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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを… もっと読む
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2023年10月の記事一覧

#62 学校の「ふつう」を問い直そう~平田はる香『山の上のパン屋に人が集まるわけ』より~|学校づくりのスパイス

 閉塞感にさいなまれる教育現場が増えています。「業務は減らないのに働き方改革を進めなければならない」「部活動の地域移行が謳われているが受け手が見つからない」といった、出口の見えないアンビバレントな課題にストレスをためているリーダーも多いのではないでしょうか。  今回はこうした課題と向き合うリーダーの思考法について、平田はる香氏の『山の上のパン屋に人が集まるわけ』(サイボウズ式ブックス、2023年)にヒントを得て考えてみたいと思います。 「問う」パン屋さん 平田氏は性格的に

#61「あやしさ」の危機~東畑開人『野の医者は笑う 心の治療とは何か?』より~|学校づくりのスパイス

 OpenAI社の開発したAI、ChatGPTが世間の話題をさらっています。報道ではとかく人間のスキルがAIに取って代わられる、という点ばかりが話題になっていますが、筆者はそれとは別の「心の居場所」という課題があるのではないかと思っています。AIの知とは一見真逆の、魔術的な世界の記録からこの問題を掘り下げてみたいと思います。  今回取り上げるのは臨床心理士である東畑開人氏の『野の医者は笑う 心の治療とは何か?』(誠信書房、2015年)です。この本は沖縄をフィールドに近代医学