なぜ若者の海外移住は「静かなる流出」になってしまうのだろうか
先日、東京・豊洲で行われた「マレーシアフェア」にいったら、今やマレーシアの学校で学ぶ学生の数が1800人になったと、ステージで言っていて、驚きました。
私が取材していた2015年くらいには、まだまだそこまでの数ではなかったのですが、いつの間にか、大きな流れになっているようです。
流れが「静かすぎて、よくわからない」のです。
静かに進む海外移住
同じことは、海外移住にも言えるかなぁ、と思っていて。
当事者も周りも大きな声で言わないので、気づかないうちに進んでいる。
「ルポ 若者流出」は朝日新聞の2023年の連載記事「わたしが日本を出た理由」をまとめたものです。
この企画は、最初はカナダで働く一人の看護師に話を聞くところから始まったそうです。
この取材には私も協力し、一部でインタビューを受けましたが、カナダ、オーストラリア、マレーシア、ドイツ、ハンガリーなどに移住した人々に話を聞いたかなり大掛かりな取材になっています。
問題は、この流出が「静かに」おこっているところです。
本書では、さまざまな人が出てきます。元看護師、元警察官、自衛官、医師の卵、中学受験に絶望した人々ーー。
そして、朝日新聞の人々も、取材していくまで、この流れは見えなったようです。
この流れを本書で、メルボルン大学の大石奈々准教授は「静かなる流出」と読んでいます。パターンは2つ。
です。
この理由はなぜなのでしょうか?
「静かなる流出」になるのは、なぜなのか
1 「多くの人に知られずに多くの日本人が流出している」
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