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『読んで旅する、日本と世界の色とりどりの教育』

「よい教育ってなんだろう」「学ぶってどういうことだろう」「学校って何のためにあるのだろう」そんな疑問が頭に浮かんだことはありますか?

本書『読んで旅する、日本と世界の色とりどりの教育』は、日本と世界の教育をめぐる旅「EDUTRIP」で著者の武田緑さんが訪れてきた多種多様な教育のあり方を紹介するとともに、本書に登場するその多様な姿から、これからの教育のあり方を見つめ直すきっかけとしてほしいとの思いから生まれたものです。

読書への旅立ちの前に、EDUTRIP、そして本書に込められた著者の思いをご紹介します。

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「こんなにも教育についてどっぷり考えたことはなかった」
「自分が持っていた選択肢の狭さに気づいた」
「教育は社会をつくるものなんだと初めて実感した」

これらは、私が10年来実施してきた国内外の教育視察ツアー・EDUTRIPに参加した方たちの言葉です。
おそらく教育視察ツアーというと、イメージされるのは「先進事例を見に行って、持って帰ってこよう」という趣旨のものではないでしょうか? それはそれで意味のあることだと思いますが、私たちがやってきたEDUTRIPは、それとは少し違ったコンセプトを持っています。

この本のタイトルには、〝読んで旅する〟という言葉を入れました。EDUTRIPは、旅行です。旅をするというのは、異文化に触れること。異文化に触れるというのは、自分の持っている〝あたりまえ〟に気づくことでもあります。

自分自身の常識や、日本におけるアタリマエとは異なる、他国の教育や国内のオルタナティブな教育のかたちに触れる機会をつくりたい。それがEDUTRIPを企画している一番の思いです。「私の知っていることと〝違う〟」という刺激は、鏡となって、私たち自身の教育観を照らし出してくれます。自分の中にある「前提」を問い直し、教育に関わるうえでの「自分軸」を再構築する非日常の場づくり。それがEDUTRIPでやってきたことでした。

同じ場所に、それぞれ価値観やバックグラウンドの異なるみんなで行く、ということに実はとても意味があるのです。当然ながら、同じ教育現場、同じ国を訪れても、みんな見るところや感じることが違います。

ある学校のことを、参加者のAさんは「感激した! 私が感じていた今の教育への違和感にこたえてくれるような現場だった」と言い、Bさんは「ここの教育が子どもたちにとっていいとは思えない。すごく違和感がある」と言う、というようなことが、しばしば起こります。

そこから、私たちは対話を始めます。どんなところがいいと思ったのか、何が違うと思ったのか。それはどうしてか。そう感じた自分の根本にある経験や価値観はどんなものなのか。自分にとって大切な軸を発見したり、無意識のうちに自分を縛っている囚われに気づいたりしながら、「よい教育ってなんだろう」「学校って何をするところなのだろう」「自分が本当に望んでいることはなんだろう」と考え合う、EDUTRIPはそんなスペース(時間と空間)を生み出してきました。

日本中、世界中で出会える教育現場とそこにいる人々の思いや営みは本当に多種多様で、まさに色とりどり。訪れる私たちの世界の見え方を、より多面的に、鮮明にしてくれます。そんな、EDUTRIPならではの学びは今、コロナショックで吹っ飛んでしまい、ツアーを実施することが困難な状況にあります。そんな時だからこそ、旅での学びを追体験できるような本になればという思いでこの本を書き上げました。

1章では、ここに至るまでの私自身の原点を振り返ります。この本の中心となるのは、2章、3章です。2章では国内の、3章では海外の、私自身が触れてきた国内外の様々な教育を紹介しています。なるべく訪問した際のエピソードの記述を多くして、その時の私自身の感情の動きとともに現場の様子を描くように努めたつもりです。4章では、私が心惹かれてきた学校や学び場のことを俯瞰して、共通項を整理し、5章では、日本の教育のこれからについて、私自身の考えや思いをつづっています。

文章と写真を手がかりに、現地の様子を想像しながら、一緒に「教育を学ぶ旅」を楽しんでいただけたら幸いです。また、自分自身のことや、これからの教育のことを、グルグルと考える時間を、この本を読みながら過ごしていただけたら、とても嬉しく思います。

そして、いつか実際に、読者の方と、一緒に旅ができる日が来ればと願っています。

今まで「当たり前」「普通」と思ってきた日本の学校がすべてではなく、もっと多様な教育が、日本にも世界にもたくさんあります。「学校ってなんだろう」「なんで勉強してるんだろう」と思っている子ども・若者の皆さん、そして「これでいいんだろうか」「子どもたちの幸せにとってよりよいことはなんだろうか」と悩みつつ、学校現場で日々奮闘されている先生方に、ぜひ読んでいただきたい1冊です。

新しい発見に満ちた「教育の旅」にでかけてみませんか。

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                       イラスト:ヒライマサヤ

オンライントークイベントも実施しました!

本書をもとに、これからの日本の学校や教育はどうなっていけばよいのか、著者の武田緑さんと、オランダの教育や社会について日本に数多く紹介してこられたリヒテルズ直子さんが語り合うトークイベントも実施しました。

「子どもたちの『自分づくり』を可能にするには?」「子どもの『Well Being』を求める学校をつくるときに、大人が気をつけることは?」など、お二人がこれまで訪れてきた教育現場や日本・世界の教育の現状から見た課題意識をもとに、深い対話が繰り広げられました。

You Tubeで動画を公開していますので、こちらもあわせてぜひご視聴ください!

動画用①


【本書の目次】
はじめに──旅立ちの前に
1章 EDUTRIPが生まれるまで
生まれ育った地域とそこで受けた教育/多様な人たちと共に世界を旅して/湧いてきた、自分が受けてきた教育への疑問/EDUTRIPのはじまり

2章 日本の中の、多様な学校
きのくに子どもの村学園(和歌山)/自由の森学園(埼玉)/TDU・雫穿大学(東京)/沖縄の多様な学校/デモクラティックスクール(サドベリーモデルの学校)/暮らしづくりネットワーク北芝/北星学園余市高校(北海道)教育魅力化の取り組み(島根)

第3章 EDUTRIP 、世界へ
オランダ/デンマーク/韓国/スウェーデン/タイ/シンガポール/フィンランド

第4章 民主的な教育が、民主的な社会をつくる──私が共鳴してきた教育の共通点
目的としての「Well-being」と「Democracy」/今ここと、将来が幸せであること/自分づくりが第一/ホンモノとつながって、ホンモノから学ぶ/一人一人の違いが尊重される環境/他者との関わりの中で違いから学ぶ/子どもの参画が当たり前

【コラム】オルタナティブ教育という言葉について

5章 これからの展望、未来の学校
民主的な教育を日本中に

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