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学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

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学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを…
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2021年10月の記事一覧

#14「アート」な学校づくりの可能性~山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』より~|学校づくりのスパイス

 「学校経営はアートかサイエンスか?」――この議論は昔からありました。今日ではサイエンスの側面がより強調されるようになってきましたが、時代の変化を丁寧に読み解くと、今後はむしろアートの側面こそがその帰趨(きすう)を握る可能性があります。今回はこの点について、山口周著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?――経営における「アート」と「サイエンス」』(光文社、2018年)を手がかりに考えてみることにします。 「実学」としての「アート」 本書の冒頭で紹介されているのは、ア

#13「自分こわし」としての成長~大今良時『聲の形』より~|学校づくりのスパイス

 今回は大今良時氏のコミック『聲(こえ)の形』(講談社、2013~14年)を題材に、学校教育というシステムと人の成長との間の「軋み」について考えてみたいと思います。この作品は2016年に映画化もされて数々の受賞に輝くヒット作となりましたが、筆者のおすすめはコミック版です。というのも、この本で描かれているテーマは、反芻しながら自分のペースで読みたいものだからです。この作品には聴覚障害者へのいじめが描かれていることから雑誌掲載が一時見送られたそうですが、子どもにも教員にも、ぜひ読