見出し画像

【チャート分析】2023年爆益テーマ2選

 2023年が始まり、株式市場も本格的に始まりました。年初から、大きく動いているセクターやテーマがある一方で、昨年強かった銘柄の勢いがなくなっているところも出てきています。

 今年の相場をうまく乗りこなしていくためには、どのような投資戦略を取れば良いのか。相場の上昇をうまく取るために気をつけておきたい2つのテーマについて解説し、各セクターのチャートを元に投資戦略を考えていきます。

2023年は上昇の年になる

 まず、初めに今年の相場観として、私は大幅に上昇すると見込んでいます。それは、米国市場然り、全世界や、新興国にとっても同じことが言えると思います。その理由としては、大きく2つの要因があります。

インフレのピークはとっくに去っている

 今年もFRBの政策に注目が集まりますが、最も警戒されているインフレについてはとっくにピークアウトしています。下の図は前年比と、前月比のCPIインフレ率の推移です。

図 消費者物価指数前年比
図 消費者物価指数前月比

 前年比は、6月の9.1%をピークに現在は、6.5%まで下落しています。また、前月比ベースでも6月の1.3%を最後に0.1%,0.4%に下落しているほか、12月にはついに、前月比でマイナスとなりました。コアCPIも見ていきましょう。

図 コア消費者物価指数前年比
図 コア消費者物価指数前月比

 前年比では5.7%、前月比は0.3%, 0.6%と高止まりしているように見えますが、これの主要因は、コアCPIの50%を占めるShelter(住居費)のインフレが0.8%と高止まりしているためです。

 しかし、CPIの住居費価格の計算には6ヶ月-1年のタイムラグが生じる遅行指標となり、先行指標であるケースシラー住宅価格指数や、中古住宅販売指数などは壊滅的に下落しているため、これが織り込まれていない状況で、ここまでインフレ率が下落しているということは、その他の項目が大幅にインフレ鈍化していることがわかります。

図 ケースシラー住宅価格指数
図 中古住宅販売件数
図 消費者物価指数詳細

詳細はこちらの記事もご参照ください。

 また、アパートメントの家賃価格も過去に例がないくらいに下落しています。

図 米国アパートメントの家賃価格前月比変化率


図 米国アパートメントの家賃価格年初来変化率

 ここから見ても、アパートメントの価格は8月より大幅に下落しており、年初来で見ても2018と変わらない水準にまで落ち込んでいます。住居費のインフレは前月比で0.8%の上昇というのは、違和感があります。


景気は明らかに失速し始めている

 以下は、ISMが発表している、米国の製造業、非製造業の景況感を示した指数であり、50を超えれば景気拡大、下回れば景気縮小を示しています。

図 ISM製造業景況指数

 同指数は、2022/11月分よりコロナショック時以来の50を割り込み、景気後退を示す指数となりました。特に新規受注の減少や、受注残の減少により先行き見通しに懸念があるといった結果となっており、足元の業務を消化していけば、今後は雇用も減少傾向に入り、製造もますます減少していくことが見込まれます。

図 ISM非製造業景況指数

 FRBはかねてより、サービス業の景況感には粘着性があり、すぐには改善しないと警戒感を示していましたが、12月分の景況感は予想55を大きく下回り49.6と、コロナショック以来の景気減速に突入しまいた。

 これは、クリスマス商戦が終わり、旅行や、レストラン需要が一服した頃で、今後のサービス業は雇用が削減される可能性があること、また、景気の先行き不透明感により、新規雇用が見送られることが懸念されているのか,新規注文、雇用の項目が大幅に小さくなっています。

図 ISM非製造業景況指数詳細

 このことより、今後は旅行需要や、レストラン需要がさらに減少していくことが予想されるため、サービス業の景況感は次第に悪化し、不景気に突入することが予想されます。

 また、平均時給の伸びについても確認していきましょう。

図 平均時給前年比
図 平均時給前月比

 前月比では0.4%,0.3%あたりを行き来しており、前年比で見たときには、2022/4の5.6%をピークに鈍化し続けています。しかし、コロナショック前は3%前後であったため、まだ高止まりしていると言えます。

 しかし、インフレ率が5.6%で賃金インフレが4.6%ということは、実質賃金は減少しているため、国民の生活水準は切り下がり、財布の紐が固くなっていることが生活必需品、一般消費財銘柄の決算から見て取れます。

