マガジンのカバー画像

学校づくりのスパイス~異分野の知に学べ~

71
学校のリーダーシップ開発に20年以上携わってきた武井敦史氏が、学校の「当たり前」を疑ってみる手立てとなる本を毎回一冊取り上げ、そこに含まれる考え方から現代の学校づくりへのヒントを… もっと読む
運営しているクリエイター

2021年4月の記事一覧

#2「ゆっくりの力」の再発見~本川達雄『人間にとって寿命とは何か』より~|学校づくりのスパイス

 今回は本川達雄氏の『人間にとって寿命とは何か』(角川書店、2016年)をもとに、教育を「時間」の観点から考えてみたいと思います。この本の筆者は90年代に『ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学―』(中央公論社、1992年)で世に衝撃を与えた、ナマコ研究者です。この本は出版から29年が経っていますが、現在でも書店で平積みにされていたりします。今回取り上げる本は、生物と時間の観点をさまざまに敷衍(ふえん)して論じたもので、その思索はいっそう広がりを見せています。 時間の観点