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書を持とう、そして話そう。

こんにちは。
広報グループUです。

新学期が始まって、先生も学生も職員も、てんやわんややんややんやの賑やかな京都精華大学で、4/19(火)から新しい展覧会が始まりました。

京都精華大学ギャラリーTerra-Sの広い展示会場を埋め尽くすのは、絵画や彫刻などの作品ではなく、大きな黒板。文字が書かれているものもあれば、何も書かれていないものもあります。

そんなちょっと不思議な展覧会。
これは芸術学部の先生たち(1年次共通教育担当)による、研究活動の成果発表展です。

「ドラフト・ライブラリー」と名付けられたこのプロジェクトは、2021年10月から2022年1月までのあいだに計7回、キャンパス内あちこちの広場で行われてきました。
どんな催しだったかというと、食堂前広場など学内のあちこちに、可動式の「黒板」が突如運び込まれ、3人の話者がそれぞれが持ちよった「本」について思い思いに語りながら、黒板に書き起こしていく…というものです。

2021年10月実施時の様子 (食堂前広場)

私も2021年10月当時、食堂前を通りがかって、「このイベント何だろう…」とよく分からないまま、議論に聞き入っていました。
同じように、通りがかりの在学生や教職員が次々に立ち止まって聴講する姿を見て、古代ギリシア時代の都市国家ポリスみたい〜と、知的好奇心が刺激されるワクワク感を味わったのを覚えています。

前置きが長くなりましたが、そんな「ドラフト・ライブラリー」プロジェクトが、4/27(水)までギャラリーTerra-Sで展開されているのです。
先ほど紹介した文字入りの黒板は、過去7回の議論の記録。眺めているだけで、なるほどと思ったり、どんな議論だったのか思いを馳せたり、当時の雰囲気を想像しながら鑑賞できます。さらに議論風景は映像でも公開。

そしてまだ描かれていない、まっさらな黒板。
これから展覧会の期間中に予定している、合計4回のイベントが、徐々にこの黒板を埋めていくのです。

さっそく4/19(火)の夕方に1回目のイベントが行われました。

この日のテーマは「忘れる」。

芸術学部・デザイン学部の教員や卒業生の4名が、関連する1冊の書籍を持参。順番に紹介を行った後、クロストークを行いました。
デザイン学部長の森原先生にとっての「忘れる」は「常識を忘れる」。作家活動をしているイラストコース卒業生の多賀琢也さんは、世界から「忘れられない」作家になりたい。
そんなふうに、同じ言葉に対しても考えることは人それぞれ。聴きながら思わず「自分はこう思う」と喋りたくなった人も多かったのではないでしょうか。トークの内容は全てグラフィックレコーディングで会場内の黒板に記録されてるので、展覧会期間中いつでも鑑賞できます。

では、イベントがない展示期間中は、どうやってこの展示を楽しんだらいいでしょう。研究メンバーの一人、中村裕太先生に聞いてみました。

芸術学部 中村裕太先生

「この展覧会は、歩きながら本を読むような展覧会です。最初からじっくり見てもいいし、好きなところから読んでもいい。すべてを記憶する必要もないけれど、もしかしたらひとつふたつ、見る人にとって大切なきっかけとなる言葉が隠れているかもしれません。ぜひそれを探してみて欲しいです。」

歩きながら本を読むような展覧会!
そう聞くと、なんだか「展覧会」に対して構える気持ちが、少し楽になる気がしませんか? 本好きが多い人文学部・国際文化学部の人にとっても、ワクワクするフレーズのはず。

展覧会会場には、議論で紹介された本もあわせて並んでいます。
手に取って読めるので、黒板とあわせて読んでみるのもオススメ。

本を手に、それぞれの意見を語り合い、いつのまにか周りを巻き込んでいく。その議論は思い出に残って、制作や研究のヒントになっていく。
そんな開かれた表現の場が、なんだかいかにも「京都精華大学らしい」企画だなあと、嬉しい気持ちになりました。

じっくり見たら何時間でも、歩いて通り過ぎるだけでも、どんな楽しみ方もできる展覧会です。1年生のみなさんにとって、初めての学内展覧会。ぜひ足を運んでみてくださいね。

ちなみに、今週末のオープンキャンパス当日もイベント開催予定ですよ。お楽しみに〜。