ生きようと思えるよ。
君はどんな色になっても、僕の大好きな友達だよ。
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