見出し画像

田舎の家は何故物だらけになるのか

私の住む福井県は、市街地以外はほどよく田舎なのだが、とにかくどのお宅もデカい!

商売人が多く、比較的裕福なのもあるのか、デカい家が本当に多い。

小学生の頃、友人宅内でトイレからの帰り道が分からなくなり、迷ってしまった。その時、色々な部屋を覗いてしまったところ、階段が2つあったり、キッチンがもうひとつあったりと、ワクワクしながら迷子になっていたものである。

福井の家が何故大きいかの理由として、「見栄っ張り」と「共働き」がある。福井の人は男女共によく働く。


働いて、働いたお金を車や住宅に注ぐことがステータスとされてきた。今は違うかもしれないが、どっぷり35年いると感覚でわかるようになる。若い子でも、すごい立派な家をパカパカ建てている。

「あそこのお家も新しくしたからうちも…」といったセリフは、お客さんからよく聞いた言葉だった。見栄っ張りという表現よりも、世間体を著しく気にするという方が正しいかもしれない。


「窓掃除はご近所さんに見られたら恥ずかしいから、頼みたいけど頼めない」という奥さんの言葉は、田舎あるあるなのだろう。

大きな家あるあるで、物が多いという悩みは後を経たない。何十年と積み重ねてきた物の量は、1日や2日で片付けられるわけでなく、高齢者世帯にはそんな気力がもうない。


田舎のライフスタイル


物が増えていく背景には、田舎ならではのライフスタイルが大きく関係してくる。


祖父母、父母、子供が3人の7人家族の場合…

⚫︎祖父母が結婚した当初からある持ち物
⚫︎息子夫婦の物
⚫︎それぞれ子供の物
⚫︎皆で共有する物


一番の大物は、やはり家具ではないだろうか。それも、立派な婚礼家具や、立派な勉強机。私たちはそういう大きな家具と共に生きてきた。


福井には結婚式の歴史にちょっと変わったものがあり、嫁いできた嫁のタンスの中身をご近所さんに公開する儀式があったり、新しい家電を見てもらったりする。"箪笥町"と言う名前の場所があるぐらいだ。


見栄っ張り文化のせいか、うんビャクマンもする立派な婚礼家具を持たせるのは親のつとめという時代があった。今でもその名残はある。


イベントにお金をかけるため、女の子がたくさん産まれた家は破産する、と言われてきた。私も女3姉妹で、親が破産するかもしれないと学生の頃は何故かビクビクしていた。

また、子供の数だけ勉強机があり、裕福な家庭ならば、立派な木の滑り台が玄関にあったり、とにかく一人一人に対して、ちゃんとした家具を用意する。

そしてその子供達は働き出し、家を出る。家を出る時、たいがいの荷物は置いていく。ここがポイントだ。

この、幼少期から青年期にかけた荷物を無責任に置いていくパターン。そして嫁いだはいいが、自分の荷物を一向に片付けない。更に、孫の要らなくなったベビーグッズを置いていく。実家は都合の良い物置と化する。


私はこれが、田舎の家の物が増えるポイントだと感じている。


そして親は困りながらも、なんやかんや受け入れているように思える。「部屋はいっぱい余っている」とよく耳にするのだが、余っているから使いたいという事なのだろうか。


また、娘や息子はいつまでもかわいいので、キツくは言えないという。…わからなくもないが私なら期限を決めて、全て捨てるだろう。


広いから、という甘え


物が増える理由は単純に、広いから置ける、置いていいから。私の実家も、皆いなくなったあとは民宿のごとく小さな部屋がいくつも余った。

夫婦2人暮らしで6LDK、とかはザラで、先ほどのライフスタイルの結果である。将来を考えてたくさん部屋を作ったはいいが、もっとその先を考えていないため、民宿化してしまった例だ。


広いと、物の量に鈍感になりやすい。家が広いと、自分たちがいる場所を物におしつぶされにくいため、いくらでも置いておける。この甘えが、誰かの死後や何かリフォームなどのきっかけがあった時に、大変苦労することを覚えておいていただきたい。


というのも、物の処分費用は、思っているよりもかかる。値段は年々上がっていて、相場ももちろんあるが、何もかもを捨ててもらうには、人の手間がかかる=金額がかかる。


ゴミ処理には法律があって、分別のルールがある。例えば植木鉢に砂がびっしり埋まっていたものが大量にあるとするなら、砂を一回畑などに捨てないといけないし、書類などはバインダーや感熱紙、ヒモなどは分別しないといけない。


引き取る会社や、行政によってはここは違いはあれど、ゴミ回収や古物回収は何かとルールがあるのだ。買う時は捨てる時のことなど、考えもしなかっただろう。座椅子だって、布と金属でできているなんて考えて買う人はいない。


買い方と娯楽

山の方や、何もない地域の人は特に買い物に出た時、なかなか行けないからといって買い溜めをしやすい傾向にある。


シニア世代は未だにテレビ生活で、特に見るものもないのにつけっぱなしという家は非常に多い。


未だに通販番組は根強く、え?まだ売ってるの?というようなモノもしつこく売る。それをまんまと買ってしまい、買ったことに満足するシニア世代たち。買っただけで健康になったと思うシニア世代の家からは、腐った健康ドリンクが出てきたから皮肉なものである。


田舎では、買い物が娯楽で、お金を使う場所も知識もない。皆お金を使いたい。本当に必要なことから目を逸らして、見栄と目の前にあることに使いたい。その悪い習慣こそ、物が増えていく原因のひとつではないだろうか。


まずは買うときによく考えてから買うようにし、今あるものを生きているうちに片付けてしまうようにしよう。


本当の自由は、自分が何も所有しなくなったあとからやってくるから。




いただいたサポート費で、コーヒーをいただきます☻