記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

【映画感想】上田慎一郎監督最新作の「100日間生きたワニ」を見た

映画『100日間生きたワニ』観てきました。
以下雑多な感想。基本的にネタバレ全開です。

■前置き

いわゆる100ワニの鑑賞前の流れ。
・原作は毎日楽しみにしてたし好きだったが、最終回周りのあれこれから正直よくない印象にシフトしてた。
・映画は別に見に行くつもりではなかったものの、公開前に悪いオタクが座席予約遊びとか見てないくせに他人の低評価感想を並べて遊んでるのを見てドン引き。本当そういうインターネットの悪ノリ良くないよ。
・その反発心からちゃんと見て感想書いてやるわ~ッッッと思ったものの、でもそんなオレはちゃんとしたオタクなんだ!!みたいな反発心で作品を見るなんて豊かな映画体験から程遠い考えだし貶すために見る人間と変わりゃしないだろ…と冷静になって思いとどまる。
・知り合いさんが「上田慎一郎監督新作見に来ました」って言ってて、あ、上田監督新作なら見に行きたいな~という気分になり、丁度映画の料金安い日だったのでそのままGo。
・ちなみにザ・ファブルと同じ日に観ました。

■良かったところ

・前半/後半の2部構成が良かった
原作はリアルタイムでのTwitter連載という形式だから出来る作品だったと思うんで映画に際してどうするのか心配だったんですが、初っ端にワニの死、中盤までにその死を予見も出来ていない普通の生活、後半からワニの死からの周囲の再生を描いている構成が映画~って感じで良かったです。一番最初にワニの死を描くことで前半はTwitter連載にもあった「こんなに楽しそうに生きてるのに…」って悲壮感がキープされてたのがテーマにも合致してたと思います。

・オリジナルキャラクターのカエル
このカエルきらい(嘘偽らざる気持ち)
嫌いなんだけど「オレ、何かノリ違いますかね?」の痛々しさはウーッてさせられたし、同じ喪失を抱えた者だと理解したネズミのフォローやその後のワニとの約束を振り返って決壊してしまったシーンは正直少し泣きました。
みかんの使い方を含めて映画の中だと一番好きなシーンかも。

・親御さんとの電話シーン
ちょっと両親を大事にしようと思った。

・声優さんが良かった
全体的に演技に引っかかりを感じるような事は一つもなく、特にネズミの中村倫也さんの抑えたトーンの中での演技が良かったです。あとセンパイ役の新木優子さんの声、本当にあんな先輩職場に居たら惚れるわ~って声してましたわね。本職声優さんかと思った。

・ヒヨコの飛び出し(2回目)は事故だった
原作だと一度ワニに助けられておきながらまた飛び出したんかお前ー!!!と思ってたヒヨコが風によって飛ばされたのをワニが庇ったようにしてて、そこは地味に誰が悪いとか思いづらくなってて良かったと思います。
(エンディングで親ニワトリがヒヨコの成長を祝ってるシーンがあって親がしっかり見てりゃよ~~~みたいな気持ちが新たに沸いたのは内緒)

■良くなかったところ

・間がおかしい
会話と会話の間が長い。尺稼ぎではなくそういう演出なんだろうなと思うんですけど、1秒の間がある→話す→1秒間の間がある→次の人の顔が映る→1秒の間が…みたいな謎の間が多い。カットの技法とか知らんですけど、普通誰かが話してる途中に次に話す人の顔に移ってリアクションとかを撮るものなのでは…?

・絵の統一感が無い
よくネットで動かないとか紙芝居とか言われてますけど、そんな冒険活劇でもないのでめっちゃヌルヌル動くような作品じゃないとは見る前からわかってましたし、キャラクターの感情を現すために最小限の動きで表現しようとしてたのは意図的で狙い通りだったんじゃないかなと(特に目の動きで気まずさ、受け入れてなさなんかを表現するのはちゃんとキャラに演技をさせてるなと関心してしまいました)。
むしろ気になったのは雨のシーンがモロにCGでエフェクト付けてるだけだったり、写真が縮小かけただけでめっちゃ線細かったりしたところで、世界観の中での質感のズレ、不和、不統一感みたいなものがシンプルな絵だけに目立っていた気がします。あとこの世界の中のリアリティラインがよくわからなくて、特に格ゲーや見に行った映画等のチープさはドラマのノイズになってしまった感。

・この映画ならではの特徴とかここでしか見えないものが無かった
自分が映画を見るときの喜びの一つに「その作品でしか見たことないものを見れた」とか「凄くいい絵のシーンが一つあった」とかがあって、全体的にはイマイチでも何か一個印象的なところがあると心に残るんですけど、特にそういったものは見れなかったのが残念でした。ただ、きくちゆうき先生直筆らしいスタッフロール全手書きはちょっと拘りを感じてオッてなりました。

・63分1900円
私はAUマンデー1100円で観ました。

あとこの映画だけってワケじゃないんですけど、BGMブツッと切って何か印象的な台詞を演出するの好きくない。

■まとめ

 結論としてはちゃんと楽しめたんですけど、映画割引の日に見て無ければ不満の方が勝ってたかもしれない…くらいのところ。上田監督の前作スペシャルアクターズでも感じた、下手すると退屈とも思われかねないくらいのたっぷりとした間の使い方が、とにかく時間内の情報量を濃くして退屈させないようにしつつ何度も観て咀嚼したくなるような昨今の作品作りの流れと噛み合いが悪いな~と思いました。でもネットで一時期言われてたみたいな見る所一つ無い映画ではないとは思うッス。駄作ではないが佳作というのはちょっと躊躇われ、凡作というにはところどころ光るものもある…的な辺り。
 あと全然評価とは関係無いんですが、劇場での鑑賞経験としては記憶の中で初めて貸し切りでの鑑賞でした。全ての映画貸し切りで鑑賞したいくらい快適だったな…腰痛持ちは体勢をしょちゅう入れ替えるから…。


以上です。読んで頂きありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?