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金融会社の環境を知るのに最適な本ーー「銀行マンの凄すぎる掟・クソ環境サバイバル術」

「銀行マンの凄すぎる掟・クソ環境サバイバル術」読みました。

タイトル通りの強烈な本です。
著者は最近SPAなどでも連載中で人気沸騰中の猫山課長。金融機関の現役課長です。

私は前半の実態部分が興味深かったです。大昔に金融機関にいたものとしては、「ああそれそれそれ」と共感するところ大な本でした。

というか、案外この実態って世の中に知られていないのですよね……。

クリーンなのは「イメージだけ」な大手企業

のっけから、こう始まります。

 なぜnoteで発信しようと思ったかといえば、いまの時代に会社員をやっていくのが本当につらいと感じたからです。そして、このつらさは自分だけのものではない、そう感じたからです。
 たぶん、いまあなたもつらいと感じている。だからこの本を手に取られた。そうですね?

「銀行マンの凄すぎる掟・クソ環境サバイバル術」猫山課長

この辺りはけっこう刺さる人が多いんでは?

私、新卒で損保会社に入社しました。

新宿の高層ビル丸々が本社で、そこで何度も面接をやったんですね。
ボーナスが3回出て福利厚生も充実しているという、就活生に大人気の有名大手企業で、決まった時は「おめでとう」の嵐でした。
「あそこはダメだ! やめておけ」と言ってくれた大人はゼロでした。

ところが、クリーンなのは「イメージだけ」でした。

配属されたのは地方の支店で、男女共用のトイレに加え、営業店で毎日怒鳴り声とノルマに追われる総合職の姿。

「この環境に長年いる人の精神構造は一体どうなっているのだろう??」と不思議でした。

その秘密が詳細に明かされた本です。

びっくりしたのは、地方の金融機関でもまったくこの図式が同じこと。そしてそれが令和の今も大して変わってなさそうなことです。

 生きていくにはお金が必要です。凡人がお金を稼ぐには働くしかありません。そして働くということははたいていの場合、苦行になってしまう。
 とくに、金融機関の場合はそれが顕著だと思います。厳しいノルマ、厳格な管理体制、世間の目、上司からの叱責。私はほかの業種で働いたことはありませんが、これほど一貫して人間性を損なう機会がちりばめられている業種を知りません。金融機関は、人間性を維持したままでは少々困難な業種といえます。

「銀行マンの凄すぎる掟・クソ環境サバイバル術」猫山課長

「人間性を維持できない」ーーいやーもう本当にその通りなのですよ……。
思わず首をブンブン縦に振ってしまいました。

私がいた会社に総合職として入った男性たちは(当時は明確な男女差別があったんです)、ありえないノルマをあてがわれて、達成できないと毎日みんなの前で怒鳴られ、馬鹿にされ、恥をかかされていたのです。

労基法を無視して、8時以降は「電気消して残業しろ」とか言われてました。法学部だった私は、日本では、法律がここまで簡単に無視されることに衝撃を受けました。だから、ビックモーター事件にもジャニーズ事件にも、なんの驚きもありません。

給与が高く、ボーナスが3回出ますが、そのボーナスも、ストレス解消に全部消えていく人が多かったのではないでしょうか。それくらい過酷でした。

しかも4年に1回転勤があり、自分で住むところも決められない。これが「勝ち組」の実態なのか……とクラクラしました。

罵倒され続けると人間は変わっていく

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