今日も気づけば漁港釣り 6振り目
アジやイカ、キス、カサゴ、メバルー。魚種が豊富な丹後半島の日本海は、堤防からの釣りでもさまざまな獲物が狙えて面白い。一方、お目当ての魚が釣れず、やきもきすることも多々あります。2021年秋に宮津市へ赴任した直後に海釣りを始め、現在はルアーでアジを狙う「アジング」を極めるべく足しげく漁港に通う記者が、釣果や景色、釣った魚で作る料理を紹介します。さて、今日は何が釣れるのやら…。
前回の記事はこちらから
今回も「アジの釣れていない回」です
前回、「春は近いぜ」とか言って、アジの入れ食いそろそろいけますと、におわせるような形で締めくくった手前、大変お恥ずかしいところなのですが、調子に乗っていました。
今回もアジ、1匹も釣れませんでした。
しかしながら、こうも早々に釣果と恥をさらすには理由がある。
アジは全くあかんかったが、他の魚がええ感じにぐいぐい釣れて、今年一、楽しき釣りとなった。
冬場、渋かった当たりを忘れさせてくれるような入れ食いに、やはり、春の到来を予感させてくれる一夜となった。
南蛮漬けを作る用意はバッチリなのですが…
夜になっても上着一枚羽織っておけば、数時間は釣りができるほど暖かい気候になった。仕事終わりの夜釣りが楽しみで仕方なくなる。
午後7時前。職場で上司や後輩がまだ仕事をしている中、ぬるりと帰宅し、漁港へ向かう準備をした。せっかちなもので、小アジがたくさん釣れたら南蛮漬けにしようと、スーパーでタマネギ、ニンジン、ピーマンを購入。今夜は「ツ抜け」(一つ、二つ、と、「つ」が付かなくなる10匹以上釣り上げること)の予感がする。
現地に到着。この漁港にはある特色がある。ネコがたくさんいるのだ。以前、朝方の取材で訪れた時、ネコたちが水揚げから漏れた雑魚を物色しているのを見た。写真も撮った。他の記者たちも写真を撮っていた。
今回も、仕掛けを用意していたところ、大きな白ネコがすり寄ってきた。毎度、この白猫が釣った魚を狙っている。かつて、キープしようとしたメバルをかすめ取られたときもあった。元来、大のネコ好きなのだが、少し嫌いになりそうになった。
仕事よりも釣りを優先する男
準備を終え、いざアジ爆釣と意気込んでいたところ、社用スマートフォンに着信が。デスクからだ。「明日使う原稿、黒丸付けているところあるから埋めて直して」。
「黒丸」とは、デスクが原稿を手直しする時に記者に補充してほしい文言や数字、また直してほしい表現などの上に付ける目印だ。たとえば「男性は●歳の時、教師を目指して大学に入り直した」と編集されている場合は、男性の年齢が何歳かを確認し、数字を埋めてという合図だ(編集者注:同業他社でも同じようなことが行われているのかは分かりません)。
しまった。記事を作成するパソコンを持ってくるのを忘れていた。デスクの「直して」とは「今夜中に直して」なのか「明日中に直して」なのか。いずれにしても、今は無理だ。
ええい、ままよ。今後は忘れずパソコンを常時車に積んでおく。
釣り始め、1.5グラムの重ためのジグヘッドを使ったが、全く手応えなく、早々に0.4グラムと軽めのジグヘッドに変更した。ワームも、においが強めの液体系ワームから、小ぶりでラメ入りの白いものに替えた。これが大当たりだった。
竿を振り、じわ~っと重りが沈んでいく感覚が手元を伝ってくると思うや否や、「どかん」と何かがぶつかったような手応え。ずしりとした重みに右へ左へと逃れようとする強い引き。「ジジジジ」とドラグが音を立てる。20センチ超えメバルを引き抜いた。
ドラグとは、釣り糸を巻き上げるリールに付いている機能で、針に掛かった魚の強い引きで糸が切れないように、糸を巻き付けているスプールという部分が回転し、糸が滑り出すようになっている仕組みのことだ。
釣った魚が大きく、引きが強くなればなるほどドラグの音も大きくなる。釣り動画を見る際にも、ドラグ音は見応えを覚えるシーンの一つで、もはやドラグ音で酒が飲める。
魚の引きが強く、ドラグ音を鳴り響かせながら釣り上げている最中は、まさに魚との格闘といった様相でライトゲームの楽しさのひとつだ。
「メバルの回」というより「ネコちゃんの回」では
その後も、5、6投すれば1回はメバルがヒットするという好調ぶりで、こうなると、小ぶりなものはリリースする。クーラーボックスに貼っている物差しで釣った魚の大きさを確認していると。
「あっ」
件の白猫にかすめ取られてしまった。地域猫活動をされている人たちの話によると、野良猫にエサを与えるという行為は良くないそうで今後は、用心したい。以後、釣った魚を奪われぬよう、猫とせめぎ合いつつ、メバル7匹中4匹を持ち帰った。
漁港に到着した際、駐車場に猫が3匹、井戸端会議然とした様子で集まっていた。以前よりも少し増えているような気がして、ちゃんと保護されているのか、心配になる。
ワインにアクアパッツァ、おしゃれね
このところ、刺身や煮付けなど和食ばかりだったので、少し趣向を変えようとアクアパッツアに挑戦した。酒は天橋立ワインの白で合わせた。ワインは料理酒としても使い、果実の甘い香りを演出していた。メバルのふわりとした食感と、ワインの甘みが合い、優雅なひとときを過ごさせてもらえた。
ちなみに、釣りの前に購入したにんじんやピーマンはまだ未使用だ。アジなし南蛮漬けでも作ろうか…。
能美孝啓