見出し画像

「G7」に関心が薄いグローバルサウスに住む人たち

今回のG7では、「グローバルサウス」が話題になっていました。

グローバルサウスとは、正確な定義はないそうですが、かつて「途上国」と言われてきた国々。
ASEANやインド、南半球の国々などが入るそうです。

ウクライナ情勢をめぐって国際社会の分断が深まる中、「グローバルサウス(Global South)」と呼ばれる国々への注目が高まっている。2023年1月に実施されたダボス会議では「世界の分断」が一つのテーマであったが、その中でグローバルサウスの立ち位置が焦点となった。

今、グローバルサウスに再びスポットライトが当たっているのは、これまでの途上国という枠組みを超え、経済的にも政治的にも国際社会の中で無視できない存在となっているからだ。

当然、マレーシアも入ります。

本日は、「グローバルサウス側から見たら、G7は一つの組織に過ぎなくなっている」という話です。

「G7が世界のすべてではない」のです

アフリカのルワンダでタイ料理屋を経営するCKさんが、Voicyで「G7が世界のすべてではない」という話をしていましたが、私は同じことをマレーシアで感じていました。

日本の報道を見ていると、G7がいつもトップニュースで、「西側陣営の国だな」と思います。

私はこの10年、ずっとグローバルサウス側(マレーシア)の報道を見てきたのですが、マレーシアでよく聞かれるのは、むしろ「西側こそ信頼できない」です。

例えば、日本の外務省の調査によると、「日本を信頼できる国」としたマレーシアの人は「5%」しかいません。米国を信頼するのも、同様の5%です。

残念ながら、ここ20年ほどで大きく日本は信頼を損ねてしまったと感じます(ここ20年、実はそんなにひどいことをしてはないと思うのですが……)。ちなみに、日本への信頼度が比較的高いのはフィリピン(21パーセント)とベトナム(33パーセント)です。(https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100348514.pdf

なんでか。

「ルックイースト」とかつて日本をお手本にしてきた、マレーシアのマハティール氏は日本人に対し、「米国と離れて独自の思考を」とずっと訴えていました。

マレーシアから見ると、「最近の日本は米国べったりで指導力がない」ように見えているのです。
ちょっと古い記事ですが、グローバルサウスの理解に役立つと思います。

 マレーシアのマハティール元首相(83)は7日、クアラルンプール近郊で共同通信のインタビューに応じ、東アジア共同体構想を掲げる鳩山由紀夫首相の下で日本外交が「米国の支配」を脱し、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国による「東アジア経済共同体」の実現に指導力を発揮するよう期待を表明した。
 政治、経済など幅広い分野で連携し、東アジアの共存と繁栄を目指す同構想は、マハティール氏が1990年代初めに提唱した「東アジア経済会議(EAEC)」が原型。同氏は鳩山首相がアジア重視や対等な日米関係を掲げていることを「支持する」と言明し、「われわれは日本が米国に支配されているとの印象を持っていた」と述べた。

http://www.avis.ne.jp/~nihao/09mahat-asia.html

こちらは最近の読売の記事ですが、やはり米国に批判的です。

マレーシアのマハティール・モハマド元首相は24日、日本外国特派員協会で記者会見した。ウクライナ侵略などを巡りロシアや中国と対立する米欧について、「今は中露と敵対するように仕向ける力が非常に強い。私たちは大国に操られるべきではない」と批判した。

同じように思考するマレーシア人と何人も話をしました。

「我々は中国と共に生きていくしかない」

ではどこを信頼するのか。
トップは中国で28パーセント。
インドネシアが10パーセント。ASEAN20%です。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100348514.pdf

また、最も信頼できる国や機関を選んだ理由を複数回答で聞くと
▽「友好関係」が74%
▽「経済的な結びつき」が60%
▽「世界経済の安定と発展への貢献」が36%などとなりました。

https://www.nhk.or.jp/politics/articles/lastweek/83231.html

中国はパンデミック中に相当評価を上げたと感じます。特に初期の「ロックダウンで国民を守る」姿勢が評価され、「マレーシアも中国を見習うべき」世論はけっこうきかれて、Twitterで「ロックダウン」がトレンド入りしたりしたんですね。

ここから先は

1,308字
この記事のみ ¥ 300

これまで数百件を超えるサポート、ありがとうございました。今は500円のマガジンの定期購読者が750人を超えました。お気持ちだけで嬉しいです。文章を読んで元気になっていただければ。