 このように、景気の過熱は次第に和らいできていることは明白で、これ以上に金利を引き上げる必要はないと考えるのが自然です。


インフレが落ち着けばFRBは利下げする

 FRBはかねてより「インフレ率はいまだに高すぎる」「5.25%以上の政策金利が必要」と言っていますが、ここまで説明してきたように、インフレは明らかにピークアウトし、指数に乗っていない住居費は目下大幅下落中、景気は縮小に突入し、賃金インフレは減速に向かっている。

 ここまでを見ても、現状の金利でインフレが再燃するということは考えにくく、FRBは利上げ幅の減速とともに、近く値あげを停止すると見られています。それを織り込むようにCME Fed Watchツールでは、3月にも利上げの停止が織り込まれています。

図 CME Fed Watchツールによる政策金利予想

 なぜ、FEBがここまでインフレや、金利見通しについてタカ派な発言をするのかというと、それは、利下げがあることを市場参加者に知られてしまうと、景気回復が織り込まれ、株価が高騰してします。株価の高騰は、国民の資産を増やすことに相当しますから、再び出費が増えインフレが再燃してしまうリスクがあります。これを資産効果と言いますが、FRBはなんとか資産効果によるインフレの再燃を避けなければなりません。

 そのため、FRBはコアCPIが2%になる、または、その道筋が明確に見えるようになるまでは利下げは行わないと言い続けると思います。しかし、裏を返すと、インフレ率が2%になる、または不景気に突入して、失業率が一気に急上昇してしまうような状況になれば、FRBは躊躇なく利下げに踏み切ると思います。投資家はFRBのタカ派発言に惑わされず、安値で株を買う絶好のチャンスをものにしなければいけません。


2023年は2つのテーマをおさえろ!

 ここまで、説明してきたように、インフレはピークアウト、景気は減速、インフレが落ち着けばFRBは利下げするという状況の中で重要な投資テーマを2つ押さえておく必要があります。

①不景気が追い風になるテーマに乗る

 不景気が追い風になるテーマというのは、不景気に強い株や、商品を購入するということです。これは、不景気に入る前に市場がどう動くのか、投資家はどのような商品を購入しやすいのかという観点から投資テーマを選定していきます。この方法は、既に勘のいい投資家が既に購入が進められてるために、値上がり幅という観点ではやや投資妙味が劣りますが、今が一番旬な銘柄たちです。

具体的にはこちらのような銘柄や、立ち回りになりますね。


②不景気前の株高に乗る

 不景気前の株高とは、不景気が意識されることで長期金利が下がる傾向にあることを利用した投資方法です。長期金利とは10年以上の債券を購入した際にもらえる利息のことを指します。そのため、長期金利が上がるということが、債券を持っているだけで利息がたくさんもらえることを意味するので、株から債券に資金が流れやすくなり、株価のバリュエーションが下がります。これは「マルチプルコントラクション(価格の圧縮)」と呼び、逆を「マルチプルエクスパンション(価格の拡張)」と呼びます。

 2022年はこの利上げが行われ長期金利が0%→4.5%に引き上げられたことから「マルチプルコントラクション」により、株価が大きく圧縮されてきました。しかし、2023年は、景気後退が予測され、年末には利下げがあるかもしれないということを債券市場が織り込んでいることをCME Fed Watchツールでご紹介しました。

 10年債券利回りはそれを見越して、既にピークを打って下げ始めています。

図 米国債10年物利回り

 上図のように、金利は下落していて「マルチプルエクスパンション」が起きやすい状況になっています。不景気前の株高に乗るということはこれに乗るといった方法になります。

 とりわけ、高バリュエーション(PERが高い銘柄)については、金利が低下した際の適正利回りが上昇しやすいため、大きく恩恵を受けます。そのため、不景気になるまでのこの期間というのは、高バリュエーションな銘柄が多い成長株にとっては、非常にチャンスと捉えられます。

具体的にはこちらのような銘柄になりますね。

 ただし、不景気前の株高というのは一時的なもので、収益が大幅に減少する、予想より早く失業率が上昇し、景気の急減速が見られた場合には、株は大暴落してしまいます。そうなる前の一時的なラリーなので、リスクマネジメントはきっちりとし、相場の天井でレバレッジブルを仕込むようなことは絶対にないように、相場を観察し、よくを押さえてください。具体的には、こちらの記事のような立ち回りがいいかと思います。


 では、以下では、①、②に該当するテーマや商品の現状や、今後の予測について確認していきましょう。


不景気が追い風になる商品

ここから先は

4,656字 / 16画像

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?