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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2023年1月の記事一覧

#44「空白」の力~ピーター・レイノルズ『てん』より~|学校づくりのスパイス

 今回はピーター・レイノルズ『てん』(あすなろ書房、2004年)という絵本を手がかりに、子どもの成長と「空白」の意味について考えてみたいと思います。翻訳は同じく絵本作家の谷川俊太郎さんが手がけています。 「額縁」の効果 この本の主人公は「ワシテ」という女の子です。ワシテは絵を描くのが苦手で絵画の時間に何も描けないでいます。  そんなワシテに先生は「なにかしるしをつけてみて」と言葉をかけます。するとワシテはマーカーを紙に押しつけて「これで どう!」と応じます。先生は「さあ 

#43「複式簿記」思考を身につけよう~ 近藤哲朗ほか『「お金の流れ」がたった1つの図法でぜんぶわかる 会計の地図』より~|学校づくりのスパイス

 ドイツの詩人ゲーテの文学作品に次のような一節が出てきます。  「複式簿記が商人にあたえてくれる利益は計り知れないほどだ。人間の精神が産んだ最高の発明の一つだね。立派な経営者は誰でも、経営に複式簿記を取り入れるべきなんだ」(ゲーテ『ヴィルヘルム・マイスターの修業時代〈上〉』岩波書店、54 頁)。  複式簿記を学ぶ意義のある点については、学校経営者もその例外ではない、というのが今回の連載の結論です。今回は近藤哲朗、沖山誠、岩谷誠治『「お金の流れ」がたった1つの図法でぜんぶわ