言葉のない物語を読もう。ギャラリーTerra-S展覧会レポート
こんにちは。
広報グループUです。
いよいよ今週から、後期の授業が始まります。
ひさしぶりに大学に行くという人も多いと思いますが、授業開始日の10/1より少し早く大学に来てみませんか? 実は9/29まで、大学内のギャラリーTerra-Sでおすすめの展覧会を開催中なんです。
出展しているのは、マンガ学部ストーリーマンガコース4年生のLiisaさん。
京都精華大学ギャラリーTerra-Sが2022年2月に開館して以来初めてとなる、520㎡全スペースを使用した大規模な個展です。
広い空間を埋め尽くすのは、約90点の緻密なイラストレーションと、窓際の空間を使用したインスタレーション作品。
ずらりと並ぶイラストレーション作品はすべて手書きで描かれたもの。その細かい描き込みや、美しく貼られたスクリーントーンは、ストーリーマンガコースの4年間で培った基礎の力を感じます。
描かれているのは、日常的な風景に見えて少し違和感を抱くような、不思議な生き物や、廃墟に見える世界観。
そして気になるのは、ところどころに貼られた言葉たち。三島由紀夫や夏目漱石など、日本の近現代作家の一節や、俳人の山田弘子らの句が、ひっそりと作品のそばに貼られています。
どんな意味があるんだろう、どんなことを考えて描いたんだろうと、見れば見るほど惹きこまれていく展覧会。思わず作者のLiisaさんにお話を聞いてみました。
まず聞きたかったのは、なぜ今回「言葉のないマンガ」をテーマにしたのか、ということ。
普段はストーリーマンガコースで商業マンガを学んでいるというLiisaさん。商業マンガに求められるのは、絵やセリフで物語を分かりやすく読者に伝える手法です。でも今回の展示で挑戦したかったことは、その「分かりやすさの排除」だと言います。
「言葉やセリフがあることで、読み方が限定されてしまうように思ったんです。今回の展示では、敢えて言葉をなくすことで、読者に物語を想像させる余白をつくりたいと思いました」。 壁に貼られた文学作品からの引用は、物語を読むヒントとなるような言葉を選んだとのこと。
なるほど。たしかに言葉がないことで、「このキャラクターは何だろう」とか、「達磨の絵がたくさんあるけど、どんな意味があるんだろう」とか、いっぱい考えました。想像を巡らせることで、いつの間にか作品の世界に入り込んでいたんですね。
Liisaさんの制作背景についても、いろいろ質問してしまいました。
Liisaさんが本格的に絵を描き始めたのは、実は高校生になってから。イタリアの高校で、ファッションデザインを学んでいたというLiisaさん。デザイン画を描く工程が一番楽しく、絵を学びたいと思ったそう。
日本や日本文化に興味を持ったのは物心ついたころから。アニメを通じて日本語を学んだそうです。
お話を聞いていると、マンガやアニメだけでなく、文学作品や俳句、現代アートなどへの造詣も深く、幅広い表現を自分の作品に吸収していることが伝わってきました。
会場ではメイキング動画も上映されています。「どうやって描いているんだろう」と思うような、細かい描写のすべてがここに。1・2年生にもおすすめです。ちなみに、制作動画を"TikTok“にアップしたところ、10万いいねを越える大バズりだったそうですよ。
今回、初めて展覧会に挑戦したというLiisaさん。
ストーリーマンガコースや新世代マンガコースのように、読み物を制作している学生のみなさんは、展覧会を開催する機会が少ないかもしれませんが、「マンガを展示する」ってこんなに面白いんだと知る機会になるのではないでしょうか。
授業開始期間前ではありますが、足を運んで決して損はありません。ぜひ見てみてくださいね。
それでは。
「プレーンマンガ 言葉のない物語」
日程:2022年9月21日(水)〜9月29日(木)
時間:11:00〜18:00
会場:京都精華大学 ギャラリーTerra-S
〒600-8411 京都市左京区岩倉木野町137 京都精華大学 明窓館3階
出演・出展者:Liisa(マンガ学部ストーリーマンガコース4年生)