#42 いろいろな自分を生きよう!~平野啓一郎『私とは何か~「個人」から「分人」へ』より|学校づくりのスパイス
前回は、自閉症の東田直樹氏の著作を手がかりに、「首尾一貫した一つの意思を持つ個人」としての「主体」という発想を疑ってみる必要について考えてみました。
今回はこの論点を一歩進めて、さまざまな自分を持つことの必要性について、作家の平野啓一郎氏による『私とは何か―「個人」から「分人」へ』(講談社、2012年)を手がかりに考えてみたいと思います。平野氏は学生時代に投稿した作品で芥川賞を受賞した逸材ですが、氏の作品にはこの本で取り上げている「分人」のモチーフがしばしば登場します。