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なぜ暗記型学習を続けると、「批判的思考」や「創造的思考」がダメになるのか?

子供が小学校に入ったとき、学習は、細かい「止め」「はね」の暗記からスタートしました。鉛筆の本数、下敷きの色、「覚えなさい」「従いなさい」と言われ続ける教育。

うーん、大丈夫かな? これが最初の私の印象でした。

暗記教育は人をダメにするーーこのことを最も強烈な形で訴えたのがブラジルの哲学者パウロ・フレイレだと思います。

私の知り合いにも、学生時代、この暗記に徹底して反抗した人が少なくないのです(不良と呼ばれた人にも多いです)。

最近、彼らには骨があると思うようになりました。

今回は、大学院で読んでいるフレイレの書籍「非抑圧者の教育学」をご紹介します。日本語版もあります。以前も紹介しました。

暗記教育にはなぜ問題があるのか

フレイレは、伝統的な知識を伝達するスタイルの教育を「銀行型教育」と読んで徹底的に批判しました。

教師が一方的に話し、生徒は教師が話す内容を暗記する。

(「非抑圧者の教育学」)

「銀行型教育」で生徒ができることというのは、知識を「預金」し、貯めこみ、整理しておくことだ。そこには一方的な抑圧者から非抑圧者への知識の何を学ぶか、何が規範かの押し付けがあるだけである。

(「非抑圧者の教育学」)

抑圧者にとっては、この方が支配しやすいのである。

(「非抑圧者の教育学」)

一斉授業の教育スタイルは産業革命時代にドイツで作られたものと言われます(諸説あります)、労働者を管理するには便利なシステムでした。

日本でも、江戸時代までは寺小屋で異年齢の子が共に学び、ディスカッションしていたわけですが、明治時代にこの教育が入ってきて、人々は「一斉授業は変えられない」となってしまいました。

では、これの何が問題なのか。

「銀行型教育」を行なう人は、もちろん対話というものを考えないので、生徒に説く講義内容のプログラムを考える。問いに答えられるのは、教育をする側の自分だけであり、そのようにプログラムをつくるのである。

(「非抑圧者の教育学」)

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